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自分の2018年振返り&2019年のテーマ曲を歌詞解釈してみた|the HIATUS『Ghost In The Rain』

こんにちは、ブランディングプランナーのヤマグチタツヤ(@yhkyamaguchi)です。

年の瀬ですね。今年の振り返りをTwitterやnoteでしている方も多い中、僕は何だか普通に振り返るのも自分らしくないなと思い、どうしようかなと思った結果、「そうだ、自分の好きな歌詞解釈で振り返ろう!」となりました。


そこで選んだ、というよりも自然と頭に思い浮かんだ曲が、みんな大好きELLEGARDEN(以下エルレ)のボーカル細美武士さんがエルレ活動休止後に新たに立ち上げたバンドであるthe HIATUSの記念すべき1曲目『Ghost In The Rain』です。

※1回聴いてから歌詞解釈を読むと、世界観により没入できるのでオススメです。


バンドのライブ音源はこの動画の28:20〜です。



◆1分で読める、簡単な楽曲の概要・背景解説

これは完全に主観で推測ですが、この楽曲はパンクロック中心のエルレ時代の楽曲とは一線を画すような楽曲です(特にサウンドの中心がピアノなところ)。

もはやアー写だけでもその違いがよく分かります。一気にシックな路線へ。

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きっと新たな路線の音楽がやりたかったのであろうボーカルの細美細美さんは、そうした想いをメンバーや事務所にうまく理解し合うことができず、かといって今までのような曲ばかりを作るのだと自分らしさが無くなる気がして、色々と考えた挙句に新たなバンドを立ち上げたようにこの一連の流れが僕の目からは見えました。

※ちなみにバンド名の意味は「すき間・ひび」という意味の英単語なので、この時点でエルレの活動休止の合間の活動という意味とエルレとは違う楽曲をやる「すき間のような場所」という意味が読み取れます。


僕ら一般のビジネス社会の人で例えるなら、まるで「企業から独立して起業する人やフリーランスの人」みたいですね。

そのままでいても独自性が残らないなら、別のフィールドでやってしまおう!という感じがもうすでに彼の生き様からも追体験できてたまりません。

では早速、歌詞解釈へ入っていきましょう!


◆1番Aメロ歌詞解釈

Along the master plan
(基本計画にそって)
Heading to the barricade
(バリケードに向かっている)
Diversity or skepticism falls into my brain
(多様性や懐疑心が頭をよぎる)

I rubbed it with the bow
(僕はそれを弓に塗りたくり)
And I listened to the string
(弦の音に耳をすませると)
Then the whisper of the end
(結末のささやきが)
Slipped into the dialogue
(台詞に滑り込んだ)
(出典: Ghost In The rain 作詞:細美武士 作曲:細美武士)


基本計画は"売れ線な曲"のことで、バリケードは文字通りの障害物という意味のバリケード。

つまり、大衆に迎合することの先には自分自身らしさを出せなくさせるバリケードが待っていて、そのバリケードのせいでつくりだす曲が画一的なものばかりになり、確かに売れはするのだけれど、そこに対してアーティストとしての個性は果たして残っているのだろうか?という問題提起の意味合いが読み取れます。

「多様性」や「懐疑心」のくだりは、まさにこの気持ちを言語化した歌詞ですね。


後半の歌詞で出てくるメタファーは「弓・弦」。

この弓・弦は「楽曲」のことで、細美さんがこれから新たな方針で作っていきたい楽曲に想いやサウンド(直前の歌詞でいうなら"多様性と懐疑心")を乗せたものを、事務所やバンドメンバーにプレゼンした時に「え、それ本当にエルレで演奏するの?違うんじゃない?」という返事があった様子をリスナーの脳裏に浮かべさせます。

そして、その「違うんじゃない?」という言葉こそが、「結末のささやき」であり、その結末はエルレの活動休止・新たなバンドの始動に繋がる、という細美さんの原体験の追体験がかなり抽象的な言葉の連続の中で描かれています。

そして、楽曲はそのままサビへ突入します。


◆1番サビ歌詞解釈

I'm a ghost in the rain
(僕は雨に立つ亡霊)
The rainbow
(虹)
You can't discern
(君は僕を見分けられない)
I'm standing there
(僕はそこに立ち尽くす)

Ghost in the rain
(雨に立つ亡霊)
The same old
(変わらぬもの)
You carry on
(君はそのまま進むんだ)
The world will find you after all
(やがて世界が君を見つけ出す)
(出典: Ghost In The rain 作詞:細美武士 作曲:細美武士)

先ほどの1番やこの後の2番の歌詞を見れば分かるように「誰も自分の意見なんて分からない」という自身の気持ちをことを、雨の中で誰にも見えない幽霊に例えて歌っています。

ここの歌詞の何が憎いかって、先ほど1番の歌詞にbow(弓)が出てきたのを受けつつ、サビ頭のrainをrainとbowを足してrainbowにしているところです。

このrain+bow("誰の目にも映らない""楽曲")がrainbow(虹)となることで、唯一無二の素晴らしい楽曲として虹がかかるというロジックがこの2行から伺えます。

こういう歌詞の作り方をするところが非常にクレバーでとても大好きですし、歌詞の意味もどこか自分に重なってきます。


歌詞の締めでは、「そのまま自分らしさを貫いて進んだ先で、結局世界側が自分の方が正しかったとスポットライトを当ててくる」というオピニオンが描かれています。

もちろん、全部が全部アーティスティックにやってしまうと自分よがりになってはしまうのですが、それでも「市場に魂を売り過ぎないで"らしさ"を貫く者こそが最後に残る者だ」という細美さんならではのスタンスがここから垣間見えます。

(※2番以降のサビも全て同じ歌詞なので、サビ解釈はこのパートで終わらせます)


◆2番Aメロ歌詞解釈

Among the diagrams
Consistency would be found
(図形たちには一貫性があって)

And a spectrum in desperation
(自暴自棄のスペクトラムが)
Leads me astray
(道を迷わせる)

So stay uncivilized
(開花しないことで)
Independence would remain
(独自性は残り)
When deception is revealed
(欺瞞が暴かれるとき)
Witness what's been jeopardized
(危機にさらされてきたものを目撃する)
(出典: Ghost In The rain 作詞:細美武士 作曲:細美武士)


最初の1行は一見すると意味不明ですが、1番の流れを汲んで解釈すると「売れる曲には一定の法則性があって、それを守ればいいだけ」という意味として解釈することができます。

「自暴自棄のスペクトラム」のスペクトラムは「分布範囲」のこと。

つまり、「自分たちらしさを無くした人たちの意見が強く広がる分布範囲」を指し、そうした自分たちらしさがないことを"自暴自棄"というようにここで皮肉っているわけですね。

そうした人たちがいると、自分は自分らしさがなくなってしまう(道に迷う)というのが2番Aメロ歌詞前半の意味です。


後半に関してですが、ここも表面的に読むととても分かりづらい難解な歌詞が続きます。

uncivilizeを「開花」と訳しているので分かりづらいかもしれませんが、要するにun-civil(市民化しない)という意味になるので、1番の歌詞同様に「大衆に迎合しない」という解釈と同じになります。

そうすることで、「売れ線でアンパイな楽曲を作ってお金は手に入ってもアーティストのらしさが1mmも残らないのは、自分らしくない」という細美さんならではの個性(=ブランド)を打ち出しています。


後半2行を続けて見ていきます。

欺瞞は「そうした自分たちらしさを出さないようして売れ線曲を作り続けることでに自分たちに嘘をつくようなスタンス」のことを指し、その嘘が暴かれた時に、そのアーティストの本当の独自性や魅力というのが無いことが明るみに出て、音楽シーンから消えていくという意味のようにここは解釈をすることができます。


最近の日本のビジネス界隈の流れとまるで同じですね。

「原体験からビジネスをつくる」or「マーケットニーズからビジネスをつくる」という構図のように、なんだか見て取れるような見て取れないような...。



◆2018年の自分と2019年の自分にどう重なってくるのか

僕が独立した背景には「会社の器だと自分のスタイルが貫き通せない・自分の思想が残せない」というところにあるので、まずそこがthe HIATUSが立ち上がる細美さんの原体験に重なりました。

また、Twitterで発信・やり取りをする中で、ここまで極端とも言わずとも僕の考え方は既存の人事界隈からすると異端に見えることが多いということがよく分かりました。

僕が行う採用ブランディングに関しては、一般的な採用の在り方の枠からははみ出ているようなやり方だったり思想だったりするものの、これからの時代(個と企業とコミュニティの関係性の発展)において、本質的な在り方は既存の在り方をベースにしつつもそれをアップデートさせた本質的な「ブランディング」という手段で表現できるものだと信じていますし、こちらのnoteでお伝えしたように実際に採用数・採用時からの理念浸透教育が出来たという成果も出ています。


そして、2019年はこうしたCI(コーポレート・アイデンティティ)をベースにしてそこから、この企業ならではの広報・採用手法などといった本質的な在り方をもっとみんなで気軽に考えていけるきっかけやコミュニティを作っていけたらなと思っています。

また、それだけでなく、採用だけにとどまらずとも「いかに顧客・求職者側に納得度の高い企業の打ち出し方と関係性を築く方ができるか」に関することは常にやっていきたいので、また来年も身体と心に無理はさせない範囲で"らしいこと"をやっていけたらなと思います。


それではみなさん良い1年をお過ごしください。


おしまい。


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