「カカオ豆を刺身でだす」という逆転の発想のチョコレート
■Bean to Bar チョコレートとの衝撃の出会い
日本人のきめ細やかな感性や考え方・思想で外貨を獲得すると考えていた時に私は**チョコレートの主原料であるカカオ豆からチョコレートを製造するBean to Bar スタイル**に出会いました。
Bean to Bar スタイルのチョコレートを食べた時の衝撃は今でも忘れません。
カカオ豆とお砂糖だけのチョコレートが、まるで「オレンジのような」風味がしたのです。素材であるカカオ豆の本来の味わいが口の中にいっぱいにジワーと拡がりました。本当にオレンジが入っているかと錯覚するくらいの衝撃でした。
それは私のチョコレートに対する固定観念を完全に覆しました。
まさに素材が活きたものでした。
そこから私はBean to Bar チョコレートに強く惹かれ、自ら2か月間かけて世界中のBean to Bar チョコレートを訪ねて歩きました。
■日本人の心や思想を武器とする”引き算のチョコレート”
世界中のBean to Bar チョコレートブランドを訪ね歩いて私なりにわかったことは、
チョコレートは主原料であるカカオ豆をベースに油や甘味、ミルクや香料、乳化剤などを足して作っていく「足し算の芸術品」であるという事。
まるでフランス料理のように油に油を重ねて味わいを整えていく技術が150年間以上研鑽されてこられました。
しかし、私なりに解釈したBean to Bar チョコレートの本質は素材そのものを表現するという事でした。
それは旬や季節にあわせて、素材そのものの味を引き出す、和食にも似たセンスでした。
■日本の和食が世界でなぜ流行しているのか
ヨーロッパの味が「足し算」なら、日本の味は「引き算」です。
世界中で和食が今流行しているのは、素材が活かして、繊細な「旨味」をひきだして美味しいにもかかわらずヘルシーだからだそうです。
油に油を重ねて、足し算で料理の美味しさのバランスをとっていく洋食に比べて和食は引き算の美意識を備えています。
素材の美味しさを引き算で最大限引き出すためシンプルな材料でヘルシーです。
加えて、季節の変化を感じ取り、うつろいを感じてその時の旬の素材を表現するきめ細やかさが外国人を魅了しているのだと思います。
日本人のきめ細やかさや、侘び寂びといった「引き算」の美意識を、自分のコアコンピタンスにしようと思っていました。
だからこそ、チョコレートを和食的に捉えた時、チョコレートというプロダクトは「引き算」が成立するなと思ったのです。
■引き算・旬のうつろいを味わうチョコレートを差別化できる
2か月をかけて欧米のBean to Bar チョコレートのメーカーを回り私は確信したことがあります。
それはどのチョコレートメーカーも「カカオ豆は美味しいチョコレートをつくるための手段」であるという事です。
お菓子会社やオーセンティックな高級ショコラブランド、そしてMinimal以外のBean to Bar ブランドも含めて、
普通チョコレートブランドはあくまでチョコレートが主でカカオ豆は美味しいチョコレートをつくるための手段と捉えています。
しかし、引き算で素材を捉えているMinimalではその主従が逆で「チョコレートはカカオ豆の個性を表現するための手段である」と考えてるのです。
この思想レベルの違いは圧倒的な差を生むはずだと思いました。
チョコレートは欧米で全世界の約70%が消費されています。
ヨーロッパ発のチョコレートを引き算の思想で再構築する事で外貨を獲得して、プロダクトを広める。そして、日本の良さを広める。
引き算のチョコレートで世界と戦ってみたいと思いました。
そうです、なぜザクザクしているかというと、
引き算でカカオ豆の個性を最大限に表現するため
なんです。
極端に言ってしまえば、
これまでの美味しいチョコレートを造りたいわけではなく、
カカオ豆の個性を最大限引き出した美味しくて新しいチョコレートを造りたいのです。
その手段としてカカオ豆の粒子を粗挽きにしてザクザクさせた方が香りが強く残るというだけなのです。
チョコレートを引き算していき、
「カカオ豆を刺身でだす」イメージでストレスや加工を最小限に抑えた結果ザクザクになったのです。
これが私たちのチョコレートがザクザクになった背景です。
現地現物で世界中のBean to Bar スタイルや高級ブランドをみてチョコレートの根底に流れる思想や考え方、その結果のアウトプットからたどり着いたものが結果として世の中のチョコレートとは真逆でした。
まさに逆転の発想のモノづくりとなったのです。
次回はその思想をもとに実際に私たちが設立から何をやってきたのか、その結果どうなっていったのを具体的にお話したいと思います。
※Minimalのホワイトデー商品
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