9月の推奨香木は「苦み走った伽羅」♫


「六国シリーズ」・「五味シリーズ」をスタートして改めて感じる疑問の一つに、「流派の御家元や御宗家において、木所の分類はどのように為されるのだろうか?」ということが挙げられます。
木所の分類は流派の御家元・御宗家がお決めになるのが大原則であり、流派が違えば、六国の決め方も異なって当然と言えます。

一例として、伽羅という木所について採り上げてみます。
或る流派の分類からは「ピンからキリまで伽羅は伽羅」と言う見識が感じられるのに対して、別の流派においては「伽羅らしい伽羅しか伽羅とは認めない」という強い意志が感じられます。
(上記の見解は、筆者の経験上得られた私見に過ぎません)

後者の場合、「伽羅らしい伽羅」とは一体どんな伽羅を言うのでしょうか?
感じ方は人それぞれかと思いますが、多くの場合、「喉の奥に絡みつくような」濃厚な立ち方をするもので、多様な「味」を具えていながらも支配的に
「苦」を放ち続ける、そんなタイプの伽羅を指すものと考えられます。

既に紹介済みの推奨香木にも未公開の香木にもそのようなタイプの伽羅が複数存在しますが、今回お奨めするのはタイトルの通り、「苦み走った伽羅」です。
立ち始めからガツン!と来る、どちらかと言えば野性的?な伽羅の香気が「喉の奥に絡みつく」感覚を、どうぞご堪能下さいませ。

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なお、仮銘は以下の証歌より「山路花(やまじのはな)」と付けさせて戴きました。

分けきつる山はいくへと知られぬに花の香ふかく袖ぞなりゆく
                 (頓阿)(二階堂貞宗)(草庵集)



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