山下ゴム男が読んだ本 -にごりえ•たけくらべ-

読了日: 20231123
一葉を読みたくなったのは、放送大学で島内裕子教授が行う『樋口一葉の世界』という講義がとにかく面白いからだ。僕は毎回楽しみにラジコのタイムフリー機能を活用している。
この岩波文庫本はもっているのだが、どの段ボール箱に入っているのかわからないので図書館で借りてきた。段ボール箱から探し出せば、昔僕がメモした感想や、引いた傍線を確認できるかもしれないが、本を詰め込んだ段ボール箱が多すぎるため面倒臭いという思いを優先した。
にごりえもたけくらべも素晴らしい、なかなかお目にかかれないレベルの作品なのだが、やっぱりたけくらべは傑作で、僕はこの小説を読むと卵の殼の内側で細胞分裂している存在を見ている気がする。
特に美登利。
この小説に描かれる日々より後の彼女の姿や時間が詰まった卵のような、少女美登利には感動と涙を禁じ得ない。
子どもたちの行動や様子を書いて、人の運命を描くというできそうでできない作業を見事にやってのけた一葉はすごい。

※今の吉原とは吉原神社の位置が異なることと、やすけとは鮨の異称であることを知らなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?