20240307_挨拶の空振り

赤坂見附で仕事。
仕事前に段取りを整理したい。そもそも朝早く起きて準備するつもりだったが起きられなかったので、電車の中であれこれ考えながらiPhoneのメモ機能を使って書き込んでゆく。が、まとまらない。
赤坂見附駅に降りたち、改札に向かいながらカフェに寄るか、早めに仕事場に入り、準備をするかゆらゆらと迷う。
カフェに寄るのが良かろうが、家計簿アプリでの経済状況把握の結果小さな出費を抑えるべしとの判断が下された。さらに寄るとしても時間は15分弱だ。
しかし仕事場に早めに入っても、すぐに仕事仲間との打ち合わせや雑談が始まり、自分ひとりで静かに段取りを整理することは難しかろう。
迷いながらも足はぐんぐん仕事場に向かってゆく。ドトールは仕事場近くのY字路のところにあり、左に入って仕事場に直行、する足をキュイッと捻ってドトールに入った。

入店すると仕事仲間のひとりが喫煙室に入って身振り手振りを交えながは打ち合わせをしていているのが見えて、ちらりと片手と口角を上げて挨拶。

ハニーミルクラテを頼もうとするもMサイズしかなく、Sサイズのある豆乳ラテを注文した。カップがカチャリと準備され「飲みきれなかったときのために紙コップに入れてください」と言いなおそうかという考えが頭をよぎったが、カウンターが他の店舗よりも高いせいか、まさに私の眼前に準備された陶器のカップとソーサーに気圧されるような面倒なような気持ちになり、10分のあいだに仕事の段取りを頭の中で組み立て、同時に豆乳ラテも飲み切ることを決意した。

着席して上着も脱がずに豆乳ラテをすすると不思議なことに電車の中ではごちゃついていた考えがスッスッとまとまってゆく。
ドトールの豆乳ラテはスタバのとは違って少し甘みがつけてあるのだな。

喫煙室にいた仕事仲間のほうをチラと振り返るといつの間にか静かに電子タバコをくわえており、隣の席には誰もいない。彼女が誰かと話していたと思っていたのは勘違いではじめから一人だったのだろうか。
彼女は私には気付いていないようだった。
さっきの私の挨拶の空振りよ。

私が席を立つのとほぼ同じタイミングで入店した男性客の口元が、店員さんの「いらっしゃいませ!」に返事をして小さく動いていた。「いらっしゃいました」と言ったように見えた。


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