今更「鬼滅の刃」22巻まで一気読みした感想メモ

読んだ 流行っているので……にしては読み始めるの遅かったね とりあえず思ったこと書いとく ネタバレもする

・とにかく早い漫画だった うそでしょ!?ってくらいテンポが早い テンポ感だけで言うと私の好きなアニメ「天元突破グレンラガン」に近いかもしれん とにかく見せたいシーンだけたっぷり描いて後は最早あらすじのレベルで最低限のページ数だけ割いてギャグも交えてサクサク進めていく感じだった。すごい。

・作者がキャラクターのことすごく自分から遠くに置いている感じがした。というのは、なんというかこう、愛着がある意味すごく薄いというか、人間としてというより「キャラ」であり「漫画」であるということをメタ認知しながらキャラを動かしてる感じというか

・単行本のおまけページとかにブワッと文字で設定を書いてしまうところなどを見る感じ、とにかく吾峠先生は「設定」を考えるのがすごい好きな人なのかな〜と思うし、その辺すごくオタクっぽい(消費者っぽい)感性だなと思う。創作者としての欲が強すぎない感じというか。
・作者よっては「このキャラクターのこういう一面を描写してあげたい」とか「このシーンすごく伝えたいとこだからたっぷり描きたい」みたいなのが感じられる漫画もあるけど、吾峠先生の場合それが全然なくてめちゃくちゃサービス精神旺盛っていうか「読者に寄り添った漫画」の描き方してて、ジャンプでの連載にめちゃくちゃ向いてる人って感じする。
・でも私が編集者だったら「こんなに売れてるしこの話いくらでもたっぷり描けちゃう濃い内容になってるからもうちょいスピード感落としませんか?」とか言ってしまいそう。でも、多分それだとこんなに人気になってなかったのかなとも思う。あの展開の早さがウケてるのかもな〜って感じ。一切ダレなくて読者をずっと飽きさせない漫画なのがすごい。

・さっき書いた「オタクっぽさ」を感じるのはそこもなのかもしれない。なんていうか漫画なんだけど、読んだときの感じがオタク友達が私の知らん自ジャンルの面白いシーンについて語ってるのを聴いてる時の感じにすごい似てる。

・私は創作をあんまりしないオタクなんだけど、前に一度友人と「ない日常系アニメ」を考える遊びをして死ぬほど盛り上がったことがある。今まで読んできたいろんな作品のあるあるをかき集めたものではあったから飛び抜けて面白くはなかったんだけど、その時だんだん話が盛り上がっていくうちに架空のアニメをまるで見てきたかのように語れたし「第8話、めちゃくちゃ泣いた」とか「このキャラにはこういう二次創作があるけど私は逆カプで〜」とか話してるうちに本当に泣けてきたり萌えてきたりして、良い感じにトリップしてめーーっちゃ楽しくて。鬼滅読んでるときの感覚、あの時の感じにかなり似ていた。

・展開のトロだけ食わされて気持ちよくなる感じなのかもしれない。そういう感じを出すのがすごい上手いと思った。
・それでいてテーマ性は矛盾がそこまで無く考えられていて、たくさん熟考した上であのスピード感出せるのは本当にすごい。

・個人的には鬼滅のテーマの中にある「血族」みたいな遺伝とか師弟関係を重視するような考え方はあんまり好きじゃないというか、呪いとしての側面が強すぎるじゃろと思うタイプの人間なのであんまし共感はできないシーンは多かったけど、そういうものを信じて足掻いて死んでいく姿を魅力的に描いてたのは良かった。私はどうしても童磨くんが1番好きなキャラクターになってしまったよ……Fate/Zeroのりゅーちゃんを思い出して嬉しくなっちゃった。

・死んだ後とか死ぬ直前に過去全部見せてくれるシステムのおかげで、戦いは余計なこと考えずに主人公達側に感情移入して戦略などを楽しめるし、勝ちが確定してからやっと相手の気持ちがわかるから、死ぬシーンではスカッとするだけで無く死ぬ側に感情移入もできてそこもめちゃくちゃ見せ場にできる。良い発明だな……と思った。炭治郎が元々敵に情けをかけるキャラクターになってるおかげで止めを刺す時も行動に矛盾が出ないというか「この敵は本当に殺さねばならなかったか?」のフェーズを相手の内面を知る前にすでにやった後に「それはそれとしてやっぱダメだ!死んでくれ!」という感じで倒してくれるという流れになっているから、殺した後、読者も気まずくなりにくい。良い主人公だな!!!!!

・今のところ「慈愛を忘れず、己の弱さから来る感情に支配されるな(恐怖を飼いならせ)」がわりと作中で言われてる普遍的なことな感じする。勇気!辛い時に己を奮い立たせてこそだ!みたいな。でもちゃんと「だけど弱くなっちゃうのは運だしみんな事情があるからっぽいよ!」というフォローを忘れないところや、炭治郎の優しさの感じ含めて、新しすぎず古すぎない"今"の倫理観に基づいて書かれたお話だな〜と思う。

もう少し書きたいことはあるけどうまく言語化できてないので一旦この辺で。あっあと絵が好き。

そんなわけで今夜、この読了後アチアチの気持ちのまま映画見てきます!!!!

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