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余寒の京都旅「新熊野神社」四.影向の大樟


新熊野神社編の最終回です。


こちらの石標は、新熊野神社の大樟が京都市の天然記念物に指定されていることを示しています。


御神体である大樟を祀る社が建てられているので、拝殿と同じように本坪鈴が設置されています。


樟大権現くすのきだいごんげん樟龍弁財天しょうりゅうべんざいてん
この大樟は当社創建の折、紀州熊野より運ばれた後白河法皇お手植えの樟と伝えられており、樹齢九百年と推定されている。「影向ようごう(神仏が現れる)の大樟」として、当社の自然神信仰の象徴となっている。樹齢九百年の巨木でありながら、現在でも成長し続けている姿を見て、「健康長寿」 「病魔退散」、特に「お腹の神様」として御利益を求める人が後を立たない。
弁財天は七福神の一つで財宝をもたらす神仏として信仰を集めているが、元々はヒンドゥー教の川の神で、我が国でも水と緑の深いところに龍神として祭られていることが多い。当社では延びた樟の巨枝が、龍が飛んでいるように見えることから、龍に乗った弁財天、樟龍弁財天として信仰されてきた。

新熊野神社解説版
より引用

大きな枝が龍に見えたことから、神仏習合により龍に乗る弁財天と結びつきました。


こちらは"大樟くすのきさんのさすり木"になります。

お腹の御利益を得ようと御神木に直接触れる参拝者が絶えなくて、このような木が新たに作られたのでしょうね。剣神社の撫石も心地よかったのですがまるで大理石のようなツルツルとした触感。何度でも触りたくなる気持ち良さでした。

関係性のない異性の頭を撫でるのはもちろんセクハラ行為ですが、こちらはいくら撫でても弁財天様に訴えられることはありません、なんつって。


え?

間近で参拝できるの?


無理でした。

時刻は午前七時。もちろん鍵はかかったまま。ですよねー。残念。


後白河上皇お手植えの「大樟おおくす」さん
今から約八百三十年前、当社草創のみぎり、後白河上皇は紀州国(和歌山県)の熊野から土砂、材木などをこの地に運び、熊野になぞらえて、その新宮、即ち、新熊野いまくまの神社を創建された。その折、熊野より移植、国家鎮護と万民福祉とをご誓願、お手植えされたのが、現在の大樟である。又熊野の神々がご降臨になる「影向ようごう大樟くすのき」といい、健康長寿、病魔退散特に上皇が常にお腹をわずらっておられたところから「お腹の神様」と信仰され、人々から「樟木大権現くすのきだいごんげん」と尊崇されている。
朝夕排ガスの激しい場所にありながら、樹勢は益々旺盛で、日夜人々の営みを見守り続けている姿は、尊くかしこき極みである。

京都市の天然記念物

解説にかかれているように東大路通の交通量は半端なくて、よくもまぁ大きく育ったなと自然の偉大さに感心しました。

頭痛や目とか足腰の御利益はよく聞きますが、お腹の御利益は初めて見たかもしれません。


新熊野神社の「なぎ」のいわれ
当社は古来「梛の宮」ともいわれ、梛の名所である。ナギはイヌマキ科の常緑樹。雌雄異株で、葉は多くの縦脈からなり、容易に切れにくいため、縁結びの木といい、また実は二ツ並んで仲良くみのるところから、夫婦円満の目出度い樹とされている。
歌聖、藤原定家(鎌倉時代の人)は「千早振ちはやぶる遠つ神代の梛の葉を切りに切りてもはらいつるかな」と詠っているように、ナギは罪穢つみけがれ災禍わざわい病魔やまいなどをナギはらう霊験があると信じられ、熊野詣などには、道中安全のお守とした。またナギは朝凪あさなぎ夕凪ゆうなぎのナギから安全・無事を守り、平和と幸福を招来する霊樹といわれている。

駒札より引用

ダジャレの御利益ではありますが、ジンクスや験担ぎってほとんどダジャレですからね。トンカツ食べて勝負に勝つとか。


御神木「梛」の記念植樹
1980年3月17日、満二十歳の成人式を挙げられた今上天皇陛下は、格別のおぼしめしを以て当社へご参拝になった。その記念として樹齢二十年の『梛の木』を植樹された。

令和元年五月一日

大木といえば多くの人が楠木を思い浮かべると思います。梛も負けてはいません。寿命は千年以上と言われています。

もしかしたら千年後に"令和天皇お手植えの梛"として神格化されているかもしれませんよ。


第四回に渡ってお送りした新熊野神社の紹介は以上になります。

京都検定キッカケで知りましたが思ってた以上に素晴らしい神社でした。朝早く来すぎて楠大権現を間近で拝見することは叶いませんでしたが、また機会を見つけて訪れたいと思います。


少しだけ時間に余裕があったので東大路通を北に進み、橋の上からJRの線路を覗いてみました。このあたりは東海道線と湖西線の電車が走る路線になります。

京都タワーと京都駅ビルが遠くに見えました。


大楠の全景を撮りたかったので復路は反対側の歩道をあるくことにしました。近くでみるとよくわかりませんでしたがやっぱデカいですね。


実はこのあとJRで円町駅へ行く予定をしてたんです。バスのLED行先表示器を見てビックリしてしまいました。


え?まって?
バスで円町行けるの?


このあたりの路線って京都駅が終着だと勝手に思い込んでいました。何度もバス停に書いてある行先を見直しましたよ。京都市営バスっていろんな形の循環形ルートがあるんですね。202系統は九条車庫前を起点に東福寺~新熊野神社~熊野神社~円山~西大路駅をループします。"京都三熊野"巡りに便利な路線となっています。


なぜ円町に行くのか。


この旅の本当の目的をまだ皆様にお話していません。このままバスに乗っても良かったのですが、どうしても瀧尾神社で写真が撮りたかったので東福寺駅へ戻ることにしました。次回は暗くて撮影できなかった瀧尾神社へ行きます。



今回の参拝スポット


追記

note公式マガジンに記事が掲載されました。ありがとうございます。


『この街がすき』応募作品の中で、スキの週間一位を獲得しました。皆様ありがとうございます。感謝!!

2024/03/11



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