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降り落ちる雨は、黄金色#19

「物語とは◯◯が△△になり□□になる」

解説を読むと「◯◯とは登場人物、△△とは出来事や事件、□□は何かになる」とある。まるで国語のテストみたいだ。

 作例を読むと、「負け続けのボクサーが恋をしてチャンピオンになる」とあった。なんだ簡単だ。私にもできそうだ。辞書をめくりながら面白そうな単語をいくつかメモし、公式に当てはめると変なものができた。

 「勉強のできなかった私がある日、型破りな予備校教師と出会い、東大に行く」話しを書いた。うーん、胡散臭い。自己啓発書のタイトルみたいだ。いまいち。ある日ってなんだ。進研ゼミじゃあるまいし。

 学生の家に勝手に送られくる進研ゼミの漫画は恋人なし、勉強できない。部活ではレギュラーとれない。 駄目駄目な主人公が、進研ゼミをやると人生が 逆転し全てが万事快調になる。そんな進研ゼミをやったくらいで人生変わるなら、みんな幸せだ。 しかし、現実はそうもいかない。

 煮詰まって、頭を掻きむしりテレビをつけると昔ヤンキーだった青年が医大を目指すドキュメンタリー番組がやっていた。

 彼は、受験当日に自信がなくなり失踪する事件を起こしたが、予備日にテストを受け無事合格した。なんとなく、書いたメモを読み返した。出てくる登場人物、主人公。後輩。家族。予備校教師。

 主人公である元ヤンキーは、代々医療の仕事に就いてる家族のために医大受験を目指し、毎日後輩と煙草を吸いながらバカ話をし予備校教師の熱心な指導を受け勉強している。登場人物はだいだい四人くらいだったが、みんな役割がはっきりしていた。

  頭を使い過ぎ、頭痛がしたので糖分補給をしにコンビニへ向かった。クラクラする。徹夜で勉強した時は皆、エナ ジードリンクを飲んでいたが、私にはあわない。すぐにお腹が痛くなるし、それにカフェインが強すぎる。

 海外ではエナジードリンクの飲み過ぎで死者がでた。あれは人間の飲むものではない。惰性で見ていたテレビ番組では、脳の疲労にはアミノ酸がいいと脳化科学の学者が言っていた。牛乳。豆乳。黒酢など。どれも身体によさそうだが決定打に欠ける。牛乳は味がしないし、黒酢はすっぱい。消去法で豆乳にし、 どろりとした味のない豆乳を飲んだ。

 これは、脳にはよさそうだが心が全然満たさない。ついでに、小さめのチョコレートを買った。口の中に一粒放り込むと、甘みが広がり多幸感でいっぱいになる。ずっとこうして浸っていたい。甘くてもう一つほしくなる。自然と手がのびる。きづくとチョコレートはなくなっていた。 

つづく

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