頭が足りないから本を読むしかない。 『男は本を300冊読むと顔つきが変わる。1000冊…

頭が足りないから本を読むしかない。 『男は本を300冊読むと顔つきが変わる。1000冊読むと急にモテ出す。』と友人に教えてもらった。ほんとかな

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タイタンの妖女

タイタンの妖女(The Sirens of Titan) カート・ヴォネガット・ジュニア著 浅倉久志訳 神のような力を持つ男・ラムファードは、大富豪であるコンスタントの人生を思うままに操ろうとする ※ネタバレ※ネタバレ※ネタバレ※ネタバレ 感想 ある男の人生全部を支配しようとするってとこが読んでて、中村文則の掏摸に出てくるボスの話を思い出した。 自分の生が、何か大きい力に全て仕組まれてると考えるのは決して気持ちの良いことではないし、ラストでサロ(トラルファマドー

    • サラバ!

      サラバ!/ 西加奈子著 イランで生まれた少年、歩が大人になるまでと、問題児の姉、自分を曲げない母、優しい父の物語。 家族、男と女、芸術、友情、宗教、色々なテーマがあった。家族への憎しみ、男としての衰え、辛い時の友達の存在の大きさ、納得できないとこも共感できるとこもたくさんあった。 歩に須玖がいてくれて良かったと思ったし、自分にとってのそういう奴を思い浮かべて心の中で感謝した。 ・気に入った文章 おばさんの芸術を愛する様子、そしてそれを決してひけらかさず、ただ愛によっ

      • さよなら、愛しい人/ レイモンドチャンドラー

        さよなら、愛しい人 (Farewell, My Lovely) レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 元恋人を探してバーにやってきた大男が、殺人を犯す現場に居合わせたマーロウ。その男に興味を持ったマーロウは元恋人の行方を探し始めるが、そんなマーロウの元に取引の付添人としての依頼が入ってくる。 マーロウシリーズの小説の中で二番目に面白かった。何回ボコボコにされても復活するマーロウがかっこよかった。思うのは、傷だらけで復活してきた男はどんな台詞を言ってもかっこよく見える

        • 劇場

          劇場/ 又吉直樹著 売れない劇作家の男がある日、画廊で見かけた女優志望の女に一目惚れし、一緒に暮らすようになるが、男は女の優しさに甘え、次第に奔放になっていく。 主人公の永田と自分が重なった。甘えさせてくれる人に対して感謝を忘れてしまい、どこまでも甘え続け、自分ではなかなかそこから抜け出せない。頭ではいけないとわかっているのに、昨日と同じ無駄な一日を過ごしてしまう。途中からは横暴な永田という人間が嫌いになっていたのに、小峰という才能と対峙している永田と自分を重ね、絶対に負

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          心の距離

          始めたての仕事 優しい先輩 話しかけられて 上手く返せない。 その人との間に 距離があるからだ 無理にその距離を 縮めていいのは 満17歳、までだ 『距離を感じる』 それは、心が 近づきたいと 思うからだ その気持ちがあれば 無理はせずとも 夏が過ぎるとも いつか縮まる 心の距離だ

          心の距離

          フィリップ・マーロウの教える生き方

          フィリップ・マーロウの教える生き方 レイモンド・チャンドラー マーティン・アッシャー編 村上春樹訳 レイモンド・チャンドラーのマーロウシリーズ作品から抜粋した文章を集めた本。 ロンググッドバイとさよなら、愛しい人からの文章が多い印象。自分も良いと思ってた文章が載ってると上がる。ロンググッドバイはストーリだけじゃなくて秀逸な文章もたくさんあったんだと改めて知ってまた読みたくなった。チャンドラーは世の中をシニカルに見てて、それをユーモラスに表現してるとこが面白くて好きだ

          フィリップ・マーロウの教える生き方

          レ・ミゼラブル(一)

          レ・ミゼラブル(一)/ユゴー著 佐藤朔(さく)訳 第一部ファンチーヌ パンを盗んだことで19年間牢獄に入れられていた男、ジャンバルジャンがミリエル司教と出会い改心する。ジャンバルジャンはマドレーヌと名前を変え、商売に成功し、巨万の富と名声を手に入れる。そんな彼の元で働いていた不幸な女、ファンチーヌは貧しさのため、一人娘であるコゼットを宿屋のテナルディエ夫妻に預けなければならなかった。 ミリエル司教が何よりも魅力的な人物だった。勇敢でかつ、貧しさの中に贅沢さを見つけるユ

          レ・ミゼラブル(一)

          ヤバい統計学

          ヤバい統計学(NUMBERS RULE YOUR WORLD) カイザー・ファンク著/矢羽野薫訳/ 阪急コミュニケーションズ プロレスのヒールみたいな名前の著者が10のエピソードを使って5つの統計学的思考を伝える本。 第1章、ファストパスとランプメーター ディズニーや交通渋滞の行列を解消するために容量を増やす(乗員数や車線数を増やす)という選択は適切ではない。その行列を解消するために生み出されたのがファストパスとランプメーター(高速道路への車の流れを制御する信号)だ。

          ヤバい統計学

          プレイバック/レイモンドチャンドラー

          プレイバック(Play back)/レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 ある女の尾行を依頼されたが、その女が男に脅迫されているところを目撃する。 今回のマーロウは頭がおかしかった。アムニー(弁護士)からの依頼を引き受けたのに途中で放棄するし、秘書(ヘレン・ヴァーミリア)には手を出すし、自分の性的趣向でベティ・メイフィールド(尾行していた女)を助けるし、やってることが滅茶苦茶でダサかった。滅茶苦茶だからかっこいい時もあるけど、今回はダサい方の滅茶苦茶だった。 ダサい

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          水底の女/レイモンドチャンドラー

          水底の女(The Lady in the Lake)/レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 駆け落ちした妻の安否確認の依頼を受けたマーロウは、依頼人の別荘近くの湖の底に沈むある女の遺体を発見する。 物語を終わらせるべきタイミングは過ぎてるのに延々と続いてく感があった。デガルモ(ベイシティーの警部補)に不当に痛い目に合わされたのに結局やり返せなかったのも読んでて悔しかった。 冷静沈着でタフなウェバー警部(敵にしたら恐い)が事件の真相を知って、マーロウの味方側になった瞬間

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          大いなる眠り/レイモンドチャンドラー

          大いなる眠り(The Big Sleep)/ レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 資産家の将軍から強請り屋を止めさせる依頼を受ける。依頼を進めていく中で、行方をくらました娘婿について将軍が案じていることを知る。 マーロウはスターンウッド将軍を人として、依頼人として気に入っていて、消えたラスティー(娘婿)の捜索を依頼されてないけど、真意を汲み取って最終的に捜索しようとするとこがかっこよかった。将軍に対してそこまでしてあげる動機はわからなかったけど、金を稼ぐことが第一の

          大いなる眠り/レイモンドチャンドラー

          銃/中村文則

          銃/ 中村文則著 ある日、橋の下で見つけた死体の側には銃が落ちていた。その美しさに惹きつけられた男は銃を持ち帰り、いつか自分がこの銃を使う日が来ることを確信する。 悪をしながら善もしようとしてる男が罪と罰のラスコーリニコフと重なった。(中村文則さんの掏摸を読んだ時も感じた) 最終的に救いがないのは、この作品がデビュー作で他の作品とは趣が違うからなのだと思った。 可能性を手に入れる 男が拳銃を手に入れることで高揚し、その高揚の理由が、”可能性を手に入れたこと”、拳銃を

          銃/中村文則

          掏摸

          掏摸 / 中村文則著 掏摸として生きる男が、掏摸仲間から強盗に協力するよう誘われる。報酬を得た男は身を隠すが数年後、東京に戻ってきて、強盗を取り仕切っていた男に再会してしまう。 中村文則さんの文章は、キャラクターたちが負う痛みとか不快感とか気怠さがイメージしやすいし、印象に残る描写が多いと思った。次からはそこに注目して読みたい。あと虫を表現によく使う気がする。 ・世界を笑った連中 男が子供に歴代の凄腕スリ師のことを『惨めさの中で、世界を笑った連中だ』って説明してると

          高い窓/レイモンドチャンドラー

          高い窓(The high window) レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 大富豪の老女から盗まれたブラッシャーダブルーン(希少なコイン)を取り戻す依頼を受ける。盗んだのは義理の娘だと思われたが、。 洗車係の男とか、エレベーターの爺さんとか、社会的に低く見られてる人と対等に付き合うことで好かれるマーロウを見るのは面白かった。しかもそういう人たちから重要な情報をゲットするとこが、アウトローな探偵って感じでかっこよかった。 本を読みながら歴代のチェスの試合を一人で

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          リトルシスター/レイモンドチャンドラー

          リトルシスター(The little sister) レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 行方不明の兄を探すよう頼まれた探偵フィリップ・マーロウはたった20ドルでその依頼を受ける。が、行方を探す中でアイスピックで殺された死体を見つける。 訳者があとがきに書いてるようにプロットに無理があるように感じた。結局、誰が誰をなぜ殺したのかよくわからなかった。今まで読んだチャンドラーの中で読み進めるのが一番大変だった。チャンドラーの小説には、建物とか人物の服装とか細かい描写が

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          去年の冬、きみと別れ

          去年の冬、きみと別れ/ 中村文則 二人の女性を殺害した写真家について本を書くことになった男は、写真家とその姉、関わりのあった謎の人形師を取材していく 本人も気づいていない真の欲望が他の何かを通すことで現れてくるってのがテーマだったように思う。 テレビタレントの性格を想像したり、遠距離恋愛の相手の生活を想像したり、でもその想像は常に自分の都合のいい願望だ。その願望と現実は確実に違うから、人は現実を知ってしまうと少なからず傷つくんだろうとそんなことを思った。 何かを作るこ

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