80年代への憧れ #3

ベイパーウェーブも楽曲のジャンルのひとつである。これもウィキペディアにはこう記されている。

“2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれた音楽のジャンルである。大量生産の人工物や技術への郷愁、消費資本主義や大衆文化、1980年代のヤッピー文化、ニューエイジへの批評や風刺として特徴づけられる。インターネットが成熟を迎えた2010年代を象徴する音楽ジャンルである。
——出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』”

一見読むと意味がわからないように見えるが、つまりは2000年代からの新しい音楽に嫌気がさし、1980年代への風刺を込めたオマージュと言えるものであろうか。

日本でいう2000年代以降の音楽ではアイドル文化が加速した時代であった。ジャニーズやAKB48、EXILEなど、さまざまなアイドルが発展していった中で、イベントや握手会など、音楽にとどまらないところでその文化が拡大していった。

一方で音楽の本質というものは発展よりも衰退に向いているのではないだろうか。曲自体はどのアーティストも変わることがなく、曲というよりもむしろダンスなどのパフォーマンスがメインであったりする。

まさに音楽の大量消費時代とはこのことを表すのだろうが、ベイパーウェーブはこうなってしまった音楽への反逆、懐古なのだろうか。

実際にベイパーウェーブとされる曲を聴いてみると、まるでラジオから聞こえてくるかのような音楽であったり、妙に甲高い楽器など、シンセウェーブよりももっとレトロ感の増す音楽である

80年代の楽曲には曲としての魅力はもちろんあるが、曲である以前に音であった。その音を楽しむのがこれらの曲である。

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