やま茶

薬剤師国家試験100回受験生。大学病院・中小病院・薬局勤務経験あり。現場で様々な薬の副…

やま茶

薬剤師国家試験100回受験生。大学病院・中小病院・薬局勤務経験あり。現場で様々な薬の副作用を見てきたため考え方が自然と脱薬思考へ。薬ではない補助療法を模索中。

最近の記事

お薬のお話〜ワクチン接種で超過死亡は減ったのか?

こんばんわ! ワクチンを推進する方から論文を紹介頂いたので、読み解いてみたいと思います。 世界各国で行われた「ワクチン接種者」と「ワクチン非接種者」で患者背景等を揃えた上で、新型コロナによる重症化や死亡、あるいは全死因死亡率を比較した研究」等では、いずれも重症化や死亡リスクは【ワクチン接種者の方が低い】ことが 示されている、というのです。 こちらの論文です。Vaccines (Basel).2023 Jul 28;11(8):1294. Assessing the In

    • お薬の話〜コロワク推進派の提示する論文につっこむ

      こんにちは、やま茶です。 今回は、とある薬剤師アカウントがワクを推進する根拠としていた論文に切り込みたいと思います(本当はリアルタイムで反論を書きたかったですが、体調が悪くてできなかった(T ^ T))。 まずは、こちら。 「推進派はワクを打った方がコロナ後遺症になりにくい」と言う主張の中でこちらの論文を紹介していました。 Azzolini E et al. Association Between BNT162b2 Vaccination and Long COVID A

      • お薬のお話〜血管収縮薬との付き合い方(アレルギー性鼻炎・鼻づまり)

        こんにちは、やま茶です。 今回はアレルギー性鼻炎に使用する血管収縮薬について考えてみましょう。 というのも耳鼻科の門前は3回目なのですが、これまでの経験を凌駕する耳鼻科の処方に出会いました。 風邪+アレルギー性鼻炎に薬が合計10種類の処方でした。 簡単に内訳は、咳止め・去痰剤・解熱剤・鼻づまり漢方2種・鼻づまり点鼻2種・喉うがい薬・ステロイド内服・抗生剤でした… どこから手をつけて良いのやら… これをきっかけに今回の記事を書いてみようと思ったのです。 ”健康な成人の風

        • お薬のお話〜デエビゴ®︎錠2.5mgの0.5Tの処方を見たことがありますか?

          こんにちは、お久しぶりです、やま茶です。 今回は質問形式でブログのタイトルをつけてみました。 私自身の回答としては「ありません」です。 ぜひ、見たことがある方いらっしゃったら教えて頂きたい。 じゃあなぜこういったタイトルになったのか? それは、処方されることがあるかもと思ったからであります。 以下、解説していきましょう。 デエビゴ®︎ってどんどん処方されるようになりましたね〜 ベルソムラ®︎の相互作用でクラリスロマイシン禁忌なので一気にデエビゴ®︎発売と切り替わるよ

        お薬のお話〜ワクチン接種で超過死亡は減ったのか?

        • お薬の話〜コロワク推進派の提示する論文につっこむ

        • お薬のお話〜血管収縮薬との付き合い方(アレルギー性鼻炎・鼻づまり)

        • お薬のお話〜デエビゴ®︎錠2.5mgの0.5Tの処方を見たことがありますか?

          お薬のお話〜イベルメクチンは新型コロナウイルスに効くのか?

          こんにちはやま茶です。 イベルメクチンの個人輸入・個人使用、ネットでちらほら聞きます。 実際そこのところどうなの?という疑問を解消するため、調査し私なりの見解を述べたいと思います。 ここでは、効くのか効かないのか白黒の結論を出そうとは思っていません。 なるべく地に足のついたデータの見方を提示し、リスクとベネフィットを天秤にかけ、白黒ではなくグレーなモワッとした個人的見解を提示していきたいと思います。 誤解のないようにするために、できるだけ最後まで読んでくださいね(^^)

          お薬のお話〜イベルメクチンは新型コロナウイルスに効くのか?

          お薬のお話〜風邪に抗生剤は効かない

          こんにちは、やま茶です。 しばらくお休みしていましたが、少しずつ復帰していこうと思います。 今回はずっと書きたかった記事です。 私が抗生剤について詳しくなった経緯 抗生剤と耐性菌を取り巻く環境 風邪に抗生剤は効かないどころか副作用のデメリットしかないよ(論文紹介) それでも抗生剤は悪ではない 参考文献 上の順番で書いていきます。 知ってるよ!と言う方は論文だけでも見てやって下さい。 また、こちらの記事では、”抗生剤”と”抗菌薬”、両方使用しますが、同じものです。

          お薬のお話〜風邪に抗生剤は効かない

          お薬のお話〜亜鉛補充で気をつけるべき点とは?

          (写真: 猫とくすり by ねこちゃんホンポさんより拝借) こんにちは、やま茶です。 今回は、ノベルジン®︎やプロマック®︎(保険適応外)を用いた亜鉛補充について、薬剤師として知っておきたい点をまとめてみようと思います。 Q. 酢酸亜鉛を味覚障害で半年間100mg /日で内服している29歳女性(164cm, 44kg)の患者さんが少し息切れや立ちくらみをするようになってきたと訴えがありました。 あなたは何を考え、どう介入しますか? うつ病の治療中で内服薬はセルトラリ

          お薬のお話〜亜鉛補充で気をつけるべき点とは?

          心の知能指数を鍛えよう〜ストレスケアとしての”許し”のステップ

          心の知能指数ってなんでしょうか? Intelligence QuotientがIQと略されるように、心の知能指数は、Emotional Intelligence QuotientでEQと略されます。 心の知能指数が高い人は、自分の感情をコントロールする能力が高いと言われています。また、他人の感情を察する能力も備えています。 つまり、心の知能指数は、他人の感情と自分の感情がぶつからないように他人とうまく付き合っていく能力のことです。 これまでに、他人とぶつかってしまった

          心の知能指数を鍛えよう〜ストレスケアとしての”許し”のステップ

          お薬のお話〜ザバクサ ®️の臨床的位置付け〜抗菌薬適正使用の観点から

          2019年6月から販売開始になりました!ザバクサ ®️〜24年ぶりのセフェム系注射薬!AMR対策が話題になっている昨今だからこそ気になりますね。当院でも泌尿器科から処方ありました。お恥ずかしなら初めて目にしたのでセフトロザン...?抗菌薬?何世代??という疑問を抱きつつ用法用量をチェックして払い出した次第です。てことで個人的に勉強も兼ねてまとめます。 〜ザバクサ®️の特徴〜 ・セフトロザン/タゾバクタム(CTLZ/TAZ)が成分で、第3世代セフェム系抗菌薬とβラクタマーゼ

          お薬のお話〜ザバクサ ®️の臨床的位置付け〜抗菌薬適正使用の観点から

          精神疾患を持つ患者さんに運動療法を処方したい理由

          運動が身体に良いことは共通の認識だと思います。 では、運動がメンタルヘルスにも良いことはどうでしょうか?なんとなく知っているけれど具体的にどう影響があるかまで把握していない方が多いのではないでしょうか。こちらで、運動によるメンタルヘルスへの影響をざっとおさらいしていきましょう。 〜運動の抗うつ効果〜運動の抗うつ効果は実はここ30年間盛んに研究されています。”physical activity”や”exercise”で論文サイトを検索すると大量に研究結果が上がってくるくらいで

          精神疾患を持つ患者さんに運動療法を処方したい理由

          お薬のお話〜ベルソムラ®︎(スボレキサント)の高齢者への20mg/日投与の意義とは?〜

          ベルソムラ®︎(以下、スボレキサント)の高齢者への20mg投与、たまに見かけるのでスボレキサントの高齢者(65歳以上)への安全性について調べてみました。 以下の情報は審査報告書から抜粋しています。 承認するにあたって行なわれた国際共同第Ⅲ相試験の日本人集団の平均年齢は55歳(21〜84歳、高齢者の割合40.1%(99/247例))に対して、外国人集団の平均年齢 は 56 歳(18~87 歳、高齢者の割合は 42.6 %(330/774 例))。高齢者の割合は4割程度であり

          お薬のお話〜ベルソムラ®︎(スボレキサント)の高齢者への20mg/日投与の意義とは?〜

          幸せについて〜科学的な観点から〜

          最近、「ポジティブ心理学」や「ポジティブ精神医学」なる領域に興味を持ち、いくつか本を読んだりインターネットで調べてみた。 「心理学」や「精神医学」はこれまで精神疾患の治療に、つまり、患者さんの苦しみを和らげることに焦点を当てた学問である。 こちらでは、患者さんも含む全ての人をより幸せにするための学問である「ポジティブ心理学」の概要の一部について紹介します。 最初に重要なことを述べておくと、ポジティブ心理学の創設者である、マーティン・セリグマンは、「人の苦悩や不幸を和らげ

          幸せについて〜科学的な観点から〜