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印象に残るポートフォリオの作り方

デザイナーにとって、転職活動で大きな役割を果たすのがポートフォリオです。中堅ぐらいまでのデザイナー採用であればポートフォリオを確認しながら面接が行われるケースが多く、上級デザイナーやアートディレクター採用の際にも、ポートフォリオを土台にした面接が行われます。つまり、実質的に面接の殆どの時間はポートフォリオが話題の中心となります。

また同時に、ポートフォリオは自分自身の棚卸にも効果的です。私も会社員時代は、転職意志の有無を問わず、1年に1回はポートフォリオをアップデートして、実績や課題を把握していました。それはフリーランスとなった今でも続けています。

ポートフォリオの纏め方は、経験や役職、応募企業によって様々なので、一概に「これがベスト!」と言えるものは残念ながらありません。所謂「お硬い」仕事ばかりだったデザイナーが、ティーンズのキラキラ女子系の雑誌社に転職したいのであれば、それ相応のパフォーマンスを見せる必要があります。しかし、基本的な部分で共通する、大切なポイントがいくつかあります。

前提:ポートフォリオは「サンプル集」ではない

若手〜中堅デザイナーのポートフォリオとしてよく見るパターンは、作例をクリアファイルに並べて綴じたものでした。意図としては「私はこんな可愛いデザインもできますが、かっちりとしたデザインもできます」といったことをアピールしたいのだと思いますが、それはあくまで基礎力レベルの話であり、経験あるデザイナーであれば作例を数枚見るだけで判断できてしまいます。

また、Web系では写真やムービーを大きく扱ってインパクト良く見せているデザインが当たり前になっているので、その写真やムービーのアートディレクションまで行ったのであればともかく、支給された素材を配置したデザインをいくらアピールしても決め手に欠けます。

さらに、企業側の事情により、採用担当者がノンデザイナーの場合もあります。その場合、作例のサンプルを見ただけでは採用の合否を判断できる素材が乏しく、今現在のプロジェクトに合うテイストがある/ないだけで判断されてしまう可能性もあります。そのため、例え採用となっても、入り口でのアピール不足により希望した仕事への関わり方に苦労することもあるでしょう。

ポートフォリオは作例紹介のサンプル集ではなく、自らの実績・経験・考え方・姿勢・スキルなどを複合的にアピールできるツールです。自分がアピールできるものは何か、自分を採用することで企業側はどんなメリットがあるのか、ということを見定めないと、期待した成果は得られません。

第一段階:軸を作る

経験が少ないデザイナーの場合、クオリティの高さや作例の多さで他のデザイナーとの差別化を図ることは難しいと思います。その場合、何かの軸に沿ってポートフォリオをまとめるだけでも見え方は変わります。

最も簡単な軸は時系列です。これは経験の少ないデザイナー限定ですが、それぞれのデザインを作成した時期を明記して順番に並べるだけでも、成長の過程を確認することができます。さらに、それらの時期が近ければ近いほど、経験の密度や成長スピードの速さもアピールにも繋げることができます。

その他には、クライアントの業種別に纏めて経験の多様さをアピールしたり、数字が分かる環境であれば、成果として分かりやすい数値でアピールするなど、その他にも様々な軸が考えられます。ただ作例を並べるのではなく、何らかの軸を作ることでポートフォリオに一貫性を与えることが、アピール力を高めることに繋がります。

第二段階:ポートフォリオに語らせる

応募の際にポートフォリオをデータ化して送る場合、採用担当者はあなたと会うべきかを判断すると同時に、会った場合にどんな質問をするか…ということも考えます。ここで前出のような「サンプル集」を提出してしまうと、ポートフォリオや職務経歴書だけ得られる情報は限られるため、いざ面接…となっても大半の時間は質問コーナーとなってしまいます。

採用担当者が知りたいのは、あなたの表面的なデザインスキルだけではありません。経験が少なく、例え上司や先輩の指示で動いていたとしても、何らかの考えを以て仕事に取り組んでいたはずなので、その思考やコンセプト、課題に取り組む姿勢や、それによって得られた成果や経験も事前に知ることができれば、限られた面接の時間を効率的に使うことができます。

また、ポートフォリオはデザイナーの採用担当者だけが見るわけではありません。例えば二次面接以降に進むと部長や役員クラスが同席することになりますが、多くの場合、その人たちはデザイナーではありません。そのような人たちにも端的に分かりやすいポートフォリオとは何かということを常に考えながら作る必要があります。

第三段階:演出する

ここが最も難しい部分であり、特にデザイナーは技術職的な面も大きいため、自らを自信満々に演出することは苦手な人が多いと思います。とは言え、演出がなければ折角作ったポートフォリオの魅力は半減してしまいます。よくアメリカでの履歴書の文章が大げさ過ぎると揶揄されますが(実績や成果を誇張しすぎて事実を捻じ曲げるのは勿論ダメですが)、逆に謙虚過ぎる姿勢は良くありません。良い部分は見習った上で、メリハリを付けてアピールすべきです。

メリハリの付け方としては、プロジェクトのコンセプトや成果、個々のプロジェクトで実行された工夫、技術的な要件などをできるだけ短く・かつ強い印象のキャッチコピーを入れたり、短期間で成果を出したこと、工夫により工期を圧縮したこと、品質を担保するためにワークフローを作ったこと…等、掘り下げれば幾つか見つけられると思います。

ここで「いや、記事で見た○○はもっと早く成果を出しているしな…」などと考える必要はありません。プロジェクトは多種多様で基準はないので、評価をもらった時点で、それは事実です。事実はきちんとアピールしましょう。

まとめ

第一段階〜弾三段階を踏んでポートフォリオを作れば、自己分析やプロジェクト分析、さらには面接での自己アピールのシナリオなどが自然に頭の中に入っていると思います。つまり、ポートフォリオを作り込むことで、面接当日も余裕を持って臨むことができると思います。

また、転職のためのポートフォリオではなくても、成果や経験・課題をきちんと把握することができ、自信に繋がるだけではなく、今までとは少し違う視点で仕事に取り組むことができます。空いた時間にポートフォリオを作ってみましょう!

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彦根 大和

子育て中のデザイナー/アートディレクター/兼業主夫。IT界隈でビジュアルデザインやIA・UI・UXとかやってます。https://www.yamatohikone.com
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