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山のトラブル人体実験で身につけた登山技術

こんにちは!
登山家コピーライターの松浦です。

今日もまた悲しいニュースを見つけてしまいました・・・
これです

『15日午前11時半ごろ、大津市葛川坊村町の比良山系明王谷付近で、人が倒れているのを登山中の男性が発見した。滋賀県警大津北署や市消防局が確認したところ、谷底を流れる川の近くで女性の遺体、約150メートル上の斜面で男性の遺体が見つかった。同署は2人が登山中に滑落した可能性があるとみて身元や死因などを調べている』

比良山系は、私がよく登っている山で
大阪からも近く
色々と楽しませてくれる
私が大好きな山です。

他の地方の山に長期間滞在したあと
この比良山系の山に登ると

まるで我が家に帰ってきたかのような
感覚にさせてくれる
私にとっては自宅の庭のような山です。


このニュースの現場となった葛川坊村町は
確かに、山の斜面が比較的急で
気をつけなければいけないところではあります。

しかし
何よりも葛川坊村町は
沢登りができるスポットなのです。

沢登りとは
登山の種類の中でも比較的上級者向けと言われ
沢と呼ばれる水の通り道を登っていくものです。

夏場の登山では
非常に人気が高く
多くの登山家が沢を訪れます。

しかし
沢は基本的に水が流れる道であるため
通常の登山道のような道は一切ありません。

必然的に
巨大な岩肌や切り立った崖を登ることになり
ヘルメットやハーネス、カラビナ、ザイルの装備が
が絶対に必要です。

また
ただ登山道を歩くだけの登山とは全く異なるため
ロッククライミングや沢登りに長けた
経験者のガイドも絶対に必要です。

残念ながらお亡くなりになった
このお二人がどういう方々だったかは
この記事ではわかりません。

一方の方が
ガイドをされていたのかもしれませんし

無謀にも登山歴の浅いお二人が
沢登りに挑戦してしまったのかもしれません。

こういうニュースを見るたびに
「本当に気をつけてくれよ・・・」
と言いたくなりますが

実は・・私は
偉そうに言える立場ではありません。

なぜなら、私も山では
数々のトラブルや事故に見舞われているからです。

完全に山をナメてかかった初登山では
雨に降られて体を冷やし

雨の登山道を壮大に2回こけて
全身泥だらけ。

・・と散々な目にあいました。

以後、山をナメてかかることは
なくなりましたが、それでも

登山道を見失ったり
大事な登山道具を落としたり
転倒したり
雪崩にやられたり
目の前の巨木への落雷を目撃したり

・・・と、数え上げると
キリがないほどのトラブルを
経験してきました。

中でも最大のトラブルは
崖からの滑落による
首の骨の骨折でしょう。

2ヶ月半にも及ぶ
入院生活を余儀なくされ
それをきっかけに
約10年勤め上げた会社を退職

人生を大きく変える
きっかけとなりましたが

事故がきっかけで
今の私があると思うと

むしろあの事故に
感謝すらしてしまうほどです。

ただ、さすがに
周りの目が厳しくなって
山にはかなり行きにくくなりました 笑

「首の骨を折る」

医学的には「頚椎骨折」と
言うそうですが
この怪我がいかに恐ろしいかは
入院中に散々聞かされました。

私と全く同じ怪我をした人が
半身不随になったり
脳死状態になったり
死亡したり・・・

五体満足で、しかも
何の後遺症も見られないのは
極めて幸運なことだそうです。

・・・とまあ、これだけいくつもの
トラブルに見舞われた私ですが

ここ5年ほどは
全くと言っていいほど
山でトラブルに遭っていません。

山に登る日数は
以前よりも増えているにもかかわらず、です。

これは、過去のトラブル経験が今
私の血となり肉となり
トラブル回避能力のアップにつながっているため
だと思っています。

そして、それは
登山ガイドの仕事で
大いに役立てることができています。

言うまでもなく
登山ガイドの最も大切な使命は
お客様を怪我なく無事下山まで導くこと。

自らの体験で山のトラブルを知り尽くした
私だからこそできる登山ガイドがある!

そう確信しています。

いずれこんな悲しいニュース
がなくなることを夢見て
今日もまたお客様を山へ案内します!

ではまた

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