なるほど納得政経塾 第二回 「経済学における人間観」

  人間観とは、人間をどういうものと見なすかに関わる仮説である。人間社会の成り立ちや運営に関して、それを理解したり説明したり、あるいは予測したりする上で、この人間観は前提的な仮説となっている。 早い話が、床や階段などの設計をしている人は、何人ぐらいの人が入るかによって、人数×体重で強度計算をする。この場合、設計者にとって人間は重量の単位と見なされる。あるいは、伝染病の伝播を防止する防疫学の観点からすれば、人間は病原菌の媒体と見なされるであろう。また、小説家は人間を複雑な感情を持つ生き物と見なすかも知れない。このように、ある種の分析や設計の目的に応じて人間観は異なってくるし、また人間観が異なれば、当然その人間が織りなす社会に関する、理解の仕方も変わってくる。

 前回説明したように、経済学の家計理論では、人間の消費行動が説明される。つまり、

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