ママのおまじない(no.16〜no.20)

この「ママのおまじない」は、心臓病の子どものための保育教室『そらとぶペンギン』に通っていた生徒が小学生となり、そのお母さんが2004年から2007年まで、『そらとぶペンギン』のサイトに掲載していたものです。

16.さよならの涙

私が別れ際に、悲しくて、さびしくて泣いたことって、いつが最後だったかな?
最近のゆきは、「さよなら」の時によく泣くのである。
先日のサマーキャンプの時も、バスの中で大泣きし、おばあちゃんのうちに行っても、帰る時間が近づくとメソメソし始める。
おとなりのうちの、ひとつ年下ののんちゃんが遊びに来たときも、そうだった。

確か、おにいちゃんも数年前はそうだった。
よく泣いては、私に「また会えるよ。」「帰ったら、電話してみよう。」最後は「いい加減に泣きやみなよ~」と言われていた。

気の強いゆきは、普段、メッタなことでは泣かないので、この「さよならの涙」は、なんだか新鮮。
だから、私も半分おもしろがって(笑)何も言わないで、泣かしておく。
それにしても、泣くほど楽しい、泣くほどうれしかったなんてうらやましい気もする。
それと、そういうことを感じるゆきの成長に驚きつつもうれしく思う。

今度は、なんの「さよなら」で泣くのかな~?

17.誕生日

昨日、ゆきは7歳の誕生日を迎えた。
毎年、正直、うれしいという気持ちと 同じくらい「来年の誕生日もいっしょに迎えられるかな」という不安な気持ちが湧きあがってくる。

でも今年は、私自身、浮かれていた。
調子にのっていた。
せっかくの夏休みだからと、ゆきに、無理をさせていた。
なにかを忘れていた。
そんな私を神様が注意してくれるように、誕生日の3日前から、ゆきは熱を出し始めた。
いつもなら1、2日もするとよくなるのに、今回は、なかなか下がらない。
苦しそうな息づかい、心拍もいつもより早くなっているようだ。

そんな中、誕生日になった。
「氷まくら」「おかゆ」「病院」の一日になった。
ゆきにとっては、 最悪な誕生日かもしれないが、私にとっては、「初心に戻れ」「何が大切かよく考えろ」と教えてもらったような気がした。
子どもの誕生日って、私が「ママ」になった日なんだ。。。
昨日も、またひとつ「ママ」にしてもらえたような、そんな日だった。

しかし、ゆきは「ねつのバカ~!!」と怒っているが・・・

18.仲間

今日は、久しぶりに二人の友人と電話で話した。
ひとりは、ゆきの手術と同時期にお子さんが手術をしたNさん。
ICUの面会も一緒だった。
Nさんは、いつも豪快に「わははは!」笑う明るいママ。
お互い、入院が長引き、 病院の階段でふたりして泣いたこともあった。
でもそれから3年・・・
先日は、お子さんの小学校の修学旅行に付き添って、無事に行ってこれたと報告の手紙とおみやげのおまんじゅうを送ってくれた。
そのおまんじゅうをありがたく、いただいた。

もうひとりは、ゆきと同じ病気のRちゃんのママ。
残念なことに、お子さんは亡く なってしまったけど、今もお付き合いをさせてもらっている。
今日も「ゆきちゃん、 お誕生日おめでとう」の電話だった。
うれしくて、ありがたかった。
まだゆきが小さい頃、抱っこしながら、よく電話で話した。
「寝ない」「食べない」「顔色、悪い」・・・いろんなことの不安を話し合った。
でも最後はきまって「かわいいよね~」で締めくくった。

私の、ゆきの大切な大切な友達・・・ 苦しいときをいっしょに過ごした仲間。
同じ時間を笑って、泣いて、怒って、最後はまた笑ってきた仲間。
これからも、 たくさんのしあわせが仲間たちに降りそそぎますように・・・

19.新学期

いよいよ今日から2学期が始まった。
普通なら、ホッとしていると思うのだが、私はなんとなく違う。
新学期になると心に誓うことがある。
「学校がすべてじゃない」と。

というのも、
おにいちゃんが、3年生のときに学校に行きたがらなかった時期があった。
いろいろ原因を考え、担任にも相談し、でもはっきりとした理由はわからなかった。
その時の自分は、みっともないくらい動揺し、苛立ち、自分を責め、一番つらいはずのおにいちゃんにきつくあたり、最低最悪だった。
いまでも、時々、「学校、めんどうだな」と言うものの、前の悲痛な姿ではなくなった。

しかし、また「学校に行きたくない」という時もあるだろう。
そのときは、しっかり地に足をつけて、彼の話しをじっくり聞き、「学校、休めば~」 「のんびりすれば~」と言える自分になりたい。
学校に行っても行かなくても、大事なあなただよ。と言える自分になりたい。
いつも新学期になると、心に決める私である。

けど、やっぱり難しいな。。。

20.ママの休日

雨の日曜日。
朝も涼しくて、気持ちよくて、ゆきとゆっくり寝ていた。
おにいちゃんは、もう起きているのはわかっていたが、ついウトウト。。。
「そろそろ、お腹すくよね。」と思って起きたら、夫が台所に立っていた。

「今朝は、パパがピザを作ってやるから!」と粉をこねていた。
昨日の夜もチャーハンを作ってくれた。
「やった~」と一番喜んだのは、もちろん私だ。
のんびりコーヒーを飲みながら、待った。
幸せ~♪

生地から作った、チーズとバジルだけのシンプルなピザ。
おいしかった! 食の細いゆきもたくさん食べていた。

それにしても、どうして急に夫は作ってくれたんだろう?
そうだ!
昨日、私が「主婦にはお休みがない!ママにも休日を!」と叫んでいたからかも。(笑)
おかげでゆっくりした雨の休日になった。
晩ごはんは、ママが作るからね。
ありがとう!

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