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広島市で山岳救助訓練

広島市西消防署の山岳救助訓練が
広島市西区と佐伯区にまたがる鈴が峰で行われました。
昨年の消防訓練に引き続き、取材をさせて頂きました。
参考▶GetHiroshima「鈴が峰で消防訓練」Noriko Yamamoto

広島市西消防署

この広島市西消防署を設計した山本理顕氏はこのほど
プリツカー賞を受賞されました。
建物を包んでいるガラスの羽根板を通して
訓練をしたり災害に備えたりしている消防士の姿が見えます。
地域コミュニティーとのつながりを感じさせることが
評価されたと言われています。

今回の山岳救助訓練は、広島市消防航空隊の
消防ヘリコプターとの連携で行われました。
登山道から滑落した負傷者を救助するという想定です。
山崎救助隊長が負傷者役となり、滑落場所のGPS座標を基に
西消防署の隊員らが捜索します。
発見後、声をかけながら数人が負傷者の場所まで斜面を降下し、
枝などが多い山の斜面でも引き上げやすい樹脂製の担架で
登山道まで引き上げます。今回は、足を負傷して歩けないが
意識もあり会話も出来るという想定です。

大きな声で安全確認しながらロープで担架を引き上げていきます
樹脂製の担架を引き上げました
担架への収容手順を確認しています
救助ヘリコプターが来られるような開けた場所まで搬送します

広島には広島市消防航空隊ヘリコプターと
広島県防災航空センター防災ヘリコプターの2機があります。
広島市消防航空隊ヘリコプターは広島市西区観音新町の広島ヘリポートが拠点で、
広島市全域をカバーし(※)、鈴が峰であれば飛行時間は2分だそうです。
今回の訓練では離陸までに10分くらい準備時間がありました。
※広島県内の他の市町村にも出動できるよう協定を結んでいるそうです。

到着したヘリを地上から誘導しています。この後、ヘリから航空隊員が降下しました

ヘリコプターが上空でホバリングするとき
ダウンウォッシュといって強い風が地上に吹き付けるので
影響のない場所まで下がって見学しました。

負傷者をヘリに吊り上げるための担架を下ろします

先ほどの、山の斜面を引き上げるときの担架(下の写真左)から、
ヘリコプターに吊り上げて収容するための担架(同、右)に負傷者を移します。

左が斜面用の担架。右の吊り上げ用担架に移します
牽引具の正しいセット方法の訓練
頭部にはこのようなシールドをセットします
担架を吊り上げて負傷者をヘリに収容します

実際の救助活動では、このあと負傷者を病院まで搬送します。
今回は訓練ですので、誘導訓練のあと負傷者役が地上に降下して
終了しました。

救助隊長の山崎さんにお話を伺いました。
ーー登山者が心がけたいことは?
「万一、救助を要請する状況になった場合に備え、
GPSを活用できるようにしておきましょう。
居場所の座標、経度と緯度を度・分・秒で伝えることができれば
救助ヘリは正確にその位置に駆けつけることができます。」
ちなみにGoogleマップの座標は10進法で表示され、
標準的な度・分・秒表示ではないため
山に行くときは座標が度・分・秒まで表示される
GPSアプリをスマホに入れて置くとよいそうです。

度・分・秒まで表示されるGPSアプリの例です。
左はジオグラフィカ、右はYAMAPの地図 丸で囲んだ部分が座標です

グループで登山中に負傷者が出て救助を要請する場合は、
負傷していない仲間が少し開けたところに行って
ヘリを誘導するとよいとのこと。

今回の取材を通して、救助活動の技術のすごさと同時に
大変さをも実感しました。
私たち登山者も万一に備えてGPSを活用できるように
アプリを入れる、予備バッテリーを持つなどした上で
安全な登山を心がけたいと思います。

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