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和ろうそくを生活に取り入れる-仏壇のある生活-

岐阜の木工所、株式会社やまもくのnote編集部です。
やまもくでは、生活への取り入れやすさを大事にして、コンパクトな壁掛け仏壇の商品化に現在取り組んでいます。

これまでのnoteの記事で、仏壇と共に「お花」や「香り」を生活に取り入れることについてご紹介しました。
今回は、お供えの一つである「灯り」として、和ろうそくについてご紹介したいと思います。

普段私たちが使っているローソクの多くは、石油を原料としたパラフィンから作られる洋ろうそく。芯は糸でできています。
これに対し、和ろうそくは櫨(ハゼ)の実から抽出された木蝋から作られ、芯に何度も何度も木蝋を塗ることで作られています。
和紙にイグサ科の灯芯草の髄を巻き付けてできた芯は太く、炎が大きくて明るいのが特徴です。
植物由来の材料のため、煤が出づらく仏壇を汚しません。長い時間を過ごすリビングや寝室など、普段の生活の中でも安心して使うことができます。

風がなくとも、上下左右に揺れたり、止まったりまるで生き物のように動く炎は、とても明るく、その明るさからか、ろうそくの側面が透けたように見えています。
ゆらめく火は、一緒に火を囲む人をより近くに感じさせる力があり、和ろうそくを仏壇に灯すことで、言葉は交わすことはできなくとも、大切な人を身近に感じることができるように思いました。


今回、noteの記事を作成するにあたり、和ろうそくについて書かれた記事や、和ろうそくの職人の方のインタビュー動画などを拝見しました。
家庭の中で火を使う文化が減っていき、和ろうそくの重要が減っていった結果、現在製作を続けているのは、20〜30社ほど。
原料となる木蝋も、櫨の木自体が少なくなっていたり、実を採取する人の高齢化の問題もあり、和ろうそく自体が貴重なものになりつつあります。
そんな中、和ろうそくの新たな使い方の提案や、櫨の木を増やす活動など、誰よりも和ろうそくの魅力を知る方々だからこそ、和ろうそくや、そこからもたらされる文化を残したいという想いで活動をされているのが印象的でした。

世の中が便利になる中で、日常ではあまり姿を見なくなったものや習慣、でも、もう何百年も続いてきたもの。
江戸時代に広く日本全土へ普及したと言われる仏壇は、そういった日々の生活を豊かにするものと一緒に生活の中にあったということを、今回の和ろうそくの記事を作成しながら改めて感じました。
仏壇とはこうあるべきという形ではなく、そこに一緒にある文化を取り入れるという視点で、これからもご紹介していきたいと思います。

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