写真_2019-09-11_10_28_43

【hint.519】「水」のふるまい

来月のはじめに控えている引っ越しに向けて、いよいよ今日から本格始動です。

ということは、僕たち夫婦にとって欠かせない「本」たちの整理が、これから本格化するということにもなるんですね。

今の家に住んで約2年間だけど、この間にも本はやっぱり増えた。

なので、この機会を活かして、今よりもスリムでややスマートな新生活につなげたいなぁと。


今朝は、そうやって過ごす中でふと目についた一冊から、ピンときた部分をシェアしてみますよ〜。

何しろこちらの本、1つのテーマが見開き2ページにスッキリとまとめられていて読みやすい。


<5限目 自分を自由にする「生の姿勢」論>
「78 ベターを選ぶだけの人生には、ベストがない。」
というタイトルの文章から、以下引用。

たとえば、水は常に低い方へ流れる。ここでは「水は低い場所が好きだ」ということにして話を進めよう。いつも自分の周囲に敏感で、好きな場所へ流れる性質を持っている。これは多くの人間と似ている。だいたいの人は、自分が好きな方、得する方を選択する。そういう人生を歩んできて今があるのだ。
 ところが、それが本当に求めるものか、というとそうではない。たとえば、「水溜り」というものが世の中にはある。高いところに池や湖ができることもある。水は常に低さを求めているのに、自分の周囲が少し高いだけでもう流れなくなる。収束計算でもこの問題が起こる。もう少し離れたところの数を試してみれば、さらに安定する解が得られるのだけれど、近くで探しているかぎり、それは見つからない。
 人生において、ほとんどの人は自分がやりたいことを探しているだろう。そして、そのときどきで、こちらかなと選んでいる。常に気をつけてベターを選択しているのだ。でも、なんか違う。自分が思っていたところへ行き着かない。これが本当に自分が望んでいた生き方なのか、とときどきぼんやりと不満を感じることはないだろうか。
 毎日、その日の中で一番楽しいことをしていると、ちょっとした高さを越えることができない。(中略)よく僕は、「望んでいれば願いは叶う」と書いているけれど、この「望む」というのは、その日のベターを選べという意味ではなくて、自分のベストを見極め、遠くを望むという意味の「望む」なのだ。今日だけの楽しみ、身近な面白さだけで生きていたら、そのうち、どちらへも動けない停滞感に苛まれることになる可能性が高い。
(いずれの引用も「『本質を見通す100の講義』著:森 博嗣 大和書房 2015年7月25日出版」より)

* * *

このタイミングで初めてまじまじと目を通した一冊。

生々しい話、「この本は引っ越し先に持っていく?それともここでお別れかな?」という精査をしているなかで、先ほど上でも触れたけれど、「1つのテーマが見開き2ページにスッキリとまとめられていて読みやすい」ことも手伝って、いくつかをサクサクサクと読み進めてしまった。


この世界における「水」のふるまいに着目し、それを「目の前のベターを求めている」と意味づけるこの感じ。

「水溜り」という実際に誰もが目にしたことのあるものを引き合いに、「そういう生き方をしていたら、あなたもいつの間にか『水溜り』になっているかもよ?」というメッセージはなかなか力強いし、なんだかオシャレだなと思ってしまった。

ただ、こうやって文章で読むととても気持ちがいいけれど、実際にじゃあ自分の日常にこの考え方を引きつけて考えてみたときに、「いま自分が考えているこの選択は、『目の前のベターを求めているもの』なの?それとも『自分がもっと深いところで求めているもの』なの?」と、いくら考えてみても、きっとその瞬間にはわからないんじゃないかなって思う。

その選択が、『目の前のベターを求めているもの』だったのか、それとも『自分がもっと深いところで求めているもの』だったのかって、けっきょくは、しばらく時間が経ったあとの自分が、その瞬間を振り返って感じる意味づけなんじゃないかな?

じゃあ、何ができるのか?どうすればいいのだろうか?

いま僕が思いついたことは3つ。

まずは、1つめ、「これがいま考えうるベストだ!」という感覚をともなって自分で選択をし、物事に取り組み続けること。

そのためには、2つめ、実際に選択をして行動に移すまでに、情報収集・整理を可能な限りていねいにすること。

そして3つめは、そうやって取り組んだ結果に対して、しばらく時間が経ってから「『目の前のベターを求めているもの』だったの?それとも『自分がもっと深いところで求めているもの』だったの?」という問いかけをすること。

この3つ自体は、書いてしまうだけならなんてことはないことかもしれないけれど、実際にこれを日常的に行ない続けるとなるとなかなか骨太で、エネルギーやスキルも必要になるよね。

でも、やっぱり「本当に大切なものを大切にする」には、ちょっとずつこういったことに取り組む時間を増やすことが重要なんだよね。

さぁて、「これがいま考えうるベストだ!」の瞬間を、今日もこれからたくさん味わえるようにしましょうかね〜。

今日のみなさんにも、そんな瞬間がたくさんありますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?