ママのおまじない(no.81〜no.85)

この「ママのおまじない」は、心臓病の子どものための保育教室『そらとぶペンギン』に通っていた生徒が小学生となり、そのお母さんが2004年から2007年まで、『そらとぶペンギン』のサイトに掲載していたものです。

81.比べること

こんな梅雨空の毎日では、気持ちもなんとなく滅入ってくる。
実は、この数ヶ月、なかなか心が晴れないのだ。

始まりは、ゆきの尿検査の再検査。
そして、腎臓になにかしらの問題があるかもと言われてからだ。
いつもなら、少しすると、心に中で折り合いをつけ 自分なりに消化しているのに、今回はちょっと別のことも重なり、なかなか復活できない。
もがいている自分がよくわかるのだ。

よくよく考えると、心のモヤモヤの底に「他人と比べる」、「過去と比べる」・・・
「比べる」ことから始まっているように思える。
『みんなに比べて、走るのが遅い』
『みんなに比べて、身体が小さい』
『みんなに比べて、体力がない』
『前に比べて、疲れやすくなった』
『去年の今ごろと比べて、顔色悪いかも』
その『比べて』が私を苦しめている。
ゆきだけを、また自分だけを、今だけを見ていればいいのに・・・
『比べる』ことからはなにも生まれない。
そうわかっているのに・・・

いつになったら、どうしたら、『比べる』ことから卒業できるのか、
誰か教えて!

82.日々、イロイロなことが・・・

大人の私たちも毎日、何気ないひとことで傷ついたり、
傷つけたり忙しい日々を送っているけど、
子どもたちも大人に負けないくらい、イヤ私たち以上に波乱万丈な毎日を送っている。

今週のゆきがまさにそんな感じだった。
水曜日に、
「集会の時、となりにいた1年生の男の子に『くちびるの色、キモい~!』
と言われて泣いちゃった。」と帰ってきてからまた泣き出した。
昨日は、クラスの女の子に手紙をもらってきた。
『しんぞうびょうだからってあまえないでね。わたし、少しおこっているんだ。』
というものだった。

『くちびるの色がキモい」の時は、私と抱き合っていっしょに泣いた。
昨日は、ゆきに「どうしてそんなこと書かれるのかな?」と聞いた。
ゆきは「別の友達が、いつも荷物を持ってくれるのを見て、そう思ったのかも」と。
でも他にも、必要以上にお友達を頼っていることもあるのかもしれない。
でも、でも・・・
ゆきは、心臓病だけど、なにもかも心臓病にせいにはしてほしくない。
ゆきは、なにもかも心臓病のせいにはしてほしくないけど、やっぱり心臓病だ。
難しい・・・

時間がかかる課題だ。
以前、担任の先生から連絡帳にこんな言葉が、
「ゆきちゃんも少しずつ心が強くなるように願っています。」
同感・・・
日々、イロイロなできごとの中で心も身体も強くなっていくのかもしれない。

83.刺激

先日、2日間にわたって都主催の「ピアカウンセラー養成研修」に参加してきた。
以前から興味もあり、先日、守る会の講座にも参加したので・・・
という気軽な気持ちからだったが、行ってみたら、
私はまだまだ『ひよっこ』という位、若ゾウで、
今までのゆきを通しての経験はうすっぺらで、まだまだ~!という感じがした。

もちろん、講義の内容もためになったが、参加していた方々の熱い思いや姿勢を感じることができて、なによりの刺激をもらった。
年齢を重なることが、経験を積むことが、楽しみになってきた。
これからいろいろなことがおきても、それらは、きっと私の力になる。
その力が、10年後、20年後の私になにをプレゼントしてくれるだろう。
ふふふ・・・そのころの私、いったい何をやってんだろうな。
ゆきとおにいちゃんはどんな大人になっているんだろう。
心から楽しみに思えた二日間だった。

こうして研修に参加できるくらい、余裕のできたことにも感謝!

84.ストレス

「ママ、明日の朝、ゆき、死んでるかもしれない」・・・
昨日の夜、ゆきが言ったことば。

「窓、あけて!息ができない!」と言い始め、
はあーはあーと苦しそうにしているゆき。
あわてて、座布団などで傾斜をつけて、氷枕を用意し寝かせた。
少し、背中をさすったりしていたら、落ち着いたようで眠りについた。
それにしても、朝になったら・・・なんてこわいことをどうして?
それくらい苦しかったのかも。

今朝、まだ少し息苦しいというので、近くの大学病院に向かった。
毎年、サマーキャンプにも同行してくださる先生。
一目見て、
「どうも心臓からではないようだね。ストレスからかもしれない。」とおっしゃった
何っ、ストレス~!!!??? でも、1学期はメガネや歯の矯正、腎臓の受診、おともだちからのことば・・・
などなどたくさんの出来事があったものね。
先生は、「苦しかったね、必ず、よくなるからね。」とゆきに声をかけてくれた。
7歳の小さなゆきの胸には、いろんな思いがつまっているんだよね。
ママは全然、気がつかなかったよ。ごめんね。。。
でも「死んでるかもしれない」・・・悲しすぎるよ。ごめんね。

85.Kちゃんの引越し

この夏休み、ゆきと同じクラスの友だち、Kちゃんが仙台に引越す。
でも、3年後には戻ってくるという話だが・・・
Kちゃんは、朝も帰りも一緒に登下校し、
放課後もうちでいっしょに宿題をやったり、アイロンビーズをやったり、
雨上がりの公園に、長くつをはいて、あめんぼ採りに行ったのもKちゃんとだった。
こんなに楽しく過ごせたのも、Kちゃんのおかげだと言ってもいいほどだ。

引越しと聞いたとき、ゆきはもちろん私もショック!
でも、しばしのお別れのために、ゆきはお手紙を書き、
昨日は、うちでお昼ごはんも一緒に食べ、午後、ゆっくりふたりで遊べるように時間を作った。(私からのささやかなKちゃんとゆきへのプレゼント♪)
帰りの時間に近づいたころ、Kちゃんはアイロンビーズでゆきに、
「わ・す・れ・な・い・よ」と作ってくれ、
「今度、こっちに戻ってくる頃には、ゆきちゃんの心臓、治っているといいね。」
と言ってくれた。
ゆきは、はずかしそうななんとも言えない顔をしていた。
別れがたくて、ゆきはKちゃんのおうちまで送っていった。
(いつもは送ってもらうのにね・・)

本当に、本当に、Kちゃんありがとう!
出会いがあれば、別れもあるのね・・・とそんなことを感じた夏の日だった。

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