8月の推奨香木は「顔に似合わずオーソドックスな真南蛮」♪


写真では解り辛いのですが…

今回お奨めする香木は、写真では普通に見えるかも知れませんが、実は極めて不思議な特徴を具えています。
通常なら木目は上下に通っているのですが、この香木の場合、90度逆になっています。
上手く説明できないのですが…写真の状態に置いて上から香鉈(こうなた)で叩くと、次のように割り落とせます。
この状態で、木目は上下に通っています。

タイ産の沈香らしい趣の古木ですが、一体、原木(沈香樹)のどのような部分がどのような過程で樹脂化を遂げたのか、容易には想像つきません。
具える香気もさぞかし特徴的でユニークであろうと推測するのですが、いざ加熱してみると、思いの他「真南蛮らしい真南蛮」なのでした。

立ち始めからいかにも蛮らしい匂いの筋を現わしますし、その現われ方は、とても穏やかでほのぼのとした雰囲気です。
つまり特有の「甘」も「鹹」も他の味とバランス良く絡み合うことによって全体として落ち着いた力強さを示しながら、しかも穏やかな雰囲気を保ち続けるといった風情です。

そのような雰囲気から、なんとなく伏見院の和歌から仮銘を採りたいと考えて、次の和歌から「仮銘 花の宿」とさせて戴きました。
(その後、思い直して「仮銘 やすらひ」に変更することにしました。ご諒承のほどお願い申し上げます)

道の辺や木の下ごとのやすらひに待つらん花の宿や暮れなん
                      (伏見院)(玉葉和歌集)

なお截香の都合上、分木の際には、2枚目の写真のように割った状態で適宜に計量させて戴きますので、ご諒承のほどお願い申し上げます。

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