ママのおまじない(no.76〜no.80)

この「ママのおまじない」は、心臓病の子どものための保育教室『そらとぶペンギン』に通っていた生徒が小学生となり、そのお母さんが2004年から2007年まで、『そらとぶペンギン』のサイトに掲載していたものです。

76.運動会

土曜日、運動会が無事に終わった。
朝、おにいちゃんとゆきのお弁当を作りながら、
なんだか胸がじーんと熱くなってきた。
「おにいちゃん、いろいろあったけど、小学校最後の運動会だね」
「ゆき、練習、大変だったけど頑張ったね。」とか・・・

50メートル走、最後まで走れたね。
準備体操、大玉ころがし、ソーラン節、ニコニコしながら元気にやっていたね。
昨年より、安心して見る事ができた。
今年は、おにいちゃんが気になってしかたがなかった。
「放送係」を立候補したらしく、数日前からかなり緊張していたから。
そーと放送席のうしろにいくと、緊張してキョロキョロしているおにいちゃんがいた。
でもゆっくりはっきりアナウンスしていた。
ふたりとも、大きくなったな~
えらいな~
ありがたい~としみじみ思ったのであった。

私も子ども達に負けじとPTA種目の「つな引き」にでた。
ハッスルしすぎて、腰を痛めたのだ。
がんばったふたりと、情けない私・・・おつかれさまでした!

77.ばっかり病とどうして病

時々、私の中にこの病気たちが出現する。
「ばっかり病」と「どうして病」。

ゆきが、学校の尿検査で血尿がでて、
近くの大学病院に行くように、学校から勧められた。
学校を早退して、小児科の腎臓の専門の先生に診ていただいた。
やはり、病院で採った尿からも「血尿」だけでなく「タンパク」もでていた。
考えられるいろんなことを話してくださった。

心配のないものから、腎炎、腎臓そのものの奇形からくるもの・・・まだまだ
たくさんあったけど、腎臓に関して、まるで知識がないので、
わからない授業をボーと聞いている・・・そんな感じだった。

いろんな検査をして、結果がわかるのは1週間後。
帰りのタクシーの中で、
「いつもゆきばっかり・・・」
「どうして?なにが原因なの?」
そればかり考えていた。

でた!でた!私のばっかり病とどうして病。
これを考え始めるとキリがないのは、自分が一番よくわかっている。
でもどうしていいかわからない。
長い1週間になりそうだ。

78.長いつきあい

尿検査などの結果がでた。
「チアノーゼ性腎症」だろうということ。
この病気は、心臓病からきていて、長いこと酸素の少ない血液の循環から、腎臓にも負荷がかかって「タンパク」などがでてくるというもの。

チアノーゼ・・・こんなところにも影響してくるとは。
納得する反面、
これからなにがおこるのか?という不安な気持ちももちろんあった。
今のところ、薬の服用もなく、月に一度の尿検査で様子をみていきましょうという
お話しだった。

私がかなり落ち込んでいた様子だったせいか?、先生は、
「数年先になにがおこるということではなく、将来的に腎臓の機能を保っていけるように管理していきましょう」と、丁寧に腎臓の絵も書きながら言ってくださった。
横で話しを聞いていたゆきは、言った。
「先生も絵、上手じゃん!」
(先生も・・・ってあんた!言葉つかいが悪すぎだよ!ゆき!)
暗い気持ちもどこかにふっとんで、先生と笑った。
最後に、先生が一言。

「お母さん、この子、なかなかおもしろいよ!」
ゆきのことで落ち込み、ゆきの言葉で救われた。
この病気とも先生とも長いつきあいになりそうだ。
よろしくお願いします。。。

79.ピアカウンセリング

昨日、守る会主催の「ピアカウンセリング講座」に参加してきた。
ピアって?なんだろう。。。
とても興味深々だった。

同じ立場、状況、共通するものがあるもの同士が話しを聴き、時には、情報提供もする。
そんな風に受け取ったけど、違うかな~?(不安・・・)
あくまでも話し手が主役。
無理強いはしない。

私も病院で知り合ったお母さんと話したりすることが多い。
その時、どうしても相手の話しを聴くというより、自分の経験してきたことを、 話したくなったり、どんなことを言ってもらいたいのだろうかとそんなことばかり考えてしまう。
そして最後は、なにかしらのアドバイスもしたくてたまらなくなる。
時には、相手のお子さんとゆきを比べては、「うちよりいいじゃない!」みたいなことも頭の中をよぎってしまう。
う~最悪だった。

話しを聴くことで、自分自身も癒され、救われることもたくさんあるという。
私は、今まで、たくさんの人に支えてもらってきた。
どんなに救われたことだろう。
これからは、少しずつでも、相手の話しに寄り添って、聴いて、一緒に考えられる・・・
そんな人になりたいと心から思った一日だった。

80.今年のプール

暑い日が続いてきた。
いよいよ今年のプールが始まる。
昨年は、私がプールサイドで付き添った。
今年は?
養護の先生が「今年は、お母さんの付き添いなしでいけるように校医の先生にも話してみましょう。」と言ってくれた。
私は、不安ながらも正直、炎天下で2時間立っているのは、つらかったので『ラッキー!』と思ったのだった。

でもフタをあけたら、校医の先生はOKだったものの、担任の先生が「お母さんの付き添いが必要」という判断だった。
昨年は、1年生ということもあって、補助の先生が2名ついたけど今年は1名しかつかないということ。
その補助の先生もゆきのための先生ではない。
そして、先生が「プールでもゆきちゃんは、忙しくしている私に遠慮して体調の変化など言わないのが心配なんです。」
その一言で、今年も付き添いを気持ちよくやろう!と決めた。

ゆきが楽しく、元気でプールができますように・・・
たくさんの水の楽しさが味わえますように・・・

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