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風景と自身の肉体

大自然に踏み込んでいったにしても、自分の身体という日常性を離れて風景はないことに、あらためて注意が向けられてよい。

『風景学入門』中村良夫

大自然に踏み込むのは非日常的な出来事に違いない。

大自然にあって自己の肉体は点景だろう。点景があってそれを取り巻くものへの視点が生まれる。

ただそこに自然があるわけではない。

視線があってこその自然だということもできる。

だが、そういう視線はすでに「政治」の色彩を帯びているのではないか。

人間の、自然に対する征服欲がそこに表れているのである。

そうしたものは容易に看過されうる。

そうしたものを剔抉する批評精神を見出すのは稀有なことだ。

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