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24-Feb-2023 カリンバ(ムビラ)の分解と組み立て

(1)
写真左側は、楽器ボディーにキーの支え金具がネジ止めされたものです。ボディーは箱型のものもあります。支え金具がしっかりと固定できそうならどんなものでも良いです。ボディー自体にキーの響きを大きく共鳴させる力が弱くても、それをさらに良く響く箱や板の上に置くことで大きかったり美しかったりする音を得ることができる場合も多いです。
写真右側は、ネジ止めされた支え金具とセットで用いられる台座パーツです。この写真では3つに分かれていますが、これらは、支え金具の上側に用いるものと下側に用いるものとの2グループで用います。
(次の写真で確認できるように、金属棒と溝付きの角材とは組み合わせて1セットでもちいるようになっています。)

(2)  
上側用の台座パーツを大体の所定位置に置いてみた写真です。
下側用の台座パーツは、2つの部品をひとつに組み合わせています。

(3)
上下の台座パーツともを、大体の、所定位に置いてみた写真です。特に接着などはしておらず、目安として置いてみたものですが、実際に組み付けた場合にも、これらの部品を接着などで固定する必要は、ふつうはありません。

(4) この写真は、ここまでの写真とは手前と奥とを逆方向から撮影したものです。固定金具に施された、キーの位置決めをするための穴がよく見える方向になっています。作業自体は進めておらず、(3)と同じ状況です。

(5)
この写真はこのカリンバ用のキーを並べたもので、キーは金属(鉄)製メッキ処理のものです。もともとのキーの並びにおける音階を示す目安としていくつかのキーには色(赤色)の表面塗装がされているものもありますが、特に扱いが丁寧ではないので、すでにまだらに剥げています。
この楽器で用いた場合には最低音はBか、ちょっと無理をしてB♭くらいの長さが用意されています。BかCあたりを最低音にした計画に適している楽器のようです。

(6)
台座パーツ所定の位置(といっても大体で大丈夫です)において、軽く固定できるように中ほどのキーをひとつ据え付けてみた写真です。

(7)
台座パーツを実用的な位置に置いたままキーの抜き差し作業を行うばあい、キーは上の台座パーツ(高い)→支えの金具(少し低い)→下の台座パーツ(高い)というそれぞれの高さの差から反りかえった状態になって、それでしっかりと振動して音を出せる状態に固定されています。
また、台座パーツは、キーの反る力に押さえつけられて、楽器のボディーとキーとの間に固定されます。
その状況下でキーを据え付けたり位置を調整するには部材に少し力をかける必要があり、そのためには、キーを押したり引っ張ったり段差を越えさせるための道具が必要になります。
キーは鉄にメッキ処理してあるものが多く、あまり曲げたり、道具で強く挟んだり、表面を強く擦るなどするとメッキ層がはがれたり、キーの素地に傷が付いたりしますから、力のかけ具合はほどほどにします。また、あまり鋭利な表面の道具を用いないようにします。
ただ、そのような見た目の痛みは気にならないなら、それほど気にしなくても良いです(そうはいっても、キーの素地への傷や金属疲労はキー破損の原因個所になり得ますから、それでもほどほどが良いです)。
そういったことを避けるために、ふだんの音程の微調整は、小さめの金槌を用いてキーの短辺側面から衝撃を加えてなされることが多いです。

(8)
一方で、台座パーツを、実用位置よりもずらした位置に置いてキーがゆるくほとんど反らないようにした状態では、特に特別な道具を使わなくても、手だけでも据え付け作業を進めることができます。
ただこの方法では、支えの金具の穴の上側から下側に向けてキーをこすってすべらせることになるので、キー表面に塗装や書き込みがされている場合には、それらを傷つけてしまうことがあります。
でも、楽な方法なのでなかなか良いです。

(9)
(8)に紹介した方法で全部のキーを通し追えたところの写真です。

(10)
(9)ののち、適当な棒材を下側の台座パーツの下端面に当てて、支え金具の方向に押し上げることで、キーは必要な反りと張りを得ることができます。


(11)
(10)の作業の目標位置は、だいたいこの写真にあるあたりです。支え金具と台座パーツとの距離があまり遠いままだと、キーの反りが弱くボディーに近すぎるために演奏しづらかったり、また、振動するキーの長さが短いために、得られる最低音が、期待よりも高くなってしまいます。
近すぎると、キーが台座金具を楽器ボディーに押しつける力が強すぎて、しかもその力は斜め方向に働くため、キーのチューニングが中長期的には安定しないとか、キーが上に反りすぎて演奏しづらいといったことがあるかもしれません。
そういった不具合が結果としてみられなければ、選ばれたその場所で大丈夫だったということになるでしょう。
また、上側の台座パーツとキーとの関係では、台座パーツの最高部をキーの端が越えるだけの余裕をもたせるようにします。ここではまだキーごとの音程調整を控えた段階なので、キーの位置はこのあとで微調整されます。ですから、キー端の位置の見た目を揃えるといったことは気にする必要はありません。
このあと各キーのチューニングをするときに、得たい音程に対して、上側の台座パーツにかかる長さが十分に確保できないとか、最低音に必要なキーの自由振動位置の長さが十分に確保できないという場合には、ここでの台座位置の押し上げが不足していることからそうなっているかもしれません。もしそうなったら、この段階まで戻って作業の出来を見直します。

(12)
台座パーツの据え付けが済んだら、キーのチューニングをします。チューニングは、音程を内蔵マイクから収音して文字やチャートなどで表示してくれる「チューナー」が、スマホアプリや専用の機器として販売されていますから、それを活用するのが良いと思います。

ひとまずそんな感じです。

(おわり)

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