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『Stay Alive』

1.「日本に生まれた」
東日本大震災の影響下で作られたLPのオープニング
曲名から連想する、いかにも長渕っぽい愛憎入り混じった日本への想いのメッセージ性の強い歌ではなく、
日本のこと日本に生まれた自分のこと我々日本人のことを、一歩引いてシビアに見つめ、よぎった気持ちのままを淡々と連ねている
それは長渕は活動家ではなく、詩人でありミュージシャンだから



2.「ガーベラ」
子供たちの純朴なコーラスが曲とマッチしており、リスナーの心をかきむしる
同じく子供が歌った曲、ザ・クラッシュのLPサンディニスタ収録「Career Opportunities」のような汚れのなさ



3.「六月の鯉のぼり」
「明日僕はまた壊れた船に乗り君を守るその為に海に出る」
起きた事をようやく受け入れ、少しでも前を向こうとする人々の心の揺らめきを、たった一行で言い表わしている



4.「僕と歩こうよ」
こういう時にかける言葉なんてないけれど「もう泣かないで僕といっしょに歩こうよ」



5.「カモメ」
鮮烈で具体的な描写の、東日本大震災時の原発事故の歌
現実から目を逸らさず臭いものに蓋をしない長渕
強い意志を持ってそうしているというより、当たり前のこととして、自然体でそういうアティチュードでいる



6.「明日をくだせえ」
体制批判
踊れる四つ打ちビート+アコギカッティングに乗せることにより、言葉が一層鋭利になる(編曲は長渕本人)
聴く側も長渕痛快とか言ってる場合ではなく、自分で考えろと教えてくれる


7.「ひとつ」
震災後に一番最初に出した、励まそうとするより一緒に悲しもうとする歌



8.「しあわせの涙」
震災で行方不明になった彼氏(夫かも)を探し待ち続ける、女性の心象スケッチをモチーフにした悲しみの歌
と言っても、片想いのラブソングとしても成立するように直接的に震災を連想するような言葉は使っておらず、美しい旋律のバラードとしても聴ける
エレキ弾き語り



9.「Run for Tomorrow ~明日の為に~」
手癖だけで書いたいつもの這い上がる系の歌詞だけど、リスナーの状況下次第では感情移入出来るのだろう
アレンジがかわいらしい



10.「愛おしき死者たちよ」
震災で亡くなった方達への弔い
死者の為に歌うという視点は、事象を俯瞰でシビアに見る力があるからこそ
そしてそれは無骨な優しさになる



11.「Stay Alive」
アコギ弾き語りバラード
シンプルにする為に弾き語りなのではない
ストレートにダイレクトに伝える為に、不純なものを省き磨きあげたら自ずとギターと歌だけになったんだ

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