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続・脳科学の未来(1)コネクトーム

ゲノム(Genome)という単語は、Geneと-omeという要素からできている。Geneに-omeを付けることで、ひとつの生物種などが持つGeneの全体像を表現している。-omeを付けた造語は、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、グライコームというように、バイオテクの分野では次々と登場し、もはや皮肉を込めた「またですか!」という、関心を引くためのバズワードのようにもなっている。

脳科学、神経科学の分野で、この10年ほど、注目されてきた-omeが、コネクトーム(Connectome)である。コネクトームは、connectと-omeの組み合わせでできた造語であり、ニューロン(神経細胞)同士がつながる(connect)ことでできた神経回路ネットワーク、つまり脳の配線の全体像を意味する。この単語が、文献上、初めて使われたのは、2005年。インディアナ大学のドイツ人神経科学者オラフ・スポーンズ博士がヒト・コネクトーム(Human Connectome)という概念を記述した論文である。

コネクトームの全体像については、2016年に私が執筆した脳科学辞典(日本神経科学学会)の項目が詳しい。しかし、それから5年以上が経過し、内容的にアップデートが必要である。これが今回のシリーズを書こうと思ったきっかけである。

セバスチャン・スンによる啓蒙書。今から10年前、2012年出版。日本語版は、2015年出版。

コネクトーム-脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか-セバスチャン・スン

その後の発展を解説したいくつかの一般記事(日本語)

今回のシリーズでは、「コネクトーム」を、あえて「脳科学の注目ワードだったコネクトーム」として紹介してみたい。

(1週間に1回程度のペースで記事を出します)


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