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ひとりケアマネで居宅介護支援事業所を開設しました

 ひとりでやるってどんなもんですか。苦しいですか。つらいですか。希望はありますか。このnoteは、ひとりケアマネで起業しようと思っておられる方に向けて書きました。なにもやらずにあきらめないで。3年間の経験を読んで、起業の判断材料にしてください。

 私は平成29年6月から、ひとりケアマネで、居宅介護支援事業所を運営しています。ケアマネジャーは、独立が可能な資格として認知されていると思います。しかし、独立した方の経験談が、公の場で表記されていることが少ないと感じました。私は起業するときに、ひとりで事業所を立ち上げ、ひとりで運営されている方の体験談がほしかった。

ひとりで自由に、自分の思うように居宅介護支援事業所を運営したいと思っていたからです。自分で居宅介護支援事業所を開設してみて、いろいろなことが分かりました。それを、これから開設しようと思っておられる方々に、少しでも参考にしていただければと思い、書きました。

*特典(最終ページに添付)

 ・2018年~2023年の、毎月の収入と労働時間の関係図

 ・1年分の仕訳日記帳(お金の出入り)のPDF

 ・ライン公式アカウントへのご登録で、ひとりケアマネとして起業されたもしくは起業予定の方々が集う、ラインオープンチャットへのご招待

 ・ラインオープンチャット内にて、「ひとりケアマネ月刊報告書」投稿中



前職場の退職の経緯


 私は、居宅介護支援事業所を開設する前は、民間の居宅介護支援事業所に8年ほどケアマネジャーとして勤めていました。なので、ケアマネジャーの一連の業務は理解しているつもりです。職場を退職するにあたり、退職届を提出するために20日ほど迷いがありました。退職して、ひとりで利益を上げて生活できるのだろうか。妻や子どもたちを路頭に迷わせないだろうか、などの思いから、退職届が上司に提出できなかったのです。けれどもどうして自分が独立したいのかということを、私なりに一生懸命考えました。その結果はこのように出ました。

・民間の事業所で、30名以上の担当ご利用者を抱え、その他の業務も重なり、忙しさのあまり、自分が何をやっているのか分からない日々が続いた。ご利用者に対して十分な支援が行えず、申し訳なく思う日々が続いた。(2023年現在、ひとりケアマネで事業運営することにより、組織の中でのケアマネ業務以外のこと、例えば掃除や組織内の会議、組織内の職員間の気の使い合いなどに時間を割く必要がなくなった。書類作成もICTを活用することで、速くそして簡潔になり、十分30名以上のご利用者を担当することが可能となった。現在担当ご利用者数32名。まだまだ担当いたします。)。


・妻や子どもたちを支えながら、民間の事業所に所属していることで、うまく時間配分ができなくなってしまった。子どもの保育園への送り迎えや、家事のサポートなど、独立すればもっとうまく行えるのではないか。


 この2つの理由が、私の独立への引き金となりました。20日後に、居宅介護支援事業所の管理者に退職届を提出しました。職場の上司は、大半の方が、私のことを引き留めてくださいました。「生活はどうするの。」「個人でやってお客がつくと思うの。とても厳しいことだよ。」などとおっしゃってくださいました。けれども私は、独立してみたかったのです。生活できるかどうかは分からないけれど、自分の力で、自分の思うようにやってみたかったのです。


 私が退職した1年前に、奥様と一緒に居宅介護支援事業所を立ち上げた方がおられます。その方(Tさん)は、私と同じ地域の、医院の居宅介護支援事業所のケアマネジャーから独立されました。その方は、半年で、ご利用者20名を獲得されました。高齢化社会なのですが、個人経営は信用が薄いのか、なかなかご利用者の紹介がありません。そこは十分に分かっているのですが、それでもやってみたかったのです。


 退職届を提出してから、約3か月後の平成29年3月31日に、退職しました。健康保険から、国民健康保険に、厚生年金から、国民年金に切り替わりました。退職時に勤め先から離職票を渡されました。しかし、独立して事業をひとりで行う場合は、失業手当は支給されないということでハローワークから説明されました。


合同会社を設立後、年金事務所に電話連絡し、必要書類を送付してもらい、健康保険と厚生年金に、平成29年5月から切り替えることができました。提出書類は、年金事務所の職員に習い、作成したものが受理されました。会社を運営すると、健康保険料と年金保険料の半分は会社負担で、半分は自己負担となります。会社勤めの時はそのように聞かされていましたが、ピンときませんでした。自分で運営すると、身に染みて理解できました。会社に守られていたのだな、と思いました。保険料の自動引き落としのために、合同会社の通帳を作成しました。

法人設立について


 退職後、居宅介護支援事業所を設立するためには、どうすればよいか、インターネットの検索と、先に独立されていたTさんに話を聞くことで調べました。その結果、法人格の取得が居宅介護支援事業所設立には必要ということが分かりました。法人格の取得で、一番簡単な方法はないものかと、自分なりに調べました。その結果、合同会社という形態にたどり着きました。合同会社はひとりで設立できて、金銭的にも負担が少なく、書類も他の形態に比べたら多く作成しなくてもいいと、インターネットにのっていました。


 合同会社の届け出は、法務局に行います。最寄りの法務局をインターネットで調べ、そこに電話して、どのような手続きが必要か確認しました。法務局のホームページに、必要な書類の書式がダウンロードできるようになっており、それを印刷して、インターネットで見本となる書き方を検索して、まねて作りました。会社名を決めて、所在地を自宅にしました。居宅介護支援事業所の住所は、インキュベーションセンターの一室を借りて、そこにしました。合同会社の印鑑が必要となるため、実印、銀行印、角印の3点セットで3,100円のものをインターネットショップで購入しました。
 合同会社の設立のための書類には、私自身の実印と、その実印の印鑑登録証明書も必要です。350円で印鑑登録証明書を市役所で取得しました。

 資本金を自身の希望額で合同会社に出資し、その出資した額を確認するために、預け入れた通帳のページのコピーが必要です。通帳は、私の名義でよいと法務局の方に言われたので、私個人の通帳に、3万円預け入れ、資本金として書類を作成しました。


 法務局で、1回20分間の、法人設立のための相談が受けられます。専門の相談員が、何を用意すればよいか、どのように書類を作成すればよいか、丁寧に指導してくださいます。私は、1回目の相談で、インターネットで見本を見ながら作成したものを持参し、書類の作成の仕方や準備するものを習いました。2回目の相談で書き直した書類を点検していただき、書類の内容を入れ込んだCD-Rとともに提出しました。CD-Rは空のものを法務局からいただけました。提出時に、書類に収入印紙4万円分を貼付しなければなりません。それと合同会社の登録免許税が6万円かかりました。書類は、提出してから2週間ほどで設立の許可が下りました。設立日は、書類を提出した日になりました。
 会社の印鑑を事前に準備し、法務局に予約を入れて、相談員の言うとおりに書類を作成すれば、難しいことはありません。

居宅介護支援事業所開設について

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