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ヘッダーイラスト 麦野春様
キャラクターデザイン 井ノ内様

29巻です29巻。
『鬼滅の刃』は全23巻、『幽遊白書』は全19巻、『北斗の拳』は全27巻。
めっちゃ長いですね。
同じ鏡貴也先生の『伝説の勇者の伝説』はもっと長いけどね……。


全部捨てられないからミカと逃げる優ちゃん

29巻は一巻ほとんど優ちゃんとミカの愛の逃避行の話でした。
巻頭は東京タワー(スカイツリーじゃないほう)で始まり富士の山頂まで行きます。海外ファンへのサービスがいいです。

28巻のラストで、人間組と優ちゃん・ミカペアとの決定的な利益相反が明らかになりました。
仲間を取るか、世界を取るか、に留まらず。身内の間でも相反しているわけです。それも、誰かを取れば誰かが破滅するというレベルで。

同じようなパターンで、やっぱり鏡貴也『いつか天魔の黒ウサギ』のラストでは生徒会長の紅月光が、優ちゃんの大先輩であるグレン中佐と似たような立ち位置に置かれていました。月光は人間的な弱さを捨てきれず、相当な犠牲が出ても決断しきれずに最後まで悩むのですけど。

上官のグレン中佐はすでに優先順位が付いているので、代償が重かろうと躊躇しません。いや、ためらいがあったとしてもそうそう表には出しません。

そういうわけで、優ちゃんは「人類なんて俺はどうでもいいんだよっ!!」(28巻)と限界まで力を暴走させて帝鬼軍の勢力圏から抜け出したのでした。

君が僕ならどうする?

人類も人類で決して清廉潔白というわけではないので、10巻の駆け落ちではでは「このまま僕と逃げようよ。どっか遠くの田舎で静かに暮らそう」と言っていたミカです。

そのミカも、優ちゃんは優ちゃんで今の仲間がいるということを知ってしまったので、もうそういう甘い時間には浸ろうとしません。
「もう僕に執着するな!! 過去に執着するな!!」と。

「君の幸せだけが僕の幸せだ」というのは字面それだけではなくて、ミカの生き方そのものなんですよね。
10巻で「家族の血を吸ってまで生き残るなんて……普通じゃない。人間失格だ」と弱音を吐いていますが、ミカが今の境遇に甘んじているのも全部優ちゃんのためだったわけです。

そして、ミカの状況は姿もそれ以外も10巻よりはるかに悪化していて。

けど優ちゃんは「おまえなしで新しい人生なんて生きられるわけねぇだろうがぁぁあああ!!!」。優ちゃんから見れば、これも当然。

全部捨てて守ろうとした相手から、彼自身を犠牲にしてでも「姿が変り果てても生きろ」と言われるほうがつらいか。
それとも、家族同然の親友が知らず知らずのうちに自分のためにその身を犠牲にしているほうがつらいか……。

グレン・真昼夫妻が常時ディスコミュニケーションでお互いの腹の内を探り合ってるのとは対照的なんですよね。
ミカと優ちゃんは何でも話し合っているのだけど、それでも世界は2人の意思決定をすんなりとは合わせてくれない。

じゃあ、優ちゃんの中に入るよ


いかんでしょ。


あ、全年齢の少年マンガなので期待されるような展開はないです。

バ美肉Vtuber夜御牧れるは『終わりのセラフ』を応援しています。
(ちゆ構文)