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note深津さんに聞くMinimalのUX➀

はじめまして、「Minimal -Bean to Bar Chocolate- (ミニマル)」というクラフトチョコレートブランドを経営している山下貴嗣です。noteの連載で、リアルなブランド経営の厳しさや楽しさ、そして学びをお届けしたいと思います。

私が経営しているMinimalはBean to Barと呼ばれるカカオ豆の仕入れからチョコレートになるまでの全工程を自社工房で製造する新しいスタイルのクラフトチョコレートブランドです。

Minimalは「チョコレートを新しくする」という壮大なビジョンを掲げています。その実現のためには、私が経験したことや、必要だなーと思う事、興味があるブランドにまつわる様々な事を、Minimalの具体的な事例を用いながらなるべく生々しく、そして自分なりの見解をもって、徒然なるままに書いていこうと思います。ご笑覧頂ければ幸いです。

■ブランド運営に欠かせないUXを考える
第1回目は、ブランドにとって永久の命題と言ってもよいUXについて考えたいと思いました。UXはブランド運営では根幹をなすものです。ただ、それなりにUXを設計しているつもりですが、どうしても当事者として今のMinimalを客観視することが難しいので、専門家に直接聞いてみようと思ました。

ちょうどnoteを始めるタイミングなので、noteを運営するピースオブケイク CXOに就任した深津さんだと思いまして、対談という形で深津さんにお時間もらってMinimalのUXについて忌憚なく意見交換させて頂きました。わがままを快諾頂き、たくさんヒントを頂きました。ブランド運営の方にも参考になる示唆がたくさんあるかと思います。ぜひご覧ください。

(左:深津さん、右:山下)

■チョコレートを食べるUX設計に大事な3つのポイント

 (以下敬称略)
山下:Minimal山下です。宜しくお願い致します。

深津:宜しくお願いします。

山下:最初にこの会をお願いするきっかけが、深津さんがTwitterで「MinimalのJournal(オウンドメディア)noteこないかな」とつぶやいて頂いたことに、私が図々しくも反応したことですが、なんでそういうつぶやきをして頂いたのですか?

深津:単純にMinimalのチョコレートが好きでつぶやきました。

山下:ありがとうございます。食べて頂いているんですね。とても嬉しいです。今日はUXのプロである深津さんに聞きたい事を聞いていきたいのです。いきなりですが(笑)、深津さんからみてMinimalってどう見えますか?

深津:まずチョコを食べるUXを少し大雑把に言うと、3カ所くらい重要なポイントがあると思います。
1、 最重要は、単純に食べてすごく美味しいということ
2、 次に初めてお店に行く際のドキドキ感がつくれるか
3、 さらにその手間にお店に行くとすごいチョコが食べられるという前評判をつくれるか

その観点からは、Minimalはそこを割ときちんと押さえられていると思います。

山下:ありがとうございます。嬉しいです。確かに、とてもありがたいことに”美味しい”という口コミでの来店がとても多いです。

深津:ただ、やはりわざわざタクシー乗ってそのためにだけにお店行くかというと難しいかもしれません。

山下:おっしゃる通りですよね。来店動機をどう設計するかはとても難しいです。

■食べてもらう事と買ってもらう事の違い

深津:もう一回食べてもらうと、もう一回買ってもらう事は違います。前者自分がもう一回食べる、後者はギフティングを含みます。

山下:僕たちのブランドはイノベーター層やアーリーアダプター層のお客様が最初自分で食べて「美味しい」という事から口コミでブランドが広がっていきました。そういう人たちに自家消費はもちろん、ギフトとして使ってもらう重要性をとても強く感じています。

深津:広げるという意味で言うと、極端にいうと、僕が毎週Minimal買うよりも、僕が毎週Minimal買って客先に持って行く方が全体的には広がるし、結果としてハッピーな人が増えます。

山下:そう思います。そこをどうとるか試行錯誤したのですが、ブレイクスルーポイントがまだまだ見えていないです。店舗に来てくれるという最初のポイントもまだ弱いと感じます。

深津:ギフティング的をとっていくには、ある程度認知がある、マス化するブランドとなっていく必要があると思います。

山下:そうですね。マス化するとブランドが毀損するリスクを伴うので慎重にやらないといけないと思っています。クラフトとか手作りとかこだわっているという事を残しながら、その周辺の人にジワっと広がっていく。ブラント感をきちんと残しながら広げていきたいです。期待感を醸成し、来店してもらい、食べて美味しい。それで自分用にもギフトにも使ってもらうという顧客をどう増やしていくかを試行錯誤しています。

■買うための言い訳は多い方がいい

深津:個人的思ったのは、買うときに言い訳が欲しいと思いました。Minimalのチョコは美味しいけど、チョコの平均単価より高い。そのため買うときに言い訳があればあるほど買いやすい。例えば「プレゼントに最適」「誰かと一緒に食べるのに最適」とか。
多分普通にチョコを食べるときに、高いチョコを食べるというのは一般の人にはハードルがある。スペシャルなギフトだから奮発しようとか、一緒に食べて友達と仲良くなれるなら高くないよね、という美味しい以外の買う理由が欲しい。それが個人的な理由以外にくっついていると、みんなお財布に色々言い訳をして買いやすくなると思います。

山下:個人的な事以外の言い訳を置くことによって、購買のハードルが下がるというのは確かにその通りですね。

深津:例えば普段の私生活の中でMinimal Flight M-06を3600円(税抜)に買おうとすると少しハードルが高いです。今回対談前に買った最大の理由はMinimalさんに会う前に食べとこうという事だった(笑)逆に言えば、大きな理由があれば買えない値段ではないと思います。

山下:UXを考えるときに満たさないといけない条件と、言い訳になる条件はセットで考えますか?

深津:それは一緒の方がいいですね。

山下:そのために、Minimalでは店舗に来てもらったら試食を全種類できるようにしたり、月1度必ずスタッフを全員集めて勉強会をして自分の言葉と経験でお客様ごとに対応するように訓練しています。究極は、個々人の購買嗜好に合わせて、買いたいと思える”美味しさ”と、それ以外の”言い訳”を置けるといいのですが、とても難しいなと思います。


■商品体験と店舗体験を分けて考える

深津:確かにMinimalさんのクオリティーはめちゃめちゃ高いと思います。ただ、お店の中に入った後の体験のクオリティーは高いが、お店の中の体験のクオリティーが高いぞと言う事前の情報が少ないのかもしれませんね。Minimalの店がすごいクオリティーである事と、Minimalの店がすごいクオリティーであるから行くと楽しいらしいぞというのは微妙に違うと思います。

山下:確かにチョコレートの美味しいという口コミは多いし、食べたことがある人が美味しかったと言ってご来店いただくことは多いのですが、店の体験が高いという口コミは少ないかもしれない。これは素晴らしいインサイトですね。ありがとうございます!

深津:店舗体験がすごいらしいぞと言う口コミをもっと強化することは重要ですね。

山下:そういう意味でいうと、やはりお店での食べ比べできる体験は皆さんとても驚き楽しんでもらっていると思います。そのお店の経験をWebでもということで、EC限定で500円のティスティングセットを置いたんです。お店でうちの商品の説明を聞きながら食べ比べてもらえるとの同じように、味の違いがわかる3種類と、食べる順番や香りや味わいの解説を書いたリーフレットのセットを初回購入者限定でやったのですが、正直これは失敗だったと思っています。気軽な値段なので数はでるのですが、その後の再購入率が高くなかったです。

深津:それは確かにもったいないですね。安売り的な事もそうだが、食べ比べの価値は、今日はこれをたべてよう、明日はこれを食べてみようという事なので。最初に3つ食べてしまうと満足してしまうと思います。

山下:なるほど。その通りですね、結果として食べて比べてそこで終わってしまったという感が出てしまったのですかね。

UXにおける重要なポイントの話から、MinimalのWebでの失敗体験に話が進んでいきました。第2話では、深津さんならどのようにWebで売るのか?という事を具体的に聞いていきます。

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最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます、全てMinimalの活動に使いたいと思います^_^