「下町ロケット ゴースト」からのメッセージとは

さて、過去2作で
他を圧倒する技術力
ひたむきに研究開発に取り組む姿勢
そして、揺るがぬ信念で
会社を揺るがす大ピンチを見事に乗り切った
「佃製作所」

今作では
その高い技術力がアダとなって
顧客からの受注を受けることができない!
コンペで他社に負ける!
といった事態に陥ります。

「技術力は高い方がいいに決まっている!」
「顧客だって高い技術を備えた商品が欲しいはずだ!」

果たしてそうでしょうか?

例えば、スマホ。
日本でのシェアはこんな感じです。

1位 アップル 1587万台
2位 ソニー 1460万台
3位 シャープ 370万台
4位 京セラ 355万台
5位 富士通 320万台

やはりApple社が強いですね!ソニーも強いのですが
日本国内で国内以外のメーカーが1位にランクイン
という点にApple社がいかに脅威かということが
わかります。

では、世界シェアはどうでしょうか?
実はここで驚愕の事実がわかります。

1位 サムスン電子(韓国) 3億1141万台
2位 アップル(米国) 2億1540万台
3位 ファーウェイ(中国)
4位 オッポ(中国) 9979万台
5位 ビボ(中国) 7725万台

なんと!日本メーカーがランクインされていません。
かつては、技術力で世界中に名を轟かせた日本メーカーが
世界ではシェアを取れていないのです。

ちなみに
ここで紹介したランキングは5位までですが
日本メーカーは10位にもランクされていません。

なぜこんな事態になったのか?
その答えが
実はこの「下町ロケット ゴースト」
に隠されていると私は思うのです。

今作の舞台は大地、つまり農業です。

今回「佃製作所」は
農業用トラクターに内蔵されたトランスミッションに
ビジネスチャンスを見出します。

基本的にバルブを得意とする「佃製作所」で
トランスミッションの実績はありません。

しかし、佃製作所の技術者たちは
他社製品をつぶさに研究することで
自社が得意とする「バルブ技術」が
トランスミッション技術に生かせること
を見出します。

そうして出来上がった製品は
トランスミッションの老舗メーカーですら
太刀打ちできない圧倒的技術力を備えた
トランスミッションでした。

そうして意気揚々と
コンペへと臨む佃製作所の面々
しかし・・・

コンペで勝利したのは
トランスミッションの老舗メーカーでした。

このことは、今日本のスマホ業界で起きている
あることを示唆しているように感じたのです・・・

例えば
今日本でも世界での圧倒的シェアを誇るiphone

日本でも使っている人が非常に多く
(私のスマホもiphoneです)
おかげで情報交換が非常に楽です。

しかし・・・です。

今やスマホには当たり前のようについている
カメラ機能やスピーカー

実は、これらの性能はiphoneよりも
日本のソニーやシャープ、富士通のものの方が
はるかに高性能なものを搭載しています。

ソニーのスマホのカメラ機能は
4K HDR動画撮影ができるという
もはや1眼レフカメラに勝るとも劣らないほどの性能です。

スピーカーは
アーティストの息づかいやライブの空気感まで体感できる
高音質なハイレゾ音源が採用されており
もはやプロ仕様です。

iphoneにここまでのものは
搭載されていません。

これだけで考えると
「ソニーのスマホの方が圧倒的に売れそう」
と考えがちです。

しかし、よく考えてみてください。

普段の生活の中でスマホを使う場合
そこまで高性能なカメラやスピーカーが
必要ですか?

カメラは普段の生活の中で
気になったものや風景をパシャリと撮って
インスタにアップするくらい。

スピーカーにしても
音割れさえしなければ
多少音質が悪くても気にはならない。
プロの音楽家だったら別ですが。

私だったら、それよりも

iphoneを持つことによる周囲の人との繋がり
使いやすさ
アフターサービス

の方を重要視します。

もしあなたの自宅にあるパソコンが
Apple社のmacbookだったら
iphoneを持つメリットはさらに高まります。

つまり・・・・

顧客のニーズを無視した高性能な技術は
必要ではないということなのです。

いくらカメラの性能を上げても
スピーカーの音質を上げても
顧客がそれを欲していなければ
そんなものは売れないのです。

物語の中で
そのことに気づいた佃製作所の技術者たちは
あえて性能を落としつつ品質を維持して
顧客のニーズに徹底的に答えたトランスミッションを作製

そうして見事に顧客の受注を勝ち取ったのです。

「性能よりも顧客ニーズを!!」

今作「下町ロケット ゴースト」は
そんなことを日本の技術力を担う技術者たちに
訴えかけているかのような作品でした。

ちなみに、今作も
過去の2作品同様、胸のすくような
後味の素晴らしいものでした。

読む価値あり!と確信します。

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