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鳥たちの思いがけないドラマに気づくコツ

鳥はその愛らしい姿を見たり、行動を眺めたりするだけでも楽しいものですが、その裏側にある人知れぬドラマに気づけたら、どんなに楽しいことでしょう。身近な鳥、約80種類の知られざる魅力を紹介した『エナガの重さはワンコイン 身近な鳥の魅力発見事典』(くますけ著)から「はじめに」と「エナガ」の内容をご紹介します。

(文:くますけ)
野鳥はもっとも身近で見ることのできる野生生物です。ふわふわのぬいぐるみのような鳥もいれば、いかつい鳥もいます。その見た目だけでも人を惹きつける彼らですが、時にハッとするような野生の生きざまを見せてくれます。

たとえば、公園などで1カ所にたくさんの羽毛が落ちているのを見たことはないでしょうか。これは明らかに「事件」の匂いがしますね。ハトがのどを膨らませて歩き回っているのにもちゃんと意味があって、彼らにとって大切な「儀式」です。鳥たちは日々、私たちの周りでドラマチックな物語を繰り広げているのです。

このドラマに気づくにはコツが必要です。スマホは置いて、空が眺められるくらいの心の余白を作りましょう。そして本書の出番です。

この本は図鑑でも専門書でもありません。テレビのガイドブックのようなものだと思ってください。登場人物のキャラクターを知っているとドラマがより楽しめるように、バードウォッチングがより楽しくなる豆知識を一冊にぎゅっと詰めこみました。
ぜひ、あなたの「推し」を見つけてみてください。
『エナガの重さはワンコイン 身近な鳥の魅力発見事典』はじめにより)

あなたは誰推し?

鳥たちのドラマ…たとえばこんな感じです


『エナガの重さはワンコイン 身近な鳥の魅力発見事典』より

カブトムシより軽い?


エナガは身近な鳥の中ではダントツで小さな鳥です。尾が長い分、大きめに見えますが、実際の体は本当に小さく、体重は7gほどしかありません。物に例えると500円玉と同じ重さです。なんと、育ちのいい雄カブトムシのほうが重いくらいです。

抜かりないかわいらしさ

©️くますけ

小さなもふもふボディ。つぶらな瞳。ピンクの羽。キュートさを凝縮した彼らは細部までぬかりありません。目に注目してください。アイシャドーをしているんです! ピンクは子どもで、大人になると黄色になります。「そんなところまで、かわいいのか!」とびっくりです。

世話焼き一家

©️くますけ

エナガの子育ては、つがいの2羽以外にも繁殖に失敗した親戚が合流し、ヘルパーとして子育てを手伝うことがあります。そうすることで自分に近い遺伝子を残せるし、子育ての経験を積むことで次回に生かせるのでヘルパーにもメリットはあるようです。ただ、エナガは世話焼き魂がやや過剰で、ほかの種類の鳥にまでエサを与えちゃうこともあるのだとか!

Birds Profile
漢字名  柄長
科名   エナガ科
大きさ  14cm
時期   1年中

公園や住宅街でも見かけます。目の上には太くて黒い眉。肩とお尻のあたりがピンク色。尾は体と同じくらいの長さがあります。ジュリリという声が聞こえたら木の枝先あたりを探してみましょう。冬場は特に群れでいるのが見つかると思います。


そうなんだ︕  あっと驚く⾝近な⿃の意外なドラマ。
⿃を⾒るのがもっと楽しくなる︕

絵と文 くますけ
監修 上田恵介
定価 1650円(本体1500円+税10%)
四六版 本文192ページ

内容紹介

「さえずりが止まらない 毎日2000回」 ウグイス
「にじみ出るジャイアンらしさ」 シメ
「国立競技場でも席が足らない」 アトリ
「翼を広げたら改札2つ分が通れない」 アオサギ

思わず「へぇ!」と唸らされ、人に話したくなるような身近な鳥の知られざる事実や魅力をユーモラスなイラストと解説でたのしく紹介。
ふだんの散歩やバードウォッチングが、いっそう楽しくなること間違いなし! 日頃から鳥を見ている人にも、鳥のことは詳しくないけど興味があるという方にもオススメの1冊です。

「街の鳥」「公園・緑地の鳥」「野山の鳥」「水辺の鳥」と見かけやすい環境ごとに、80種類ほどの鳥を紹介しています。

著者紹介

絵・文 くますけ
子どもたちに、自然の楽しさを、やわらかく伝える専門家。自然ガイ
ド歴15年。関東平野の真ん中で筑波山を眺めながら、すくすくと育つ。
20代最後の挑戦で、体験型環境教育を実践するホールアース自然学
校へ転職。柏崎・夢の森公園での勤務を経て独立。ふざけすぎない、
くだけ方で、行政・企業・先生のウケがいい。おうち時間が増えたの
をきっかけにイラストを描き始め、公園や庭で見られる自然の「へぇ!」
という発見や「そうそう!」と言いたくなるネタをSNSで発信している。
影響を受けた本は『自然語で話そう』(広瀬敏通著)と『足もとの自
然から始めよう』(デイヴィド・ソベル著)。 一番好きな鳥はヒヨドリ。

インスタグラム https://www.instagram.com/kumasuke902/
X(Twitter) https://twitter.com/kumasuke902
Note https://note.com/kumasuke902

監修 上田恵介
鳥類学者。日本野鳥の会会長、立教大学名誉教授、山階鳥類研究
所特任研究員。生態学者として著書多数。日本動物行動学会会長、
日本鳥学会会長なども歴任。2016年第19回山階芳麿賞、2020年日
本動物行動学会日高賞を受賞。

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