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パースペクティヴとランドスケープ:SDN関西ミーティング#5でのLTに寄せて。

昨日(2019年4月16日)、サービスデザインネットワーク関西のミーティングが、インフォバーンさんの京都支社で開催されました。テーマは「デザインにおける多様性:価値と文化をめぐる視点」。

IxDA: Interaction Design AssociationのプレジデントのAlok Nandyさんと、京都大学デザインスクールの山内裕先生の講演と、ライトニングトーク2本。LTは京都ビジネスデザインラボの宗平順己さんと私。

AlokさんはP&Gでのマーケティングやアドバタイジングのお仕事を皮切りに、インタラクションデザインなどの領域で活動されている方。もともと映画の研究などもされていたとのことで、私個人としてはすごくおもしろい内容でした。特に、landscapeという概念をはじめとして、今回LTさせてもらった視座とも重なりあうところがあるように感じました。


山内先生のお話は、闘争としてのサービスという概念を軸にしたサービスとそのデザインに関する根源的な問いかけ。経営学領域で、こういう哲学的な〈根問い〉、しかも、それが現実の事象の探究と結びついてるところがおもしろい。聴いていてわくわくします。

どちらも英語での報告(フロアはAlokさん以外、日本語常用者ばかりでしたので、さすがに山内先生は日本語での説明も織り込んでおられました)で、聴き取るのに必死でしたが、興味ある内容だったので、ある程度はわかったように思います。

休憩を挟んで、ライトニングトーク2本。まずは宗平さんからの実践報告。

懇親会でも企業の方といろいろお話しできたのですが、言葉としてはUX / サービスデザインも浸透しつつあるとはいえ、現場(というより、むしろ管理機構レベル)ではまだまだ、あるいはようやく一歩を踏み出したというくらいなのだなっていう感じもしました。もちろん、進んでる企業では、もっと先を行ってるわけですが。

そのあと、私もLTさせていただきました。タイトルは前日まで七転八倒した挙句、「サービスデザインと企業者的眺望」にしました。英語タイトルは“Holistic Approach in Service Design and Entrepreneurial Perspective”で。Stickdorn / Schneiderが提唱したサービスデザインの5つの原則の〈全体的アプローチ〉をより具体的に考えるための理論的手がかりを提唱してみようというのが趣旨です。

ご存じの通り、サービスデザインといってもその理解は多様です。なので、統一的な定義をすることにはそれほどの意味はないかもしれません。ただ、他の言葉で置き換えられない事象としての〈サービスデザイン〉とは何かという問いについて考えるとき、製品ーサービス・システム(Product-Service-System)という発想も含めた、「ステイクホルダーないしアクターに価値をもたらす(抱いている欲望や期待を充たす)はたらき(Leistung)の流れ / つながりをデザインする」という表現で照射される現象領域を、ひとまず考察対象として措定すると、議論がしやすくなるのではないかと考えています。そうすると、経営学からの理論的な示唆提供も可能になるかなと。

まだ十分に煮詰め切れていないかなとも思いましたが、だからこそLTと開き直って(笑)報告させてもらいました。

パースペクティヴという概念、いちおう今回はメルロ=ポンティの考え方を参考にしました。あと、企業者概念はハーシュマンを軸にしながら、そこから関連する学説を援用するという構制です。もちろん、ニックリッシュの価値循環の議論も入れてます。

昨年1月に、京都のとあるホテルのロビーで安西洋之さん、北林功さんと5時間ほど議論させてもらう機会がありました。そのときに一つのテーマとなっていたのが〈眺望〉でした。やっと、考察として展開できるところまで、かたちになってきた感があって、LT終わって、ちょっとホッとする感覚がありました。

何とかしばらく思索できそうな見込みが出てきたので、これからの研究テーマとして持ち続けたいと思います。

ありがたい機会を与えてくださった、宗平さん、井登さん、ありがとうございました!!


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