ママのおまじない(no.61〜no.65)

この「ママのおまじない」は、心臓病の子どものための保育教室『そらとぶペンギン』に通っていた生徒が小学生となり、そのお母さんが2004年から2007年まで、『そらとぶペンギン』のサイトに掲載していたものです。

61.インフルエンザとおにちゃんのココロ

もうすぐ春だと思っていたのに、3月にはいって、おにいちゃんひとりがインフルエンザB型、A型続けて罹ってしまった。
いつもたいした風邪もひかないのに・・・
まあ、罹ってしまったものは仕方がない。
でもね、いつもおにいちゃんが病気になると、私は、彼の心配よりも 「ゆきにうつりませんように・・・」「ゆきにうつったらどうしよう~」
とそんなことばかり思っていた。

今回もそんな感じの私だった。

おにいちゃんを近所の病院に連れていくと、そこの先生も、ゆきのことを知っていて
「妹さんにうつらないといいね、離れていなさいよ。」と言う。
処方箋を持って、薬局に行くと、
「ゆきちゃんが心配ね。」と言う。
誰もおにいちゃんのことを言わない。
そう、私もそうだった。ずっとそうだった。
そんなみんなのキモチを感じてか、または、いじけて?か
「ぼくは、違う部屋でねるから。」とおにいちゃん。
「どうして?」と聞くと
「ゆきにうつったら困るでしょ。」と言う。

いままでも、本当は心配してもらいたいのに、優しくしてもらいたいのに、みんなゆきのことばかり・・・
おにいちゃんのせつないキモチが痛いくらい感じた。

「熱のあるアンタをひとりで寝かせられられないよ。
ゆきにうつったら、そのときはそのときよ!」と私が言ったら、
なんだか、少しうれしそうなおにいちゃん。
今回のおにいちゃんのインフルエンザは、私に大切なことを気がつかせてくれた。
今のところ、ゆきにもうつっていないようだ。ホッ。。。

62.ドキドキドン!一年生

          ♪さくら咲いたら一年生、ひとりで行けるかな~
   ねむたくなったらどうしよう~きょうしょくはうまいかな?♪

とてもたのしい歌。幼稚園卒園のとき、そして入学式では2年生がうたってくれた。
なんて楽しいうた。一年生のドキドキした気持ちが伝わってくる。
このうたを、ゆきたち一年生が新一年生のために入学式で歌うのだ。
3学期、ずっと練習していたらしい。
先日、全校集会で「お披露目」があるとのことで、一年生の保護者は見学してもいいというので、ワクワクしながら行ってきた。

入学式で聞いたのが、昨日のことのようだ。
歌っている2年生がとてもしっかりして大きく見えた。
あ~でもでもゆきも大きく見える。
たくましく見える。
しっかりして見える。。。
この1年間でこんなに大きくなったんだね。
泣いて帰ってきたこともあった。
お友だちと笑って帰ってくるときもあった。
つまらなそうに帰ってくるときもあった。
今にも倒れそうに、ボロボロになって帰ってくるときもあった。
ドキドキドン!の一年生は、無事に終われそう。
本当に、本当に、がんばったね。

2年生も この歌の最後の詞のように、
  ♪ドキドキするけど、ドンといけ~!♪ 

63.いちご狩りとおねえさん

だいぶ春らしくなったこの日、サマーキャンプで知り合った方々と
いちご狩りに行くことになった。
朝からワクワクしている、子ども達と私

うちの車にキャンプのおねえさんが乗ってくれて、ゆきは大はしゃぎ。
まるで自己紹介のように(初対面ではないのに。。。)
「ゆきはしんぞうびょうだから。」と言う。
おねえさんは、「おねえさんも心臓病よ。ゆきちゃんと同じ病気よ。」と言う。
ゆきはどう感じたかな?

その後も「おねえちゃんもほっぺた赤いの?」と聞いたり、
おねえさん自身からも「なだらかな坂を歩くのは結構つらい」とか・・・
私が想像したくてもできない、私が答えても説得力がないこともおねえさんが言葉にすると、ゆきにとっては魔法の言葉のように心にスーと入っていくのかもしれない。
同じ病気の人と話すことって、きっとゆきのこれからに必要なのかも。
う~ん、これも私の想像にすぎないけど・・・

いちごが得意でないゆきも、おねえさんと手をつないでもらい6粒!食べた。
おにいちゃんは、おいしそうないちごを採ってはみんなに配っていた。
私は子どもをそっちのけで、いちごを一年分食べた。(笑)

親の私の勝手な想像というか妄想だけど、
ゆきも大きくなったら、おねえさんみたいなキレイな女性になってほしいな・・・
10年後、20年後のゆきを想像してみたりして。

美味しかった!楽しかった!うれしかった!の一日だった。
これからもよろしくね♪おねえさん!

64.ごほうび!?

今日から1泊で箱根に旅行♪
しかも家族ではなく、私の大好きな友人たちと3人で行くのだ。
結婚してから、泊まりでうちをあけることはなく、まして、ゆきが生まれてからはそんな余裕もなかった。

しかし、今回、友人のお誘いを受け、夫に相談すると、
「この1年間、ゆきの学校のことでも頑張ったし、ごほうび旅行で行ってきなよ。」と言ってくれた。
でも夫からあらためて「ごほうび」と言われると、なんだかうれしさは通りこして、「あたりまえのことを、フツウにやっただけ・・・」と謙虚な(笑)気持ちになったり。

旅行が決まってから、まるで子どものように
「寝ないで、一晩中、話すぞ~!」「おいしいもの、食べるぞ~!」などなど
胸ふくらませて、ワクワクしている。
おにいちゃんは、「ママ、イヤなこと、忘れて楽しんでおいでよ。」なんて・・・
「イヤなこと」ってなんだ?
ゆきは、「パパと寝るからいいもん!」とあっさり・・・

さて、お留守番の3人、仲良くやってね。
ありがとう!行ってきます~

65.階段

いよいよ、ゆきも2年生。
おとなりのおうちの、のんちゃんが1年生になったので、
「いっしょに行くんだ~!」とはりきっている。
それにしても、のんちゃんの方が身体もだいぶ大きく、しっかりしていて、どっちが2年生!?という感じだが・・・

黄色いぼうしや、黄色のランドセルのカバーも外し、くつ箱の場所や教室も変わる。
うちの学校では、2年生から教室が2階になる。
ゆきも「階段で誰かに押されたらどうしよ~」
「疲れそう~」と心配している。
ゆきの階談の上り方、下り方は、なんとも危なっかしい。
できれば誰かに手をつないでもらったり、手すりにつかまりたい。
不安な気持ちもよくわかる。

授業もハードになってくるだろう。
お友達との体力の差もでてくるだろう。
誰かに助けてもらいながら、何かにもたれながら・・・
でいいから無理しないで、一歩一歩いこうね。

階段の途中で、休憩してもいいんだよ。
ゆきは、いろんな意味で階段を上りはじめているのだ。

階段・・・お願いだから、落ちないでね~(汗)

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