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2018年の振り返り

スマートニュースに入社して2年半が経ちました。2018年は私にとって、そしてスマートニュースにとって歴史的な1年になりました。今思っていることを文章でまとめておこうと思います。

マーケティングは魔法じゃない

オフィスで2018年振り返りプレゼンをしていたとき「魔法と手品の話」がずっと脳裏にありました。元ネタは敬愛する某マフィアたちの話ですが、言い得て妙だと感銘を受けました。

2018年公式リリースを振り返ると、5月に3000万DL突破、7月に1000万MAU突破。9月に3500万DL突破。女性比率も44.5%まで上がってきました。ストアランキングも圏外だったのがiOS/Androidで1位を獲得して、TOP10常連になれました。現在も継続して伸びてます。

この成長を「魔法」と思うか「手品」と思うか。魔法はモノが消えたり炎が出たり、物理的に証明できない現象ですよね。けど手品にはタネも仕掛けもある。ゴリゴリにリサーチして悩んで迷いながらも、絶対に成功させようと努力した結果は、どう考えても魔法ではないでしょう。マーケティングにはタネも仕掛けもあるんです。華やかそうとよく言われますが、誰よりも泥臭く働いた1年でした。

仕組みを理解しているか、再現性は何%か

マーケティングは事業を継続的に伸ばすための投資です。なのでマーケティングを魔法だと思っている組織には、魔法を見守ることしかできません。大切なのはその仕組みを理解すること、誰でも再現できるようにノウハウを蓄積することです。なぜならマーケティングは1年やって終わりではないから。

サービスを立ち上げた創業者がいて、プロダクトを作り込んだチームがいて、資金を集めて会社にしてくれたチームがいて、売り上げを伸ばすチームがいて、その中心にはユーザーがいて、そんな事業の営みを継続的に伸ばすことに責任を負うのが、マーケティングの仕事だと思うから。魔法とかセンスという言葉は禁止。再現性を上げてスケールしたい。そんな願いから、社内レポートを頻繁に書きましたし、社内共有会も積極的に開催しました。もちろんここでは言えない具体的なやつです。

TVCMで効果を出すために

振り返ると2018年でTVCMを37本作ってました。バージョン違いを含めるとその倍以上あります。たった15秒で人の心を掴むという奥深さを学び、大好きな仕事になりました。吉岡里帆さん、千鳥さん、乃木坂46さんなど今を輝く旬な皆さまにご出演いただきましたが、TVCMも魔法じゃないです。危険なギャンブルでもないです。数式で正当化できる投資として、泥臭くタネと仕掛けを作り込むのです。

リサーチ〜企画〜制作〜メディアバイイング〜デジタル連動〜効果計測という一連の業務は大企業だと別チームで動くので、組織の間でノウハウが分断しがちです。幸運なことに現場が私1人だったので自由に仕組みを作れました。調査票設計もFGIもブリーフィングも演コンもPPMもオフラインも初めてだらけですが本当に楽しかった。テレビ局だけで全国100近く、デジタル媒体でも30近くのメニューを扱い、配信の組み合わせも無限大です。(大きな怪我もなく1年を過ごせて本当によかった。。)企画制作にも並々ならぬ愛を注ぎました。チームも徐々に増えて、とにかく走りながら精度を上げていく毎日でしたが、意識したのはボトムラインを自分で持つことです。

ボトムラインを意識する

年間予算と達成計画を自分の手で描くことは極めて重要です。その権限がなくても勝手に宣言しちゃいましょう。上司の指示に従うだけのマインドセットだと、どこかの泉から予算が自然と湧き出たような感覚に陥り、中途半端なことをしてしまいがちです。未来を作るのは自分であると肝に命じて、具体的な数値にコミットするのです。だからこそTVCMを放映した番組は全部見たいし、検索されたキーワードも全て知りたくなる。数字が足りないときこそ底力が求められます。そのたびに新しい技が発明されて、マーケティング戦略が強固になっていきました。

目標は無理めな方がいい

現状から少し改善しただけで達成できる目標は、目標ではなく消化です。2倍とか3倍とか無理めな目標があると、今までと違った方法を探らないといけなくなり、自分で考えて動く力が身に付きました。予算が大きくなればなるほど、広告するための新機能や新コンテンツが必要になりますし、その事業開発もマーケティング組織が持っていいと思います。特にアライアンスを動くときは社外からのシビアな評価と向き合うので、いろんな角度からサービスを見つめ直せました。「三方よし」が毎日スラックに登場するぐらい、チーム一丸となったのは良い思い出です。

無理めな目標を達成するために

私は「統合マーケティング」という言葉を好んで使いますが、それは単にオフラインとデジタルといったマーケティング手法を統合する意味合いではありません。それは部署間で迅速にやればいい話です(2人なので立ち話で決めちゃいます)本当に統合すべきは、ユーザーベネフィットとマーケティングです。ユーザーのみなさまに提供できる価値と向き合い続けること。そしてその価値を広げていくことです。でないと、マーケットシェアを奪い合う戦いから一生逃げれない。

ユーザー数を伸ばすためには、マーケット需要を自ら作らないといけません。例えば、ニュースを読む事がニュースアプリ最大の価値だとしても、ニュースを読みましょうで動く人は上限があります。ニュースが本質的に持つ価値そのものを深掘ってその意味を再定義して広げていく発想に切り替えるのです。とはいっても短期的なグロースだけに逃げてもいけない。最後に迷惑をかけるのはユーザーのみなさまだし、自社ブランドを壊してしまいます。

最後に、2019年の話

先日、宇多田ヒカルさんの20周年記念ライブに行ってきました。写真OKライブでした。私がどれだけ宇多田さんが好きなのかトークは割愛しますが、セットリスト2曲目「道」を聞いて涙が止まらなかった。自分でもびっくりしました、蛇口をひねった水のように涙が出てきてんです。思えば2018年「道」に何度も何度も救われました。番組出演で地方にいく事が多かったので、飛行機のなかで「道」をずっと聞いてました。「道」を聞いて何か思い巡らすことで、どんな状況でも自分が自分でいられるような気がしたのです。

圧倒的なエンターテイメントはまるで雷が落ちたように自分の体を駆け巡ります。その反対にあるのが説明や説得ではないでしょうか。自分が関わったマーケティングはできるだけ説明や説得に逃げないように意識してます。好きになって楽しんでほしい。家族や友達と会話が弾んで欲しい。能動的に検索してほしい。けど広告をしている時点で、事業を伸ばす責任があるので、切っても切り離せない側面があります。できるだけ2019年も説明や説得はしたくない。自分らしさを崩す事なく、新しい挑戦がどんどんできますように。

最後に、いつも一緒に仕事をしてくれるみなさん本当にありがとう。本当は名指しで感謝を伝えたいのですが色々あるので控えます。気持ちは忘年会で伝えるのでここはもう良いよね。東京にいないみなさまは新年会しましょ。それでは良いお年を。


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