ドラえもん「けん銃王コンテスト」と「ダーティー・ハリー」~藤子Fノートさんに触発されて

最近はあまり近寄っていなかったnoteですが、非常に面白い書き手さんを見つけました。
藤子Fノートさんです。
「尊敬する藤子・F・不二雄先生の名作を、多様な切り口でレビューしてます。野望は世界初、F作品全てを記事化すること」を目標に、営業・マーケティング職という多忙な本業のかたわら、毎日連続投稿中とか。

どの記事も面白くて、「スキ」の嵐になりそうです。あまり頻繁に「スキ」すると煩わしいんじゃないかと思い、遠慮しているのですが、ついついコメント書いちゃったり。

コメントにお返事をいただいた中で、さらにコメントをお返ししたくなったのが下の記事です。

ご存知かと思いますが、一応「けん銃王コンテスト」のオチをおさらいしますね。
すべて撃ち尽くしていたと思っていた空気ピストルの弾が一発残っていて、のび太がママに向かって、
「ばんごはん、まだ?」と尋ねたために暴発し、ママが気絶してしまう。
のび太は、
「たまのかず、かんちがいしてたかな。あそこで一発、つぎに二発……」
と指を折って数える。

ぼくはこのオチ、クリント・イーストウッドの「ダーティー・ハリー」が元ネタかと思ったんです。ただ、「けん銃王コンテスト」と「ダーティー・ハリー」の公開とどちらが先か分からなかったんですね。
藤子Fノートさんによれば、「ダーティー・ハリー」が数年先ということです。

だったら西部劇大好きなF先生が、マカロニウエスタンからアメリカ映画に復帰したクリント・イーストウッドの作品を観ていないはずがなく、ネタにしたんじゃないかと思えます。

念のため、「ダーティー・ハリー」における残弾数ネタについてもおさらいしましょう。
映画の冒頭、主人公ハリー・キャラハン刑事は銀行強盗の現場に出くわし、犯人に向けて六連発のリボルバー(S&W M29)を撃ちまくる。

ハリーに脚を撃たれた犯人は銃を取り落とすものの、ほんの少し手を伸ばせば届きそう。
そこへハリーがやって来て、銃口を向けて、例のセリフを口にします。
「(お前が)何を考えているかわかるぜ。俺が6発撃っちまったか、まだ5発なのか、とな。実は俺も夢中で何発撃ったか数えていなかったんだ。だがこれは44マグナム弾という世界一強力な弾を発射するんだ。(撃たれれば)楽にあの世に行けるんだ……。どうする? おい!」
犯人は反撃をあきらめて、手をあげて駆けつけた警官に捕まる。
ハリーが引き金を弾くと、撃鉄が落ちる音だけが響く。

そして映画のラストでは、凶悪連続殺人犯と同じ形で対峙するんですね。
違っているのは、ハリーが「どうする? おい!」と問いかけた途端に、犯人が気味の悪い笑い声をあげて反撃にうってでることです。

どちらの場面でも、ハリーは何発撃ったかちゃんと数えていたんでしょうね。

このスリリングな展開もF先生の手にかかると、指折り数えるのび太という、とぼけたユーモアに昇華されるわけですよ。

とぼけたユーモアといえば、「けん銃王コンテスト」のラストのコマでは、気絶したママを囲んで、のび太は指を折って弾の数を数えているし、
ドラえもんは「バンごはんなんていうからだ」と小言を言っているし、
パパにいたっては「どうでもいいけど、ママはいつ目を覚ますのかね」なんて言ってます。

しかも三人とも着席したままで。
誰か、ママを介抱したらどうなのか。