見出し画像

カタログギフトのうなぎ

国産のうなぎなんて、ここ数年食べていない。
子供の頃は、ばあちゃんちに行くとよくうな重を食べさせてくれた。
近所のうなぎ屋から出前を頼んで、子供にもしっかり一人前食べさせてくれたのだ。今となっては幻の四角く大きな重箱。あの頃は「美味しい!」とわかったように食べていた。憎たらしいガキだ。

ある日、妻の親戚からカタログギフトが送られてき。
「好きなもの頼んでいいよ」と言ってくれたので、ぺらぺらとめくって悩んでいるふりをしていたけど何を頼むかはすでに決まっていた。
数日前スーパーの鮮魚売り場で見た『土用の丑の日』の文字が脳裏に焼き付いていたのだ。

『〇〇の日』というしきたりのことはあまり深く考えていないが、普段食べないものをわざわざ食べる楽しみがぼくは嫌いじゃない。今年も中国産で楽しもうと思っていたが、カタログギフトで国産を頼むことにした。

そしてその日はやってきた。
普段は和室でテレビを見ながら晩ごはんを食べるが、この日はダイニングテーブルに妻と向き合い座った。二人の目の前には器に盛られたうな丼が並んでいる。タレがてかてかと輝いている。

それでは、いただきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?