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続・脳科学の未来(8)すべては電顕で解決?

電顕を用いる方法は、センチュウの神経系のコネクトーム解明にも用いられたオーソドックスな方法です。

https://en.wikipedia.org/wiki/Electron_microscope

この方法では、電顕で神経系すべてを撮影し、ニューロンを同定、そこから電顕写真に明確に写った細胞膜の構造を辿っていくことで、長い軸索、更にシナプス、つまり神経伝達物質を放出するシナプス小胞や、その相手の細胞にある神経伝達物質が結合する受容体などが集まる後シナプス肥厚などの、明確な微細形態を手がかりにそのニューロン同士が接続している状態を明らかにしていくということになります。

つまり、神経系のすべてをシナプスが見える電顕で写真を撮って、それらの写真を継ぎ合わせて、ニューロン同士のつながりの様子を3次元で再構築してしまえば、すべてがわかるということです。

しかし、この手法がセンチュウに有効だったのは、1)動物個体同士ですべて回路が同じである、2)ニューロンの数や接続の数が少なく、形も単純である、3)容量が小さい、というのが理由です。

脊椎動物、特に最終目標であるヒト脳ということを考えると、これらの3つの理由が、とてつもなく大きな問題になってしまいます。ニューロンの数は体長1mmほどのセンチュウでは302個ですが、ヒト脳全体では1000億個以上あり、圧倒的に規模が異なります。

(一週間に一度のペースで更新しています)

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