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特別養護老人ホームの建設

私は以前、特別養護老人ホーム安立園の入所検討委員を務めていました。
入所検討委員会は、コンピューターで判定された入所順位を再検討するのが目的で、施設関係者3名と第三者の私の4名で構成されていました。
定期的に、あるいは臨時に開催され、入所を申し込まれた方の中から、順位上位の方、緊急度の高い方などの住まい・介護の環境や介護者の状況や家庭の事情、さらに相談員の面接の情報など、コンピューターで数値化されない事情を踏まえて、総合的に判断して入所の順位を決定します。
入所を検討されている方の中には、諸事情もあり1日も早く入所されることを願うケースもありました。
しかし、だからと言って、待機者を減らすために特養を建設すればいいといった簡単な問題ではありません。

ひとつに、施設か地域かという問題。
私が民生委員の時に介護保険が導入され、研修では、介護保険は家族介護から社会で支える「介護の社会化」であると、また介護を施設ではなく地域で支える仕組みを構築するのが目的のひとつであると知りました。「いつまでも地域で暮らし続ける」ことが目的であったはず。さらに2025年に団塊の世代が75歳を迎えるにあたり、「地域包括ケアシステム」を構築しますが、これは要介護となっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることを目的にしています。そういった議論もなしに施設を作り続けるというのは少し乱暴です。

こちらは、安立園のサービス付き高齢者住宅「さんぽ道」です。いつまでも、自分らしく暮らせる家として安立園が建設しました。ここには、安立園の生活サポートという安心とともに、施設にはない自分の家で暮らす自由があります。

それから、介護保険料の問題です。
2000年の介護保険導入時には、1号被保険者(65歳以上)の介護保健料は3000円を下回っていたのに、今では6000円に届く勢いで、今後も上昇が見込まれています。
介護保険導入時に国民からの反発を避ける目的で、介護事業の半分を税金、残りは保険料で賄うしくみにしました。
そのため、特養を建設すると介護サービス量が増えるので、介護保険料が高くなってしまうのです。介護を充実させたら、その分、高齢者の負担も増えるという、「介護の社会化」とは名ばかりの制度設計です。
しかも、介護保険制度は財政的に破綻しているとも言われ、基礎自治体に負担、しわ寄せがきている現状です。

このような状況を踏まえた上で、誰もがしあわせなになるために、また持続可能な府中をつくるためには何が必要なのか考えねばなりません。
施設ではなく地域で支える仕組みを充実させるべきか、負担が多くなっても特別養護老人ホームをつくった方がいいのか。また、同じ建設するのでも、将来のことを考慮して建物を転用できるものにするのかなどなど。
それは誰かの判断に任せるのではなく、私たちが自分のこととして、どうすべきかを考える課題であると思います。

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