THE青森暮らし273

デコお盆。

 お盆になるとバッチャが忙しく動きまわるのですが、その一つに「仏壇こときれいにさねばマネ!」というのがあるようです。


 バッチャが言います。「さと子さん、農協さ行って、ジッチャの通帳から10万円ほど下ろしてきてけれ!」「いいですよ~」
 するとバッチャは真面目に言いました。「ジッチャ死ねば、貯金下ろされねくなってまうハンデの!」

バッチャ……! 
それは準備が早すぎるってものですよ!


 お盆前にお年寄りが一体何をするのかというと、

お寺にお布施を納めに行ったり、お墓参りの準備をしたり、墓周りの草むしりをしたり、仏壇にさげもの(正式名称は盆とうろう)という、鮮やかなピンクや黄色のモナカでできた飾り付けをしたりするのですが。


これは、ギャルの感覚で考えると、デコっている……。つまり、仏壇をデコレーションしているのです。


 お盆になると仏壇周りが派手になりますよね。


 仏壇に手を合わせに来る親戚も、若い人だと何故そのように派手なモナカが吊るされたり、光によって絵柄が回転する「回転燈ろう」が設置されているのか、意味がわからないと思うのですが、あれは、デコっているのです。


 この季節に仏壇・神仏具の通販サイトを見るとけっこう面白いのですよ。
 「盆飾りに新アイテム!」「新しいスタイルでお盆を涼やかに!」と、例の回転燈ろうがアイテムとして売られているのです。

お盆の仏壇はクリスマス・ツリーのようなものです。


 もしも、出かけた親戚の家で気合いの入った仏壇飾りを見かけたら、それとなく褒めてあげるといいですよ。「いや、本当に涼やだしカワイイですよね~!」そう褒められたら、また来年も気合いを入れて仏壇をデコりましょうという気持ちになるかもしれません。


 お盆になるとバッチャの命令で親戚回りをするのですが、それをバッチャ達の言葉では、「水を上げに行く」と言います。
「おばあちゃん、水をあげに行くのは新しい仏様の時だけですか?」と聞くと、バッチャは言いました。「なんも! なんぼ古ししても(古くても)いいんだねん!」


 言葉通りに、仏壇の前に置かれた水差しと小さいお猪口で、お線香を上げるのと同じように、水を汲んで供えます。
 お盆に親戚の家を回ると、必ず出されるのがスイカとトウモロコシと麦茶です。


 どこの家に行っても、スイカとトウモロコシと麦茶なので、ふとお盆に新風を吹き込んでやろうと思い、うちに来た親戚に

淹れたてのコーヒーとフィリピン産のドライマンゴーを出してみたところ、

「アレまあ! こったの、食べたことねえなあ~!」と驚かれ、大変喜ばれました。

 仏壇も親戚を驚かすためにいつか、ミラーボールなどの新アイテムで飾ってみたいところですね。

 2020年には、お釈迦様もびっくりのお盆がやって来るかもしれません。

※本記事は読売新聞青森県版「山田スイッチのTHE・青森暮らし」第273回に掲載されたものです。青森県版のみ毎週土曜日掲載。読んでね☆


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