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学びを動的なものとするために。

昨日(2019/05/23)の3回生のゼミは、前回の発表・共有と、ワールドカフェというスタイルに拠った問い立て型文献読解・共有をやってみました。

テーマ文献はこちら。

プロジェクトも本格的に始動するので、フィールドに入る(入らせてもらう)ためには、どんな点が大事になるのか、どんな点に留意すべきなのか、さらに今の時点でどんなことが不安なのか、わからないのかなどを顕在化することが狙いでした。

なので、この本の第1章から第3章までを読んできて、気になったところに線を引いたり、付箋貼ったりしといてねってのが、事前課題。

社会人で忙しい方であれば、ABD(Active Book Dialogue)って方法もあるけど、学生が採るべき方法ではないかなとも思います。なぜなら、学生のときには文献と対話しながらしっかり読む習慣をつける必要があると考えるからです。

初めてこういう文献読解スタイルを実践してみたんですが、これはいろいろ応用できそう。ちなみに、今回は以下のような手順でやってみました。

今日の流れ

①チーム(4〜6人)に分かれて、事前課題から出てきた点を(色分けして)付箋に書き出す。

☞ その際、文献のページを記入するように指示。あとで参照したりするのが容易になるように。

②それにもとづいて、フィールドに入るときに大事な点、注意すべき点、わからない点などを討議。

☞ ここまで40分。予定は30分でしたが、準備不足フォローのため、延長(笑)

③5分休憩とともに、チーム再編成。1人だけ残して、他のメンバーは別チームへ。

④残った1人が、そこでの議論状況を新メンバーに説明。新メンバーもそれぞれのチームでの議論について説明して、再び議論スタート。

☞ 付箋の色を変えたかったんやけど、そんなに付箋の色もないので、2回目の討議ということで②って付箋に書いてもらうか、別の色のペンで付箋に書いてもらうことに。
☞ これは30分。

⑤5分休憩を挟んで元のチームに戻り、2度目の討議を持ち帰る。そこから、共有するための整理討議。

☞ 20分の予定だったけど、結局終わらず。

⑥本来は、その日のうちに発表・共有。でも、今回はそこまで到達せず。残念。

問題自覚的に文献を読む、そして具象と抽象の往還。

文献を読むというのは、たいがいの場合、“苦痛”なものです(笑)何のために読むのか、ある程度でも頭の中にないと、よほどの本好きでもなけりゃ読まないでしょう。特に、硬めの文献は(笑)

今回の場合、プロジェクトの準備ということもありました。しかも、そろそろプロジェクトが始まるということもあって、読んできたメンバーにとっては、難しいながらも、気になったところやわからなかったところ、不安な点など、いろいろ付箋に書き出せてましたし、議論もできていたようです。

今回は一冊限定、しかも読む章を指定するというやり方でした。最初はこれでいいかなとも思います。

ただ、プロジェクトが始まったら、逆にと言うべきか、テーマに即して複数の文献を提示して、それぞれのプロジェクトでの課題と突き合わせつつ、文献で示されてる概念枠組とプロジェクトでの実践的体験を交錯させて考える(抽象⇆具象)スタイルを採るのがよいかなと思ったりしてます。

ゼミの時間にプロジェクトの“作業”をするのも、もちろんいいのですが、そればっかりだと思索という抽象化に進めません。思索や討議、共有(報告と応答を含む)を通じて、具象を捉えるための概念枠組、さらに進んでは意味体系(Semantik)を身体化していって初めて「学んだ」=「体験を経験へと昇華した」ということになるのではないでしょうか。

※ このあたりの議論、コルブの経験学習モデルとともに、今週火曜日に同僚の松本誠一先生と議論させてもらったことが反映されてます。

その方法として、ワールドカフェスタイルは、かなり「あり」だなという実感を得ました。今後、何度か繰り返して試行・実践してみたいと考えてます。

準備の大事さ、それが時間管理につながるということ。

同時に、このスタイルは準備ができているか、あるいは平常時から問題自覚的に体験を重ねているかといったことが、モロにあらわれます。昨日のゼミ、パッとみただけでも、かなり明白でした。その意味で、「準備もなしにゼミ、そしてプロジェクトに臨んでも成果はほとんど得られへんねんで」っていうことを、身体的に感じてもらえたんじゃないかと思います。これは、最初から意識していたわけではないですが、教育上の効果の一つかなと思います。

この点ともかかわりますが、前回に続いて今回も達成できなかったのが、時間管理。これは、今後のプロジェクトを考えると、ちょっとまずいです。時間内に終わらないというのは、その時間内に十分な討議ができていないということであり、それは遡れば「準備ができてない」ということであるからです。今回のゼミの終了時に、その点は伝えましたが、今後も折に触れて伝えるべきだなと痛感しました。

まとめ

ゼミメンバーの一人が、以下のようなブログを書いてくれてました。

こういう点を、少しでも多くのメンバーが共有してくれると嬉しいなぁと願ってます。

そろそろプロジェクトも動き出します。思索と実践の相互往還を大事にして、さらに進めていきたいと思います。そうすることで、動的な学びが可能になると信じて。




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