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玲瓏

ことさら苦痛を感じはしないが、私は「  」が嫌いだ。
「  」としている。「  」だ。聞けばいい意味だろう。だが私にとっては聞き苦しいだけの言葉だ。

劣等感を刺激する優越の言葉は日々を苛み、私を「  」から遠ざける。鈍行の刃が体を裂くように触れられないまま傷ついていく。

忘れ難き日に髪を引かれ、日という日が掠れさせられていく。
私という非が尾を引いて、非という非が際立っていく。

無知で居ればよかったのに、「  」を嫌ったせいで非が日に強まって手を伸ばせなくなる。

届かない羨望より、手を伸ばせば届く存在が忌々しくも眩くて
今日もまた、彼は玲瓏としている。

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