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【OW2:コラム】反省と指導と上達と。

 コラム。
 「上達」って、上を伸ばすこともだし、下を押し上げることでもあるし。


◯Nico選手のコーチング動画

 先日のワールドカップでも日本代表として活躍されたNico選手の動画。
 とてもいい内容です。見ていただければ。

動画より。

 もっとチャレンジしたら勝てる
 どうすれば停滞しないか
 この考え方はマジで大事 OWがうまくなる上で
 チャレンジをしましょう
 このリプレイ総じて言えるのは 自分は安全な(失敗しない)位置にいるからほぼ死なない
 味方が死ぬか死なないかで勝敗が決まっちゃってる場面が多い
 それをやめたら伸びしろある

動画より。

 これの何がいいかって、表面的な部分ではなく、根本的な部分へのアドバイスがなされていることです。
 このポジションから撃って、ここでアルティメットを使ってーーというような表面的なことが上手くできていないことの原因は、上の動画の例では「チャレンジが足りない」という根本の部分にありました。


 私が以前に書いたサポートプレイヤーの交戦意識についての記事なんかは、まさにそういうものです。

 ありがたいことに多くの方に読んでいただき、好評でした。根本的な部分へのアプローチが必要だということの現れかもしれません。



◯上へ伸ばすリプレイコーチング

 動画や配信で「リプレイコーチング」をされている方が多くいらっしゃいます。
 私も拝見させていただくこともあるんですが、それは概ね、「上へ伸ばす」ような内容が多いように感じています。 
 例えばプラチナのプレイヤーへの指導であれば、「プラチナのプレイを、ダイヤのプレイに」できるような。

 それは、割と表面的な部分が多くなると思います。というかたぶん私でもそうします
 「ここはこっちのポジションにいたほうがよかった」とか、「ここはアビリティをこんなふうに使えばよかった」とか。
 そして、それができるようになるにはどうすればいいか
 
 もちろんそれは大切なことだし、レートが高いプレイヤーほど、そういうものが必要になってくるでしょう。
 上手い人たちと戦って勝っていけるような、そういうプレイが求められます。


◯下を押し上げる反省

 上へ伸ばすことは重要なんですが、それと同じぐらい、下を押し上げることも重要だと私は思っています。

 というのも、殆どの場合、例えばプラチナのプレイヤーのレートが・・・・プラチナなのは、全ての試合でプラチナ相当のパフォーマンスが出せているからというわけではなく上手くいく試合ではダイヤの、上手く行かない試合ではゴールド以下のパフォーマンスになっているようなことも少なくないと思うのです。

 コーチングをなさる方が「上手くない?」「ほんとにこのレート?」のようなことを仰っているのを何度か聞いたことがありますが、それはまさに上のパフォーマンスが出せているような試合だと思います。

 しかしそういう試合では見つけられないような、プラチナのプレイヤーがゴールド以下のパフォーマンスしか出せていないような試合やその原因を把握し、それを改善していくことも必要だと思うのです。

こっち。

 上位のレート帯ではほとんど無いでしょうが、レートが下に行くほど、根本的な部分が問題となっている場合は少なくないと思います。
 そういう根本の部分の改善がなく表面的な指導だけでは、上達は行き詰まってしまうでしょう。
 順調な試合ではいいパフォーマンスが出せるかもしれませんが、負け試合を勝ち試合にすることはできるようにならないかもしれません。
 
 初めに紹介したNico選手のコーチングにおける「チャレンジが足りない」ということや、私が以前に書いた「サポートプレイヤーの根本の交戦意識」のようなものは、それらが顕在化していない試合であれば問題に気づけず、反省することができません

 
 リプレイコーチングで扱う試合は、割といい勝負になっているものが多いと思います。
 そういう試合では根本の部分は(見た目だけでも)問題がなく、今のパフォーマンスを上に高めるような指導になるのは理にかなっています。

 しかし、そういう試合では下から上へ押し上げるような、根本的な部分ができていない問題を解決することはなかなか難しいと思います。顕在化していないので。


◯一方的な試合こそ見返す

写真ってよぉ麻雀と似てるとこがあってな
写ったものは全部自分自身なのによ
気に入ったものしか認めねえだろ
写真写りが悪いのなんのって言ってな
麻雀も記憶の中じゃ完璧な自分の摸打しか残っちゃいない
氷山の一角のこの完璧さに酔っちまうと その下の粗だらけの本当の自分を見失いがちになる

天牌26巻 津上元

 試合内容が一方的になることはよくあります。ボロ負けやボロ勝ち。それはOW2のゲーム性的に仕方がない部分もあります。
 ただ、そういう試合こそ根本的な問題が顕在化しており、重要な要素を発見できるチャンスでもあります。
 
 私はそういう試合のリプレイを見直します。ボロ勝ちもボロ負けも。私は悪くねえって思いたいだけの場合もありますし、勝った試合で「相手は何がダメだったのか」ってのを確認することがよくあります。

 タンクやってると一番前にいることが多いので、相手の悪い部分は試合中でも見つけやすく、それをリプレイと照らし合わせて確認することが多くあります。
 あるいは、なぜ(楽に)勝てたのかがわからないような試合ならば、相手のマズいプレイを確認するためにリプレイを見直します。


 私は基礎的な部分を多く記事に書いていますが、それはそういうのができていない試合をたくさん見返しているからです。
 私は決してレートが高くないですし、ダメージやサポートをやるとさらにレートは下になるし、クイックマッチも多くプレイします。
 そういう試合にこそ、根本的な問題はたくさん現れています

ーーー

 味方のせいでボロ負けになる試合はいくらでもありますが、ボロ負けの原因に気づけない場合も多くあるでしょう。

 例えば、かなり昔の試合なんですが、相手のラインハルトがかなり突っ込むプレイングをし、チャージが私のブリギッテとぶつかってスタンし、ファーストデスが多くなっていました。
 あまりにもラインハルトが突っ込んで死ぬので、相手のチームは文句を言いまくってたようで、途中から諦めるような試合になってしまっていました。
 
 しかし、実は私は一つ前の試合ではそのラインハルトと同じチームになり、モイラで一緒に突っ込んで暴れることでボロ勝ちしていました

 なので、もちろんそんなことは言いませんが、試合中に全体チャットを送りたくもなりました。「あんたらが負けてんのはタンクのせいじゃねえよ」「私さっきそのタンクとチームだったけど余裕で勝ったよ」と。
 その試合の相手チームのプレイヤーは、「味方のタンクが突っ込むから負けた」としか思っていないでしょう。

 もちろんそういう試合は極端な例ですが、上でも挙げたサポートプレイヤーの根本的な問題の記事でも書いたように、「交戦参加ができない・前に出られない」というような根本的な問題は、そのような試合にこそ顕在化します
 

 味方タンクがいい感じにエリアがとれ、ダメージがいい感じにワンピックしてくれる展開ならば、相手からの脅威が減るためにサポートは自由に動け、自然と前に出ることができ、ポジションの悪さが問題になりません。

 しかし、なかなか上手く行かない試合だって多くあります。タンクが相性的に上手く前に出られない、サポートが絡まれ続けて仕事ができない。
 そういう試合はボロ負けになってしまい、反省をしないかもしれません。
 しかし、根本的な問題はそういう試合を見直してこそ判明します。

 ダメージがキルを取れない原因がタンクにあったりタンクが前に出られない原因がダメージやサポートにある場合が少なくありません。
 サポートが絡まれ続けるのを、「味方がケア・カバーしてくれないから負けた」と思っているのならば、いつまで経っても上手くなりません。

ーーー 

 こんなこと言い出すとアレなんですが、上位プレイヤーでない限りは、極端に言えば全てのプレイヤーは全ての試合で下手クソなんです。

 「いい感じの展開の試合で、自分がもう少し上手くやれれば勝てた」ようなものを探すのもいいですが、「自分のプレイの根本的な問題を発見できるような一方的な試合」を見直して、その原因を探すのも上達のためには必要なことだと思います。
 
 特に、レートが高くないプレイヤーにとっては。
 初めに紹介したNico選手の動画でも、ピンポイントな・表面的な部分ではなく、「チャレンジが足りない」という根本的な部分の改善が必要とされています。


 多くのリプレイコーチングでは、「いい感じの展開の試合で、勝てるようになるプラスアルファを探す」ようなものが多いですが、根本的な部分の改善ができるようなものが、それこそリプレイコーチングでも必要なんじゃないかと思います。

 思いますが…。


◯言うても、リプレイコーチングなんで。

 批判してるわけでも否定してるわけでも、バカにしてるわけでも諦めているわけでもありません。
 「リプレイコーチング」という形式で、そしてそれを動画や配信で行うという場合では、どうしてもそのようなものになってしまいます

 というのも、それこそ、「多くのサポートプレイヤーは病巣を抱えているんだ、そもそも戦う気がねえんだ」なんて動画や配信で言えないでしょう。私だって配信者だったら配信で言わないですよ

 さらに、野良マッチのリプレイというのは野良のプレイヤーもいるわけで、もちろん許可も取ってないでしょうし、そういう試合全体にとやかく言うわけにもいきません

 特にレートが高くないマッチのリプレイでは、そのリプレイコーチングを依頼したプレイヤーだけでなく、味方や相手も含めた試合全体がマズいような場合も少なくありません。
 そういうのを配信や動画でとやかく言うのは晒すようにもなるし決していいことではありません。


 上でも書いたように、リプレイコーチングでは上へ伸ばすような指導は上手く行く場合も多いでしょう。プラチナのプレイヤーのプラチナのパフォーマンスをダイヤのパフォーマンスへと導くような。
 しかし、プラチナのプレイヤーのゴールド以下のパフォーマンスを反省するのは、リプレイコーチングでは難しいかもしれません。
  
 それはここまでで書いたように、リプレイコーチングで取り上げられるような試合では根本的な問題が顕在化していなかったり、リプレイコーチングというものの性質上、野良のプレイヤーもいるのであまり厳しいことは言えなかったりもすると思います。

 動画時間的に全ての部分に突っ込むわけにもいかないし、「概ねいい感じだけど、こういう意識を持ったらいいかもね!」ぐらいの内容になってしまうのは仕方がないことです。

・自分の試合の他人のプレイを見直す 


 リプレイコーチングではなかなか改善しにくい根本的な部分は、やはり自分で反省していくしかないとも思います。
 とは言っても、根本的な部分であるからこそ、自分のプレイングを反省するのは難しいとも思います。自分は正しいと思って、あるいは無意識にやってるんだから。

 であれば、自分の試合でも他人のプレイングを見直してみるといいかもしれません。
 それこそ根本的なこと、「遮蔽物は使えているか」「味方の立ち回りを把握できているか」「ポジショニングせずに必死に撃つだけになってないか」「ヒールすることに夢中になっていないか」「サポートは交戦意識はあるか・前に出られているか」のようなことを、自分の試合の味方や相手に当てはめて見直してみるのもいいかもしれません。
 
 ボロ勝ちした試合を見直して、「相手はこれができていないからボロ負けしたんだ」というようなことがわかれば、自分がそういう立場になったときに解決の糸口が見つかるかもしれません。

 例えば私はタンクをやっててボロ勝ちした試合を見直すと、相手のサポート陣が全然前に出られていないような試合が多くあります。
 もちろんそれはサポートだけの責任ではない場合も多くありますが、サポートが前に出られていないから負けるということがわかったのならば、じゃあサポートで前に出ればなんとかなるんじゃないかということがわかります。

ブリとモイラでインファイトしとけば5-0。
だいたいみんなアナとかやるから、私がインファイト要員やる。
エイム悪いだけだけど。

 こういう「相手の下手なところを探す」のようなのはリプレイコーチングでは無理だと思うので、各々がやってみるしかありません。
 やってみると色々と発見があって良いと思います

 私が記事に書いてるような基本的な事柄は、ほとんどがそういうところから取ってきています。クイックマッチでのスクショもたくさんあります。
 



 野良のマッチというのは様々な要素があり、上手くいく試合もそうでない試合もたくさんあります。
 味方が強かったから勝った、相手が下手だったから勝ったという試合も多くあるでしょう。

 総合的に上達するためには、上へ伸ばすことはもちろん、下を押し上げることも大切だと思うのです。特に、野良のマッチでレートを上げるという行為に関しては。

 そのためには、特にレートが高くないプレイヤーほど、表面的な「どのヒーローを使えばいいか」「アビリティの使い方が」だけでなく、根本的な部分を改善する必要があります。
 初めに紹介したNico選手の動画においての、「チャレンジが足りない」というような。

 そういう根本的な部分の問題を見つけることができるような反省も、上達には必要なことだと思います。

 自分がプレイすること、特に射撃系のヒーローで射撃に夢中になるだけでは、プレイ中はもちろん、「エイムを良くしなければ」というような反省では根本的な部分の問題に気づきにくいと思います。

 であれば、リプレイで自分だけでなく他のプレイヤーを見直してみたり、タンクをやって最前線で相手プレイヤーの動きをよく見るようにすると、根本的な部分の問題が見つかるかもしれません。
 みんなタンクやろうね!

 
2023/11/14 山下


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