就活キョンシーは、時間差で2度死ぬ。


就活の話は年がら年中尽きることがありません。インターン、ES、面接、内定、辞退...etc。

人事や就活生のTwitter界隈はクリスマスのイルミネーションに負けじと、いつでも就活と採用とヒトの話で日夜問わず彩られています。

そんな侃侃諤諤(かんかんがくがく)な感じでチカチカしたTLをビューっと眺めたり、普段の仕事をしたり、就活生の相談を受けたりする中で思うことがあるので、それについて今日は書いてみます。

※明日使える豆知識:喧々諤々(けんけんがくがく)は誤った表現らしいですよ。最近僕も知ったのでドヤ顔で知った風に上記は書いています。


就活生が、キョンシーに見える。


僕は元々キャリア教育をやっていた背景があるのに加え、趣味でキャリア相談に乗ることもあるし、自分も新卒就活生だった過去もあるので、昔から今に至るまで色々と新卒の就活に関しては思うことがあります。

そのうちの1つがこの「就活生がキョンシーに見える」ということ。

キョンシーはこういうやつですね。中国版ゾンビみたいなものです。

一旦殺されて、その死体に対してお札が貼られると死体はその通りに動き出すというアレです。


僕は自分が就活生の頃から、学歴やESの書き方、服装をはじめとした「こうあるべき」という多くのお札が学生にはペタペタと所狭しに貼られていく様子が昔からキョンシーにしか見えませんでした

「髪の毛は黒にしなさい」「ESの書き方はこうしなさい」「普段着と言われたらリクルートスーツで行きなさい」...。


今でも就活生と話していると大多数の子が「こうじゃないと受からないから」という理由で、個性を殺して、「こうしなさい」のお札を貼られて、それに沿って再度就活をし始めている。

過去においては良かったのかもしれないけれど、今の時代においてこのスタンスって本質的なことだったんだっけ?といつも考えます。


そして、後ほど詳細は書きますが、僕個人としても当時はキョンシーの1人でした。

だからこそ言える部分もあるので、こうしてnoteもTwitterも書くし、僕がMatcherなどで相談に乗る時はいわゆる就活ハウツーは教えず、むしろ「就活キョンシーのお札を外すハウツー」を教えて彼らのお札を自身でいかに引っぺがしてもらえるかを意識しています。

学生さんからもこうして「山口さんは正解を教えてくれない」って言ってもらえているので、自分の伝えたいことはどうやら伝わっているようです。(いわゆるコーチングというよりも常識の枠を外す方に注力しています)



自分も、就活キョンシーの1人だった。


先ほど言いましたが、実は自分の原体験としても「就活キョンシー」になっていた経験があります。

当時も今の就活生に負けじといろんなお札を貼られましたが、その中でも自分の中で大きかったのは「ベンチャー企業に飛び込むなんて危険だ」というお札です

もともとは数百人以下のベンチャー企業に行きたかったものの、相談しても「それって大丈夫なの?危ないよ。」しか言われず、周りの友達もほぼほぼ全員名の知れた大手企業に行くような環境下で、当時の自分は「自分だけが大間違いしているのか?」と疑うようになりました。

結局、大手とベンチャーの合いの子のようなメガベンチャーへ行ったのですが、やはり入ってからは自分が思っているよりもはるかに仕組みができていて、思っていたものとは全然違う環境が待っていてすぐに転職のことを考え出すという失敗ぶり。


就活時に個性を殺されて、それを改善しようと常識的正解のお札を貼った結果、入社後も殺される。


就活キョンシーは、そうした時間差で2回死にます。



就活をもっと自由にするために、「採用をもっと自由に」したい。

少し話は変わりますが、就活・採用界隈の枠をはみ出た大きなムーブメントがこの前起きました。

それが、パンテーン(P&G社)の広告「内定式をきっかけに、ひっつめ髪をほどいた就職活動が、この国の当たり前になりますように。」(#就活をもっと自由に」です。

SNSを中心に世間を大きく賑わせましたが、これを見た時に、こんなにも表立ってこのことに突っ込める企業があるものなのかと、とても嬉しくなりました。さらに裏側を晒しながら伝え続けるワンキャリアの寺口さんがいらっしゃって、その時のキャンペーンの裏側を公開したnoteもすごい熱量で。大勢の人がこちらに反応していたのも覚えています。


僕は、このキャンペーンを汲み取った上で、「就活を自由にするに当たって、採用ももっと自由にしないといけないんじゃないか?」ということをいつも考えています。

たまたまですが、タイミング的に僕自身も広告開始週の金曜日である10/5には人事・学生・経営者・大学職員・人材紹介エージェントなど採用に関わるポジションの人をみんな呼んでみんながそれぞれの「既存の面接やESなどの選考方法」に対して本音をぶつけてもらう『選考ってなんだっけ?会議』をイベントとして開催していました。


その他にも、前々からこちらの「ツイート2つ分未満のESで、オレの何が分かるの?」のnoteなどでも意見発信しているように、「採用の構造をつくり出している企業側が意識を変えなかったら、たとえ意識を変えた学生がいたとしても彼らは採用されず、不安が故の内定欲しさにまたキョンシーに戻ってしまうのでは?」とどうしても思ってしまうのです。

また、日本の労働人口が減少していく中においても、採用側が世間一般論的な「優秀さ」を見ようと結局世間一般的なバイアスの入りやすいラベル(学歴・肩書き・病歴・LGBT・主婦など)に紐づく採用をし続ける限り、採用の難易度を自分たちでどんどん上げ続けてしまっていないか?とも思うわけです。



「採用をもっと自由にする」ために、採用ブランディングを仕事にしている。


採用を自由にするために選考手法を考え直すことなどももちろんなのですが、以下の①②のように「そもそも論のところを見直すこと」が採用に自由をもたらすのではないかなと思っています。

①そもそも「本当にこういう人が欲しいんだっけ?」「何がウチらしい人なんだっけ?」というところに目を向け直すこと

②既存の採用の考え方に必ずしも乗らなければならないということではないこと


僕が採用ブランディングの手法にこだわりを持つのは上記①②を汲んでいて、現実的な採用効果もあった上で、そうした"個性"を殺す画一的な価値観を変えられるのが「ブランディング」という手段だからと思っているからです。

※自分の使う「ブランディングの定義」については「5分でサクッと理解できる忙しい人のためのブランド/ブランディング論」でざっくり理解いただけると嬉しいです。


採用ブランディングを大まかに言うならば、「自社らしさ」をビジョンや企業理念レベルから考えて言語化して、自社らしく広報したり選考フローを考えていくことです。

この過程において「自社らしい"優秀な人"」を定義することになるので、それを満たしていれば思わぬところを採用ターゲットとして設定することも出来るようになります。

それはすなわち、既存の価値観の枠に捉われることなくヒトと社会を繋げられることに続いていくことだと僕は思っています。

具体的な採用事例は前に挙げたこのような事例ですね。「あえて元うつ病狙いの人をターゲットに置く」ということをこの時は行いました。



ググっても答えの出てこない採用が、就活キョンシーを減らす?


能力面・性格面で見た時の「自社にとっての優秀さ」は、噛み砕いて考えれば各社で違うことは想像に難くないと思います。

不動産の会社なら"家が好きな人"かもしれないし、僕個人のインターン生の採用なら"自分の普段の発信に共感して自ら何か手伝えませんか?と言ってくれる人"。


でも、こうしたものってなかなか普通の選考だと見ることができませんし、選考を通じて相手にこちら側のこうした思いやその背景を伝えることは難しいですよね?

よくある面接やESではいくらでも綺麗事を言えて騙せてしまうのは、嘘で塗り固めていろんな企業に受かった友達を見てよく知っているし、今の学生の相談に乗っても「ぶっちゃけ表面的なことしか言わないでも内定出ちゃっていて、逆にこれでいいのか不安なんですけど...」という声ももらっているのでよく分かっているつもりです。


なので、僕は採用ブランディングを通して、既存の採用手法とは違う形で例えば「本当に家が好きじゃないとやりたくないちょっと特殊な選考」を考えたり、「そもそも自社に合わない人が選考フローに上がりたくなくなるような広報」をする取り組みをしています。


つまり、「口頭ベース」ではなく「行動ベース」で候補者が企業側の求めるそれをどのレベルで満たしているかが見えるようにすることで、「学生も企業側も本音と建前で化粧をする必要がなくなる仕組みをつくる」ということを考えているということです。

学生側からすれば、ググっても答えの出てこないような独自採用だといい意味で変に対策できなくなりますし、

企業側からすれば、学歴やら何やらの一般的によく見るステータスでバイアスをかけずに、自社の求める人物の採用へ近づくことができます。


今までの採用スタイルは過去の時代において最適解だったので、それはそれで意味がしっかりとあります。

ただ、インターネットの発展などに応じて時代が変わり、状況も変化したなら、今までの流れにリスペクトを持ちながらもその流れを更新していけばいいと思います。

(「アンチ面接」みたいな人に僕はたまに捉えられますが、必ず僕は選考の最後に面接を入れています。ただし、意味合いはフィルタリングというよりも「社長・役員の会社にかける想いや情熱を伝え、選考の納得度を上げる」という意味合いに重きを置いています)


・・・

長くなりましたが、こうした流れを通じて僕は就活キョンシーを減らしたいですし、

採用に対して「とりあえずこれが昔からの方法だから・上司から言われた方法だから」とお札を貼られた企業側における「採用キョンシー」も減らしたいと思っています。


画一的な価値観に捉われず、

その人らしいキャリア選択ができるように、

その企業らしい採用方法・広報で自社だからこその採用ができるように、

キョンシーでなく「生きたヒト(法人)」としてみんなでやっていけたらきっと今よりもよりよく変わっていくんだろうなと思います。


おしまい。


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【採用ブランディングについての理解を深めたい方向け】

・【事例共有】媒体をほぼ回さない採用ブランディングの事例

・結局、採用ブランディングって何するの?

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・採用に「Why you?」は必要か?

・採用ブランディングとロックミュージックの本質こそが今の若者を惹きつける最大の理由


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・「ブランディング」の認識、食い違い過ぎ問題。

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山口達也

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