経営学部の学生にUX / サービスデザインを学んでもらおうと考え、仕組んでる訳:Xデザイン学校大阪分校オープニング公開講座

昨日(2018年3月24日)は、Xデザイン学校大阪分校オープニング公開講座(in:Yahoo!大阪グランフロントオフィス)でした。

今回、ありがたいことに、主宰の浅野智先生から何人かインターンをお引き受けくださるというお声がけをいただき、ゼミ生3名と近畿大学理工学部の2回生(4月から3回生)1名をお願いすることになりました。

ちなみに、理工学部の1名は昨年末に同じく浅野先生、さらに立命館大学の長田尚子先生と一緒に開催させてもらったサービスデザインの基礎講座に参加してくれて、UX / サービスデザインに強く関心をもってくれた学生です。

そこで、今回の公開講座に私も参加することにしました。

浅野先生の講義は、基礎原理にあたる部分と最新動向にあたる部分が絶妙なバランスで織りなされてるので、いつもながら「油断ならない」(笑)構成。今回は、とりわけIoTの急速な生活への浸透を踏まえたうえで、「このような状況においてUXをデザインするとはどういうことなのか」というところに重点が置かれていました。


機能ベースで製品やサービス、コンテンツを企画・提供しようとする方向性が、いよいよまったく通じなくなる時代に突入したなという感を強く持ちました。

浅野先生の講義でしばしば用いられる古典的事例としての小林一三の阪急モデル、実はこれについては大学一回生の頃に、かなりいろんな文献を読んだりしてました。偶然に(?)配属された商学演習(関学商学部の1年生向けの入門ゼミ)で、今は別の大学に移動された先生から、阪急沿線都市研究会編[1994]『ライフスタイルと都市文化:阪神間モダニズムの光と影』(東方出版)という文献を教えてもらって読んだのは、けっこう鮮烈に憶えています。あとは津金澤聰廣『宝塚戦略』(講談社学術新書)。このあたりの小林一三の狙いや戦略をちゃんと理解できれば、UXD / SDはけっこうすんなり入ってくるんじゃないかと、私は思ってます。

ちなみに、津金澤聰廣『宝塚戦略』は2018年に吉川弘文館から新装版が出てます。上記のアマゾンへのリンクもそちらです。

ただ、それがIoTの生活への急速な浸透によって、生活文脈それ自体を捉え返す必要が出てくるし、そのなかでどういう経験を創り出していくのか、それは生活文脈にどうやって埋め込まれうるのかを、深く掘り下げて考え、カタチにしていくことが、今までよりもはるかに切実な課題として、眼前に迫っているというのを、あらためて痛感しました。

こういった点について、さらなる詳細を学び、どう実践に移していけばいいのかを鍛錬したいとお考えの方は、ぜひXデザイン学校大阪分校へ!

浅野先生の講義のあとに展開されたアンカンファレンスは、それぞれが講義を聴いて感じた疑問点などをKJ法を用いて表出&関係づけし、そこからいくつかのテーマを導き出してグループをつくり、議論するというスタイル。私はこういうのが好きなので、ついついしゃべりすぎてしまいます(笑)

なので、(1)できるだけ、しゃべりすぎない、(2)参加している学生とは絶対に同じ議論グループに所属しない(←学生は教員を意識してしまうか、もしくは依存してしまうので)の2点を遵守して参加(笑)


それでも、やっぱり楽しいです。授業にも摂り入れたいけど、いけるかなぁ。


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さて、UXデザインやサービスデザインといったテーマは、まだ経営学において、それほど正面切って採りあげられているとはいえない状況です。

しかし、私自身はこれからの価値創造ということを考える際、UXデザインやサービスデザインに関する知見&姿勢&スキルは、かなり重要になるのではないかと思ってます。

ちなみに、ここにいう価値創造とは「他者の欲望や期待を充たすことで、自らも成果を獲得する」と定義しておきます。

UXD / SDにおいて最も重視されるのは、ユーザーのコンテクスト(生活文脈と訳すとイメージが湧きやすい)を汲み取ったうえで、ユーザーが心を満たされるような経験(←当然ながら、時間軸と空間軸を意識しないといけません)をどうデザインするかという点です。これを成就するには、どうすればいいのか。ここがUXD / SDの最大の要諦になります。

そこでUXD / SDでは質的調査(応用エスノグラフィーや行動観察、インタビューなど)にもとづく分析と、そこからの経験プロセスデザインをおこなっていくわけです。もちろん、もっといろいろあります。そこらへんは、Xデザイン学校大阪分校で(笑)

さて、ここまでのUXD / SDの流れは、学問領域的にいうと経営学そのものではないように思われる方もいらっしゃるでしょう。にもかかわらず、なぜ私はUXD / SDを経営学の問題として捉え、またゼミや講義のなかに摂り入れようとするのか。

それは、UXD / SDは価値循環をデザインすることに直結するからです。

価値循環という概念は、ドイツの経営学者・ニックリッシュ(Nicklisch, H. : 1876〜1946)によって提唱された考え方です。ニックリッシュの理論枠組は、その提唱時期によっていくばくの変動がありますが、興味深いのは企業の収益性(Rentability / Rentabilität)を考える際に、今で言うところのステイクホルダーそれぞれの欲望や期待を充たすことが重要であるという視座を打ち出している点です。これを捉える概念として、内部価値循環と外部価値循環という2つを提示しています。前者はそれぞれの活動主体(ドイツ語ではBetrieb:経営と呼びます)内部での価値運動(=価値創造過程)であり、後者は活動主体どうしでの価値のやり取り(=価値交換関係)です。

この枠組を活かすと、UXD / SD(とりわけ後者)で重視されるステイクホルダーの価値運動を考慮しやすくなります。UXD / SDでよく用いられるカスタマージャーニーマップは、顧客という活動主体における価値運動の一コマをコンテクストとともに切り出したもの、とも捉え返せるでしょう。となると、何らかのUXを創出するに際して、多様な活動主体との協働(コラボレーション)が必要な場合には、カスタマーのみならず、協働に参加するステイクホルダーごとにジャーニーを描出し、それらがどう繋がりあってくるのかを考え、デザインしていく必要があります。昨年、サービスデザインネットワーク日本支部が公にした研究報告書で、顧客価値連鎖分析(CVCA)による事例分析が示されていましたが、これなどはまさにこの線上にあります。

学部学生にコラボレーティヴな価値循環ネットワークをデザインせよというのは、なかなかハードルの高い要求だとは思います。が、そういったトレーニングを重ねることは、いずれ社会に出てから活きてくると信じています。

そのためにも、ゼミ生、あるいは有志の学生と一緒に、UXD / SDを経営学的な視座から活かしていくという取り組みを続けていこうと考えてます。と同時に、UXD / SDを経営学の課題として位置づけていく作業を、私自身の研究テーマの一つとして展開していこうと思っています。

Xデザイン学校大阪分校にご関心あるかたは、ぜひこちらをご覧ください!
↓↓↓↓↓(画像にPeatixへのリンクを貼ってます!)


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