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続・脳科学の未来(6)コネクトームのパイオニア達#2

実は、「コネクトーム」というものが、既に解明されてしまっている生物がある。センチュウ(C. elegans)である。体長1mmほどの小さな線形動物センチュウは、シドニー・ブレナー博士の先見性から見出され、1960年代、その単純さから優れた生物モデルとして使用され始めた。

Wikipediaより CC BY 2.5

ゲノム研究の初期でも、方法論を試すためのパイロットテストの材料として用いられたセンチュウは、雌雄同体成虫の個体ではニューロンの数が302個と、各ニューロンが「同定」可能であり、更に、どんな個体でもこれは同じである。

1970年代から80年代にかけて、電顕を用いて、センチュウ体内に存在するすべてのニューロンのシナプスを介してのつながりの様子、つまりミクロなレベルでのコネクトームが明らかされた。センチュウ研究の発祥の地ケンブリッジ大学にいたジョン・ホワイト氏(現、ウィスコンシン大学名誉教授)らの先駆的な仕事だ (White et al. Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 314, 1 (1986))。

https://www.opensourcebrain.org/projects/celegans

(一週間に一度のペースで更新しています)


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