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「ローカルベンチマークを活用し、企業の経営課題の発掘と解決に取り組む金融機関」(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第1章中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略」の続きです。
第3節「危機を乗り越えていくために必要な中小企業の取組」より、今回は「ローカルベンチマークを活用し、企業の経営課題の発掘と解決に取り組む金融機関」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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事例 2-1-13:高崎信用金庫
「ローカルベンチマークを活用し、企業の経営課題の発掘と解決に取り組む金融機関」

・所在地:群馬県高崎市

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顧客企業を深く理解するためにロカベンが有効であると判断
群馬県高崎市の高崎信用金庫は、地域の中小企業や小規模事業者を支援するに当たって、2016 年から独自の事業性評価シートを導入していたが、2017 年3月に経済産業省が推進する企業の経営診断ツール「ローカルベンチマーク」(以下、「ロカベン」という。)の「商流・業務フロー」シートが改善されたことを機に、事業性評価にロカベンが有効と判断して利用を開始した。ロカベンには、業務フローの「差別化ポイント」や商流の「選んでいる(選ばれている)理由」を確認する項目がある。これらを深掘りすることで顧客企業の強みを見極め、課題解決に向けた様々な提案に結び付けることで、強固な信頼関係の構築と顧客満足度向上につながると判断した。

ロカベンを通した経営改善支援が、取引先の収益改善につながる
同信金は、事業性評価以外に、同信金内における人材育成研修や、外部機関との連携などあらゆる場面にロカベンを活用するようになった。2010 年より実施している「たかしん一日巡回経営相談サービス」(以下、「経営相談サービス」という。)(注)もその一つ。
(注)一般社団法人群馬県中小企業診断士協会と連携した「たかしん一日巡回経営相談サービス」と、株式会社船井総合研究所と連携した「たかしん一日巡回経営相談サービスⅡ型」がある。

同サービスでは、同信金職員が中小企業診断士や民間の経営コンサルタントとともに、経営に関する悩みを抱えた顧客企業を訪問し、ロカベンを活用した経営診断及び経営課題の解決に向けたアドバイスを提供している。例えば、同信金と 30 年以上取引が続く株式会社銀星社印刷所は、近年の印刷需要の減少により売上げが伸び悩んでいた。

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同社と技術に関する具体的な対話をする中で、食品パッケージ向けの印刷を始めとして、設計、デザインから印刷、加工まで一貫して対応可能な同社の技術力であれば商圏を広げて売上げを拡大することは可能と判断。従来、地場の企業との取引がメインであったが、工場見学やイベントへの出展といった同社の知名度向上に資する取組を積極的に支援した結果、大企業や都市部の企業との取引が増加し、再び増収傾向に回復している。このように、ロカベンを活用した非財務情報の見える化が顧客企業の収益の改善に役立っているという。

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顧客との信頼関係強化や職員の人材育成の場にも活用
ロカベンを活用した事業性評価の取組を始めて以降、事業性評価を活用した融資件数及び融資金額が増加。また、顧客企業の本業に踏み込んだ対話ができるようになったことで、顧客企業からの信頼が向上し、経営相談の件数も増加している。さらに、同信金内での人材育成研修、経営相談サービスによる取引企業支援などを通じ、顧客企業の強みや課題を把握するためのヒアリング力や事業性評価を行うための目利き力の向上が見られた。
「ロカベンは顧客企業と目線を合わせる上で優れたツール。その裏返しで、ヒアリング項目を埋めることが目的化しないよう注意も必要。ロカベンの特性をうまく利用して顧客企業への伴走型支援を更に強化していきたい。」と地域サポート部地域活性化推進室の沼賀拓也課長代理は語る。
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経済産業省のウェブサイトには、以下のように説明されています。

「ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
具体的には、「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていくものです。

(※1)6つの指標;①売上高増加率(売上持続性)、②営業利益率(収益性)、③労働生産性(生産性)、④EBITDA有利子負債倍率(健全性)、⑤営業運転資本回転期間(効率性)、⑥自己資本比率(安全性)
(※2)4つの視点;①経営者への着目、②関係者への着目、③事業への着目、④内部管理体制への着目」

通称、ロカベンというそうです。
伍魚福の財務データを入力してみました。
業種別の標準的な数値との比較ができますので、とても便利です。

金融機関の審査過程ではもっと財務データを綿密に分析されているはずですが、社外に見せることはありません。
国が作ったツールなので、金融機関と中小企業で情報共有し、課題を整理するのに適していそうです。
非財務の「商流・業務フロー」、「4つの視点(経営者、事業、企業を取り巻く環境・関係者、内部管理体制)」の部分については、簡単なシートで大変わかりやすく、社内外との共有に活用できそうです。
伍魚福では経営品質向上プログラムの取り組みでこの辺は網羅しています。
経営を考えるフレームワークはこの「ローカルベンチマークシート」、「経営デザイン」等いろいろあります。それぞれの企業にあったものを使えば良いと思いますが、自らを振り返り、目指す姿を明らかにし、課題を設定して経営計画に落とし込む、という取り組みをし続けるのが経営者の役割ですね。



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