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リハビリ系訪問看護ステーションのこれからを考える【2016年3月 記】

2015年の介護報酬の改定

2016年の診療報酬の改定

これらの二つの改定から見ると、リハビリ系訪問看護ステーションはかなり厳しい状況に今後追い込まれることになると予測しています。

その根拠はいくつかあります。

加算を算定できない

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等のリハビリテーション専門職が訪問するパターンは

・病院や診療所などの訪問リハビリテーション事業所

・訪問看護ステーション

この2カ所から訪問できます。

どちらも訪問単価は同じ。

だけど、病院や診療所からの訪問については介護保険ではリハビリテーションマネジメント加算を算定することができます。

だから、リハマネ加算を算定している場合は訪問看護ステーションからの訪問よりも若干収益は向上します。

訪問看護ステーションにも機能強化型訪問看護や体制強化加算などの加算はありますが、それは事業所そのものへの加算であって、リハビリ訪問に対しての加算ではありません。

この差はこれからも埋まらないでしょう。

やっぱり医師の下でってこと

2015年の介護報酬改定でわかったことは

医師の下で運営されている

・通所リハビリテーション

・病院や診療所からの訪問リハ事業所

この2つの事業所は加算などがついているという紛れもない事実。リハビリテーション専門職はいつまでたっても医師の指示の下でってことから離れることはできないってこと。

だから、訪問看護ステーションからのリハビリはますます追い込まれることになる。

団体としての力が弱い

リハビリテーション専門職種は団体としての力が弱いのです。単純に言って人数が少ないのです。

だから、報酬改定に対しての影響力も少ないのです。

医師会、看護協会どちらも人数が多くてお金もあります。改定の影響の調査などにおいても、調査する力が違うのです。

リハ職は3団体合わせてもかなわない。

リハビリ系訪問看護ステーション

私の言うリハビリ系訪問看護ステーションっていうのは

・経営者がセラピスト

・看護師の職員の数よりもリハビリテーション専門職種の職員数の方が多い

こういった訪問看護ステーションのことをリハビリ系訪問看護ステーションとしてとらえています。

事業所の収益が、リハビリ系の収益が事業収益の大半を占めている事業所と言えます。

こういった事業所は、報酬改定でリハビリ系の収益が減ってしまうと大きな打撃を受けます。

非常勤のスタッフの単価が下がったりすることもあるようです。

私はフリーランスの作業療法士として、複数の訪問看護ステーションを掛け持ち勤務していますが、1人職場のステーションでは当然看護師さんの方が多いんですよね。

そんな事業所では、リハビリ訪問の単価が下がっても事業所の収益の減少にはつながりません。看護師さんの収益で私の減収は補えてしまうのです。

だから、非常勤としての私の歩合給の単価は下がりません。逆に単価を上げてくれた事業所もあります。

どうやって生き残るリハビリ系訪問看護ステーション

1つは訪問看護事業以外の収益事業を展開することです。

介護保険の通所サービス
児童デイサービス
ヘルパーステーション

等など、訪問看護事業以外の収益の柱を作ることです。

しかし、これでさえ報酬改定の影響を避けることはできません。だから、複数の柱のほとんどを診療報酬や介護報酬に頼るならその規模の大きさや収益割合などを考慮しないといけないですよ。

コンサルテーション業務

等は独自の料金設定をすることができるので、報酬改定の影響はうけない。だけど、顧客を獲得するまでの営業は大変でしょう。これだけで稼げるわけではないので、ちょっとどうかなって思います。

看護師の人数を増やす

リハビリ系訪問看護ステーションが今後最も力を入れるべきなのはやっぱりここだと思います。

訪問看護ステーションにおいてのリハビリテーションっていうのは、看護師さんの業務を補完するための役割なんですよ。看護師で十分に対応できないところを理学療法士や作業療法士、言語聴覚士で補う。

メインはあくまでも看護

だけど理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が起業する手段として訪問看護ステーションを選択するパターンが多く、看護師の数をセラピストが上回るという本来のパターンとは異なる事業形態が生まれたんですよね。

僕は、フリーランスセラピストとしてセラピストが1人の訪問看護ステーションに勤務していますが、看護師さんとの連携のメリットを感じています。

看護師がしっかりとフィジカルの部分を見てくれるから安心してリハビリテーションを提供することができます。

2ヵ所のステーション問題

医療保険での訪問の場合、一部の疾患を除いて1人の利用者さんは1カ所の訪問看護ステーションしか利用できません。

2カ所の訪問看護ステーションを利用することはできないのです。

現場でよく経験するのは

もともと状態が良かったから、リハビリ系訪問看護ステーションからのリハビリを利用していたけど、加齢とともに全身状態が悪化したから、看護師の訪問を利用したいけど、リハ系訪問看護ステーションなので、看護師数が十分でなく看護師の訪問は断られた

っていうパターン。だから、泣く泣く看護メインの訪問看護ステーションに事業所を切り替えて、リハビリはあきらめるって話をよく聞きます。

これ、1カ所の訪問看護ステーションで看護師の訪問もリハビリの訪問にもきちんと提供できていれば問題がないのです。

でもリハビリ系訪問看護ステーションは事業所の利用者さんの大半はセラピストの訪問を受けています。だからその人数に対応するための看護師数は確保できていません。

とくにリハビリ系の訪問看護ステーションの訪問エリアは広い。そのためにステーションの近所に棲んでいる看護師が夜間対応することもできないから、24時間の対応ができない。

これって逆なんですよね。リハビリテーションの補完業務として看護があるんではないんですよ、看護の補完業務としてリハビリがあるから訪問看護ステーションが成立するのです。

だから、リハビリ系訪問看護ステーションの必須の課題は看護師をしっかり雇用して、訪問看護を提供することなのです。

リハビリテーションは必要です

リハビリテーションは地域では需要があります。だけど、超高齢化を考えると看護とセットで考える必要があります。

リハビリだけの対応では限界があるし、看護だけの対応にも限界があるのです。

だから、リハビリ系訪問看護ステーションは看護に力を入れるべきなんです。

看護師だけのステーションとの業務提携

看護メインのステーションに吸収合併されてサテライトになる必要はないと思うが、近隣の看護師が多数在籍するような訪問看護ステーションとの業務提携みたいな運営はありではないかな。

2ヶ所訪問が可能な利用者さんに対しては、協力して訪問できるし、相互におたがいの得意分野の研修会等を開催することで、それぞれの職員の質の向上を図ることもできる。

訪問看護ステーションの2カ所問題をクリアすることはできないけど、協力関係にあればそこのステーションの看護師さんにリハビリを引き継ぐことはできる。

どうしても、リハビリ系訪問看護ステーションで起業したいとか、先輩がいるから働きたいとかって考えるなら、今と同じスタイルではもうだめだ。

収益の柱を増やすといってもそれは、起業している人が考えること

一職員として働いているなら、自分の所属している事業所がここに書いてあるようなことに対応しているかをしっかりと吟味してほしい。

2016年の診療報酬改定で、病院や診療所からの訪問リハビリテーション事業所は増加することが予測される。

たんに訪問リハビリしたいってだけなら、そういった訪問リハビリテーション事業所に転職するってことも一つの選択肢だ。

あくまでも2016年3月時点での個人的な予測です。

(追記)2017年2月時点での記事を公開しました。


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