BLOF理論による営農について

<BLOF理論による営農について 〜 農業WEEK 2019備忘録>

土壌を改善することで農業をよくしようという観点から注目されているのが有機栽培である。有機栽培は堆肥を積極的に活用するのは周知の事実である。土壌を改善するのだ。昔から有機栽培は各地で行われてきていて、そのエコな面から有効性が盛んにもてはやされてきてはいた。しかし、収量が上がらない・品質が上がらないなどの欠点が指摘されることも少なくなかった。

最近の有機栽培農法には画期的な進展がある。その一つにBLOF理論を用いた有機栽培というのがある。BLOFはBIO LOGICAL FARMINGの略である。生態系調和型農業理論のことである。自然のメカニズムを読み解き、自然のメカニズムを活用する。

BLOF 理論においても堆肥を利用する。堆肥を用いた有機栽培である。堆肥を用いた有機栽培において、高品質・高栄養価・多収穫・安定生産を実現するのがBLOF栽培理論である。BLOF理論を用いた有機栽培では従来の有機栽培の課題をクリアしたのだ。高収量・高品質・高栄養価の有機栽培が実現したのだ。収量が高い、品質が良い、栄養価が高いという利点を有した有機栽培技法が確立しつつあるのだ。

さて一旦基礎に立ち返ろう。

人間は食物繊維 ビタミン ミネラル を自らは作ることが出来ない。自分では作れないので、農作物・野菜・果実・肉類などから得ている。野菜や果実はそれらを供給する貴重な源の一つである。

食物繊維は植物を形作っているいわば植物自体の体である。セルロースである。食物繊維であるセルロースはブドウ糖から作られる。人間は植物の葉や茎や果実を食する。そしてそこから食物繊維を得る。

ビタミンは、植物が、光合成で得られるブドウ糖から、自ら合成する事が出来る。ビタミンは果実や野菜に蓄積されている。人間はビタミンを、例えばミカンのクエン酸のように、果実などを食すことで得ている。果実・野菜などを食してビタミンを得るのだ。

ミネラルに注目すると、植物はミネラルを根から吸収する。そして光合成などに利用している。またミネラルは野菜や果実などに蓄えられもする。従って野菜や果実を食せばそこにはミネラルが含まれていることになる。

このように野菜や果実を食する事により、人間は食物繊維やビタミンやミネラルを摂取できるのだ。

次に植物がどのようにして食物繊維やビタミンやミネラルを取り込んだり生成したりするのかについて述べる。

植物がミネラルをどのように取り込むのかについては次のように考えられている。土壌中にはミネラルが豊富に含まれている。ミネラルは土や岩に含まれるいわゆる無機物である。野菜はその植物の根を通じて土や岩からミネラル、無機物を吸収している。農作物の根からは根酸が出ている。根酸が土壌中のミネラルを溶かすのだ。溶かされたミネラルが根から吸収されていく。

一方、植物は光合成を行っている。そして光合成によりブドウ糖を作り出すことが出来る。さらにそのブドウ糖を使って食物繊維やビタミンを生成している。

その植物の光合成は、ミネラルを利用しつつ、太陽光による水の電気分解がその反応の本質である。光合成を行うには苦土とマンガン・鉄・銅などのミネラル、すなわち無機物が必要である。ミネラルは光合成の能力を引き出しそして上昇させる。苦土は太陽の光を受けるいわば太陽光パネルである。マンガンは電極として機能する。電極にて太陽光は水を電気分解する。電気分解では水素が出てくる。水素のままでは危険である。爆発するからだ。なので、炭酸ガスと水を使ってブドウ糖を作ることになる。

光合成とは、マンガンというミネラルを電極にして、太陽の光をエネルギー源に水を電気分解することなのだ。水を電気分解すると水素と酸素がでてくるだけだ。学校で習ったであろう。

2H2O → 2H2 + O2

水素はそのままでは危険なので、気体の二酸化炭素と水とで反応させてブドウ糖を作ることになる。

6CO2 + 12H2O + 光エネルギー → C6H12O6 + 6H2O + 6O2
(C6H12O6 ブドウ糖)

昼間、植物は陽の光を受けて光合成を行う。ブドウ糖を生成することになる。ブドウ糖はデンプンとして葉緑素内に蓄積される。そして夜になるとデンプンをブドウ糖に変換する。さらにブドウ糖はビタミンや食物繊維に変換される。そして成長点に供給される。これが農作物であり、植物の細胞であり食物繊維である。

ブドウ糖 n x C6H12O6 → (C6H10O5)n デンプン

ブドウ糖 C6H12O6
     ↓
ビタミンC C6H8O6
ビタミンE C29H50O2
クエン酸(例 蜜柑)  C6H8O7
セルロース食物繊維  (C6H12O6)n (n =2000〜4000)

このように見ていくと、ブドウ糖はエネルギーの源であるのがよく分かる。ブドウ糖からビタミンや食物繊維や油脂が作られている。人間にとって生きていくために必要な物質は、植物が光合成によって生成するブドウ糖が原料になっている。

農作物、すなわち野菜や果実を通じて人間はビタミン・ミネラル・食物繊維を得ている。そして野菜や果実の造り主である植物は、根からミネラルを吸収し、光合成により得られるブドウ糖を用いてビタミンや食物繊維を形成しているのを繰り返しておく。

近年、土壌からのミネラル、いわゆる土壌ミネラルの減少率が高くなっている。土壌からミネラルが得にくくなっているのだ。調査により判明している事実だ。このミネラルの減少率が高い理由は、土壌の中の微生物の減少に因ると言われているらしい。

日本においてもその傾向は顕著である。日本における土壌中のミネラルの含有量が半減していると言われている。従って、日本産の野菜においても、そのミネラルの含有量が近年減っているという問題が起きている。

人間もミネラルを使う。体温を保つために必要なのは鉄である。心臓を鼓動させるのはカルシウムである。ミネラルが減っては身体が保たない。その人間が使うミネラルの供給源である農産物のミネラルが減っているのは躊躇すべき事態だ。だからミネラルを供給する農作物を改善しようとするのは自明である。そして農産物にミネラルを含有させるためには、その植物のミネラルの供給源である土壌を改善することに目が行くのは必然である。

近年スマート農業と称してIoT を駆使して大気環境を制御し、農産物の質を高めたり収穫量を高めたりしようという試みが見られるようになってきた。農作物を改善するためには、これも重要なファクターではある。

しかしもっと大きなファクターがここに存在する。そう、土壌の改善である。農作物の改善には、その植物を支えている土壌の改善がもっと適しているのだ。大気の側の制御も土壌の改善を助ける一助に過ぎない。

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さて、BLOF 理論では、どのようにして、高収量・高品質・高栄養価の野菜や果実を得ることが可能になったのか。それをこれから解説する。

説明員の話では、柔らかいフカフカの土壌が良い土壌の条件になる旨が強調されていた。BLOF理論では施肥により柔らかいフカフカの土壌が作り出せることになっている。その施肥により良い土壌の条件である柔らかいフカフカの土壌が造れる旨が強調されている。ここで言う柔らかいフカフカの土壌というのは、土壌が団粒化されていることを指す。

土壌が団粒化さていると、すなわちフカフカの柔らかい土壌であると、植物の成長にとって有効に働く。何故植物の成長にとって有効なのか。柔らかい土壌は、植物にとって根の量を増やす効果があるからだ。土壌が柔らかいから根を張りやすくなるのだ。

植物が根をたくさん張ればどうなるのか。植物は根から栄養を摂取する。従って根を張れば張るだけ栄養がたくさん取れる事になる。当たり前である。これは硬い土壌では考えられないことだ。硬い土壌では植物は根を張れない。その分植物は栄養を取り損ねることになる。

栄養だけではない。団粒化された土壌内には酸素が多い。根からの酸素の吸収もしやすくなるのだ。酸素を植物が吸収すればどうなるか。植物は元気になる。そして作物の根が活性化される事になる。根が活性化されると積極的に根酸を出すようになるのは周知の事実である。上述したように根酸は酸であるので、土壌中のミネラルがよく溶けるようになる。

ミネラルは溶かされると根からの吸収がとても良くなる。根からミネラルが良く吸収されるようになる。すると植物内のミネラルが充実するようになる。ミネラルが充実した植物では、光合成が活発化するようになる。光合成の能力が高まるのだ。光合成の能力が高まればブドウ糖がたくさん生産されるようになるのは周知の事実だ。もちろんブドウ糖はセルロースになり、またビタミンにも変化する。

セルロースは食物繊維である。食物繊維により植物はとても丈夫になる。繊維だからだ。植物の重量が増える事になる。セルロースは植物の体だからだ。植物の外壁を厚くする。体が大きくなる。また病害虫にも強くなる。そして当然植物は丈夫になる。重量が重くなる。そして丈夫ながっしりした植物から得られる農作物は収穫量が当然ながら多くなる。

ブドウ糖から変化したビタミンは、植物から得られる農作物にももちろん貯まっていく。すると農作物の栄養価が高まる。甘くなる。農作物の品質が高くなる事になる。

今一度、柔らかいフカフカの土壌について取り上げて掘り下げてみる。

痩せた土壌でも、太陽熱養生処理というのを行うことで、ひと夏でプロ並みにフカフカの柔らかい土壌を作り出すことができる。フカフカの柔らかい土壌というのは団粒構造をしていると書き記した。団粒化構造をした土壌は、水はけが良く、保水力があり、空気をたくさん含んでいる。

団粒構造を作るには堆肥が不可欠である。団粒構造は土を単純に粉々に砕くということではない。団粒構造作るには 微生物が必要ということが分かってきた。酵母菌である。

酵母菌は周囲に全く酸素がなくても糖を分解してアルコールと炭酸ガスを作ることができる。土の塊の中に糖が液体として浸み込んでゆくと、酵母菌は塊の内部でアルコールと炭酸ガスを生成させる。

昼間において土壌は温められる。酵母菌が活発に働き、炭酸ガス発生して土壌が膨張する。炭酸ガスは気体であるので土の塊は膨張するようになる。膨張していくと土の塊は破壊されて粉々になる。土の塊が破壊される。炭酸ガスが抜けていく。炭酸ガスが抜けた隙間を伝って新鮮な空気が入る事になる。土壌の奥まで新鮮な空気が入る事になる。そこには当然酸素が存在する。一方夜になると土壌は冷える。土壌は冷やされて収縮する。このサイクルが繰り返される。

このサイクルの中で、酵母菌はそれが生きていくためにネバネバ消化酵素を分泌する。セルロースがその酵素により溶け糊状物質が生成されるようになる。それらは接着剤ともなる。そう、土同士をくっつけるのだ。土はただ破壊されるだけではないのだ。それが団粒構造へと形成される事になる。上記の膨張と収縮は繰り返される。それが原因で団粒化された柔らかいフカフカの土壌が形成される。またそのサイクルが続く事になるが故に、いつまでもフカフカ土壌が維持されさえする。

フカフカの柔らかい土壌からは、病害虫に強く丈夫で大きな植物が育ち、収量の多い甘くて美味しいビタミンの豊富なミネラルも多分に含む農作物ができる。BLOF理論ではそれを達成するフカフカの柔らかい土壌づくりに成功している。

BLOF理論の有用性をさらに述べていく。

通常、農作物の栽培においては化成慣行栽培ということを行う。化成肥料を用いた農作物の栽培である。

その化成肥料を用いた慣行栽培においては、作物は土壌から水と無機窒素を吸収し、アミノ酸を形成する。

植物において、根から吸収された水と大気から葉によって吸収された二酸化炭素とは、葉緑素に運び込まれる。そして太陽光線から発生したエネルギーを利用して葉緑素内で光合成が行われる。光合成が行われてブドウ糖が形成される。

光合成により作られたブドウ糖は再び根に送りこまれる。そのブドウ糖は根で吸収された化成肥料等から吸収される無機態窒素と結び付けられる。そして根の中でアミノ酸が合成される。アミノ酸はもちろん三大栄養素の一つであるタンパク質の原料になる。細胞になっていくのだ。根が張ったりするのだ。

ここで仮に、悪天候が続き光合成があまり行われなくなるとする。するとアミノ酸に必要なブドウ糖が不足することになる。そして植物体内に余剰となる無機態窒素(硝酸態窒素等)が残留してしまう事になる。

悪天候が続くだけではない。土の中の無機態窒素の濃度が高く、かつその吸収量が大きい場合も、やはりアミノ酸に必要なブドウ糖が不足してしまう。そしてやはり植物体内に余剰な無機態窒素を残留させてしまうことになる。

すると植物内のブドウ糖不足により、植物の細胞を守る細胞壁や、植物の骨格を形成しているセルロースの材料不足を引き起こすことになる。したがって植物は害虫や病原菌から体を守ることができなくなってしまう。

これはまた、植物にとって必要な、ミネラルの吸収を促進するはずだった混酸が不足することにもつながる。従って、光合成や生命活動に必要なミネラルを、植物は吸収することができなくなり、農作物の品質低下や収量減収に陥ってしまうことになる。

そこで、BLOF理論では、アミノ酸肥料を施肥することを進めている。そのアミノ酸肥料においては、アミノ酸態窒素を供給することになる。そのアミノ酸態窒素は、無機態窒素と同様に、植物の根から直接吸収されるのはよく知られているそうだ。

アミノ酸態窒素は元々炭水化物が結合した有機態窒素である。炭水化物が結合していない無機態窒素とは異なり、アミノ酸態窒素は炭水化物を有している。それゆえアミノ酸態窒素から細胞の原料であるアミノ酸を作るために、光合成で作られた炭水化物であるブドウ糖をほとんど必要としなくなるのだ。アミノ酸生成のために必要だった光合成で作られたブドウ糖の消費が抑制されるのだ。

使われなかった余剰ブドウ糖は何に消費されていくのか。

もちろん、植物を強化する植物繊維へ回すことができる。従って植物が病害虫に晒されにくい体質になるのである。

さらに農作物の方にブドウ糖が消費されていくので、農作物が甘くなる。またビタミンなどの栄養素が増える。重量が重くなる。そう、品質が上がるのである。そう、高品質・高収量を実現することができる事になるのである。

貯蔵デンプン量も大きくなるのはいうまでもない。デンプンは必要な時にブドウ糖へと変化し、いろいろなことにまた消費されていく事になるのだ。

また余ったブドウ糖は根酸の量の大幅なアップにもつながる。そうなればミネラルの吸収量も大きく上がるということになる。

BLOF理論の話をさらに続ける。

有機栽培には短所もある。それは植物が土壌からミネラルをあまりにも多分に吸収してしまうということだ。土壌内のミネラルの減少を意識できないでいたのだ。有機栽培ではすぐに土壌内のミネラル欠乏を招くことになった。これが有機栽培における短所である。

そこでBLOF理論では、持続可能なSDGsな農作物の生産活動を続けるために次のようなことをさらに取り組んでいる。

ミネラルの供給である。

植物の栽培においては、NPK(窒素・リン酸・カリウム)および堆肥だけを施しておけば良いということは決してない。光合成に必要な元素は窒素だけではないのだ。植物は成長するために必要なミネラルがある。ミネラルはそれぞれの植物に対していろいろな働きがある。そのミネラルが足りないのであれば、それを絶えず供給することが肝要だ。

ミネラルは、光合成をはじめとする生化学的な反応を制御している。ミネラルには適量があるのだ。例えば、ミネラルが不足した状態で窒素を施すと軟弱な成長となったりするし、病気を引き起こしやすくなったりするのだ。

ミネラルを適量供給するためには、農作物を輩出する植物を支える土壌の分析を行う必要がある。そして圃場の養分過不足を調べる必要が出てくる。その養分の過不足を基にして的確な量の肥料を施肥することになるのだ。

そこで土壌の分析結果に基づいた施肥の設計を行うことが重要となるのだ。その施肥設計ということを通して土壌のミネラルの補給等を行っている。それは必要不可欠な事項になっている。

さらにBLOF理論の話は続く。

近年、植物がいわゆるお酢を吸うということがわかった。植物は水溶性炭水化物であるお酢を利用するのだ。農学がひっくり返るような発見であるそうだ。

しかしそれは十分にありうる話でもある。それはお酢を3分子つけるとブドウ糖になるからだ。

例えば天気が悪い時、クエン酸を含むみかんは酸っぱくなる。ところがみかんの木の地面にお酢を与えると甘くなることがわかった。つまり糖分が供給されたのだ。

つまり、地面にお酢を与える技術があれば、植物がそれを吸い取って果実や農作物が甘くなるのだ。ブドウ糖が生成されて農作物や果実が甘くなるのだ。

また植物の生えている地面にお酢を与えれば、丈夫な植物ができるのは今までの議論でも疑いの余地はないのは言うまでもない。植物の体を形作るセルロースはブドウ糖からできており、そのブドウ糖が地面に生成するお酢から供給されるからだ。

有機物である藁や木屑を植物に与えることもあろう。そういった藁や木屑は、地面の酵母菌により分解される。すると炭酸ガスとアルコールになる。アルコールは分解されてお酢になり得る。炭酸ガスとお酢が発生することになるのだ。土壌内は一転、地面の中の太陽になる。

植物が吸うのはアミノ酸だけではない。わらや木屑などを、微生物を使って分解する。しかもお酢のような水溶性炭水化物に変化させると、植物は、お酢が水溶性であるからだろうか、吸うのだ。吸って植物の栄養源になるのだ。

BLOF理論では、アミノ酸だけでなく、有機物を分解してお酢を作れれば、このお酢による栄養源の補給も足し算できるのだ。

植物においては、どんな品種改良も、地面からの炭水化物の吸収にはかなわない。炭水化物肥料を吸うと植物のあらゆる状態が良くなる。今までは光合成のブドウ糖により品質が上がるとされていた。この考えはひっくり返されていた。炭水化物肥料により、農作物の品質はアップし耐病性もアップするのだ。体の弱い美味しくない植物が一気に体が丈夫で美味しい植物になるのだ。

セルロース、つまり藁や木屑が酵母菌に触ると二酸化炭素も発生する。すると土が爆発する。土が軟らかくなるのだ。固い土が軟らかくなる。あとは、上述したように推して知るべしである。

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農作物の状況をよくするのは何もIoTだけではないのだ。それ以上に大切なのが土壌である。地面の中のことを分かってから環境制御する。これが大切だ。

土壌の状態の良化が植物や農作物の状態を良くする。どんな品種改良よりも土の施肥を良くする方がこれからは優先される。これらがBLOF理論の核になっている。これからの日本のベースとなる基本技術になると言われている。

この未来の基本技術、BLOF理論では膨大な水が必要なってくる。それは光合成には水が必要だからである。水は蓄えなければ使い物にならない。水を蓄えるためには、森林が大事になる。木を切ってしまうと水が蓄えられなくなってしまう。何故なら木を切ると水が地面の表層を流れてしまうからだ。地面に溜まる水がないとBLOF理論が実践できなくなってしまう。

農業には水を貯める森林が必要になる。そして何よりも文明は森林があるところに発展する。農業は森林があるところに発展する。

その昔、サハラ砂漠は森林しかも密林だったことを知っている人も多いだろう。その森林は人間の伐採によってなくなってしまった。残念なことである。

最後にこの展示の説明員は、このような趣旨のことを述べていた。BLOF理論を使って森を育てようと。それができるのは日本人だけだとも。

BLOF理論では植物の成長速度が早いのは上述したことからも容易に推測できよう。森林を早く発展させよう。そして水をゆっくりと流していこう。農業には環境が必要なのだ。

自然から得られる恩恵を大切に発信することも大切だ。子供達のためにもそんなBLOF理論に関する情報を教えることは重要だ。子供たちに勉強してもらおう。

我々が直接手を貸して森林の生産をやるのではない。森林を守る者達が自分自身でやれるように、大事な情報を教えることが重要なのだ。

それらができるのは日本人だけだ。水や山を大切にする日本人ならばそれができるはずだ。

狭い農地でも農作物が高栄養価・高品質・多収穫になるBLOF理論を使って、なるべく小さな土地で農業生産を行うのだ。余った土地は環境に、そう森林環境の再生に充てるのだ。山や水を大切にしながら狭い農地でも十分な農業を展開する。山を再生して経済的にも大丈夫な農地を育成する。

そんな技術を知ってもらって居住民自らが動けるように、世界に流布できるのは日本人だけだ。


おちゃ11