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フリーランス生活4年目を迎えて

先日、フォトスタジオで娘の七五三の撮影をした。3年という月日は、あの時に産声を上げた赤ん坊が、お姫様気分でカメラに向かってポーズを決めるという、"女子力"を身に付けてしまうほどの時間だ。その時間の総量を感じるとともに、細胞が増え続けている人間のパワーというか、エネルギーに圧倒される。

娘の誕生とほぼ同時に、16年間の会社員生活に一旦区切りをつけ、フリーランスの道を選んだ。一生に一度かもしれない子育てを間近で見守りたいという願望からの決断で、ダメそうなら会社員に戻ればいいやと思っていたけど、3年間フリーランスをやってみて感じることは、全ては自分次第というスタイルが自分に合っている…ということ。

もちろん、会社員を辞めることで、沢山のものを手放した。何の保障もなければ築き上げた実績もない。キチンと収入を得なければクレジットカードも作れないし、住宅ローンも借りられない。何より生活が成り立たない。でも、フリーランスになったことで手に入れたものも沢山ある。

1. 人と人との繋がり

当たり前だけど、仕事というものは一人では成り立たない。独立すると「繋がり」というのは自らの生活だけではなく、仕事のスタイルや実績など全てに直結するから、その言葉の重みが違う。

今、自分を形成しているのは「繋がり」に拠るものだし、その有難味は「おかげさまで」という言葉以外では表現できない。フリーランスとして大切なものは何か?と訊かれたら、真っ先に「人の繋がりこそが全て」と答えられる。組織の後ろ盾もなく、役職による信頼もない。見方によってはフリーターと大して変わらないと思われるかもしれない。だからこそ実感できるものがある。

独立した当初、その「繋がり」の始点となるきっかけを作ってくれた諸先輩に恵まれたのが、本当に幸運だったと思う。次は自分が人と人とを繋いで、この環をさらに大きなものにする努力を惜しまず続けたい。その先に「みんなが持ち寄り、分け合える」社会づくりの一端でも担えたら幸せだと思う。

2. 自分のブランドは何か

会社員時代はコンペに勝った時、クライアントから感謝の言葉を頂いた時など、チームの一員としての喜びはあった。しかし、純粋に一人のデザイナーとして手応えがあったかと言うと、片手でも余る程度の回数しかなかったのではないかと思う。

クライアントの規模が大きくなればなるほど、選考基準や利害関係者は膨大になる。単に「アイデアが良い」「デザインが良い」だけで選ばれるほど単純な話ではない。だから様々な要望にも応えられるように・組織に自分を合わせられるように、世の中のトレンドを吸収していった。

しかし、それでは自らのブランドは作れない。外から流行りものを持ってきても、所詮は付け焼き刃になってしまうものもあり、これさえ抑えておけば大丈夫!的なものなどない。ブランドというのは魔法の杖ではなく、本質を突き詰めた結果、内から滲み出てくるものだと思う。

独立直後は、自分を売り込むために、名刺の裏にとにかく刺さりやすいスキルを列挙した。ビジュアルデザイン・アートディレクション・インフォメーションアーキテクト・ブランディング・UI/UX…今見ると恥ずかしい。横文字だらけでルー大柴かよと思う。そもそも一般の人がこれを見て「何をやっている人なのか」が分かる人というのは、どれ程いるのだろう。

そこで、まずは名刺を作り直した。表には名前と「デザイナー」という肩書のみ、裏には連絡先しか載せないシンプルなものだ。今まで裏に書いてあったスキルは、一度会って話を聞いてもらえれば、単に見た目を綺麗にするだけの人ではないと分かってくれるはず。何より、自分のデザイナーとしての根幹は「世のため・人のため」だから、スキルを売り込むことは本質じゃない。そんな想いを「デザイナー」という一つだけの肩書に込めた。

そんなスタンスで営業活動をして、「あなたに是非お任せしたい」という言葉を頂けると、今まで味わったことのない嬉しさを感じることができるようになった。

3. 無理はしない

2年目までは「基礎固めの期間なので、無理は仕方がない」と受け入れていた。しかし、様々な「無理」のうち、特に金額面での「無理」は影響が大きく、一つの「無理」を補填するために他の「無理」が増えていく。

個人間での仕事のやり取りでは「お友だち価格・知り合い価格」を期待される場合が多い。しかし、ボランティアや副業・遊びではない限り、キチンと正規の価格を請求すべき、ということを学んだ。そこに友達・知り合いに対する心づもりを入れるのであれば、「ライス大盛りにしておいたよ!」「唐揚げ2コ増やしておいたよ!」的なオマケで充分だと思っている。(そもそも、完全にプライベートで繋がっている人と一緒に仕事をしたくない…というのもあるけど)

組織に属していれば、様々な面で無理を受け入れたとしても、帳尻を合わせられる方法はあった。しかし、その感覚が少しでも残ったままフリーランスを続けると、何かのタイミングや一時の判断の迷いで、あっという間に八方塞がりの状態になってしまう。

一人で仕事をしている以上、会社員の考え方から完全に頭を切り替える必要性を感じて、3年目からは「無理はしない」と自分に言い聞かせてきた…が、頼られると断れない性格もあり、これがなかなか難しい。おそらく、この悩みを解決できることはなく、上手に付き合っていくしかないんだろうな〜と思っている。

結び

3年という区切りで、今までを振り返る意味でもブログを書いた。誰かの参考にしてもらうために…というより、大切なことを忘れないように、自分に言い聞かせるように書いた。

実を言うと、私はすぐに調子に乗るタイプだ。そもそも、小学校の時に図工の成績が良くて、そのまま調子に乗ってデザイナーになったような人間だ。だからこそ、自らを戒めることを言葉にしないと、どこかで羽目を外しそうな気がして怖いのだ。

感謝・謙虚・努力。次の3年もこの言葉を忘れずに頑張ります。

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彦根 大和

子育て中のデザイナー/アートディレクター/兼業主夫。IT界隈でビジュアルデザインやIA・UI・UXとかやってます。https://www.yamatohikone.com
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