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児童自立支援施設について④

前回の続きです(児童自立支援施設③)

前回の記事で

入所した児童についての「外(社会)から見た感覚と内(一緒に暮らした人)から見た感覚のズレ」について書きましたが、今回もそのことについて書いていきます。

小学生の高学年になると入所児童との年の差も徐々に無くなってきます。(入所児童は主に中学生)

その中でも、たまに同年代(小学生)も入所してきて、特に印象に残っている子がいます。年も近いので当時人気だった漫画で盛り上がり、すぐに仲良くなりました。

その子と色々話す中で、子どもながらに驚いたのは
その子が「親の事情で入所してきた」と言う現実でした。

以前の記事でも書きましたが、児童自立支援施設は
犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する児童福祉施設である。(Wikipediaより)

という事なので基本「学校や家庭で問題行動を起こした児童」が来る所です。入所してきた本人達に理由を聞くとそれなりに悪いこともしているので「しょうがないのかな」、と思うことがほとんどでしたが、その子は違ったのです。家庭の養育に関する事情であれば、本来は「児童養護施設」の入所となります。

でもその子の場合は、親が児童養護施設ではなく児童自立支援施設を希望したようです。児童養護施設での集団生活(当時は大舎制が主流でした)よりは、少人数で規則正しい生活が送れるこちらの方が合ってると思うから。ということらしいです。

詳しくは書けませんが、本人も家に早く帰りたいけどすぐには帰れないんだ。ということを話していました。

年が近い友達ができて嬉しく思う反面、モヤっとした気持ちがありました。「自分が何もしてないのに、同じように施設で過ごすことになったら、、、、嫌だな。」と。

施設や寮によっても雰囲気はマチマチですが、両親(寮長寮母)は比較的、時間や決まりは緩い方だったと思います。それでも子ども達からすれば朝は早いし、休日も作業があるし、消灯時間も早いしetc.

やはり窮屈に感じていたかと思います。

自分で悪いことをしたと言う自覚があればまだ良いのですが、
学校の環境が合わずに問題児扱いされてしまったり、家庭の環境が原因で入所することになってしまったら、、、。

自分なら不貞腐れるか、親や親戚に何とかしてくれと頼むか、
どちらにせよ、すぐに真面目に、頑張って生活しようとは思えないですね。正直。

こんな経験もあったことから、施設に入所してきた子どもに対して、一辺倒に「悪いことしたから」とは考えなくなりました。

私は幸い、元気に通うことができましたが
学校の友人や教師と馬が合わないなんて、ザラにあることですもんね。当時でもいじめや体罰が理由で反発&不登校になった人もいましたから。

人間の成長について、環境による影響はとても大きいと思います。(施設で落ち着いて生活、更生したと思っても学校や家庭に戻ると、再び問題を起こしてしまう、といったこともよく聞きます。)

そしてその環境は残念なことに子どもは選べません。
ある程度の年になるまでは、大人が用意した環境下で暮らすしかないんですね。

ではその子の親、周りの大人達が全て悪いのか?と言ってもそんな単純な話しではありません。虐待をする大人もまた、高確率で幼少期に被虐待の経験があったりします。所謂、負の連鎖というやつです。

児童自立支援施設で生活することで、外からの情報と内からの情報にはかなりのズレが生じていることがわかりました。この経験は今でも自分の核になっていることでもあります。

保育士と言う職業柄、ある程度の行動予測(この子はこうすればこうなるであろう)が必要ですが、「こうだ」と決めつけることはしたくないですね。こんなことも出来ないからダメみたいな事は特に。←外からの、極狭い情報のみでの判断ですからね。

そして、大人が集まって一生懸命考えた支援計画も当の本人にその気が無ければ実行も結果も期待できません。そして実行できないのはその子のせいでも、支援計画が悪い訳でも無いと思います。

子どもは自分自身の為に、大人はその子の為に、「これができるようになると良いよね、楽しいよね」「じゃあ今度やってみようか」ということをもっと共有していく必要があると思います。

それがそのまま良質な支援計画にもなります。
とってもシンプルじゃないですか?

「大人の為に作られた環境」が果たして子どもにとっての良い環境と呼べるのか。最善では無くとも、せめて当の本人が納得して過ごせるような環境を用意したい。そう考える今日この頃です。

話が大分それましたがこの辺で
児童自立支援施設についての話を終えたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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