岡崎体育を分析する -ギャップの作り方-

岡崎さんの作品の中で、面白いと思ったものを複数ピックアップして、作品の本質は何なのか、どういうコミュニケーションが設計されているのかを分析していきます。


『感情のピクセル』

この作品の本質は、「雰囲気と歌詞のギャップ」だと思いました。雰囲気、テンポ感は隅々までかっこよく作られているのに、途中から歌詞と映像が可愛い系に一気に変わります。これにより、絶妙なギャップを作っているので、面白いと分析しました。
このギャップをしっかり伝える為に、サビまでを英語の歌詞や、差し込む光、暗いトーン、黒い服、動きで、「この曲はかっこいいやつです!」という前提を強く伝えているのが、上手ですね。

また、そのギャップを繰り返しても面白くないと思ったのか、内容自体も、「ワニさんも仲間に入れてあげて」「何て?」など、小さなボケを入れ込みより面白くしています。
例えば、スーパーマリオというのは「ジャンプすること」を徹底的に追求したゲームですよね。ただ、それ以外でも、特殊な技を持った敵が出てきたり、隠しゴールがあったりと、本質のアイデアとは関係ないけど、より面白くなるような工夫がされています。そういう工夫がこの作品にもされています。簡単にいうと、調味料とか、隠し味みたいなものでしょうか。

つまり、この作品は人を楽しませる為に、しっかり設計されたものだと分かりました。 岡崎体育さん凄い!

そういう本質を持った作品は他にもあるので紹介します。一時話題になったあいみょんさんの「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」は、彼女の美しく元気な声・アップテンポと、ありえないほど恐ろしい歌詞のギャップが特徴の作品です。

また、アートディレクター田口麻由さんが担当したCM、「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム CM 2015」も、シリアスな雰囲気な中、可愛い台詞をクールな男性が言うというギャップを作っています。

また、似たような本質を持った作品を岡崎体育さんは他にも作っているので紹介します。


『FRIENDS』

前半の可愛く、和やかでゆったりした雰囲気と、サビの喧嘩腰で、スピードのある雰囲気のギャップが、面白さを作っています。この作品は、サビの歌詞も「バンドざまぁみろ!」と喧嘩腰になっているので、全体のかっこいい雰囲気と、歌詞の一部の雰囲気を差別化するという訳ではなく、完全に雰囲気を分けています。だから、「感情のピクセル」以上に、雰囲気のギャップが大きいのがこの作品の特徴だと思います。


『Natural Lips』

これは、「雰囲気と歌詞のギャップ」の言語バージョンです。英語っぽい雰囲気で歌いながら、実は日本語で歌っているというもの。これは空耳という現象の応用ですよね。日本語の歌詞を英語っぽく歌うことで、無理やり空耳現象を引き起こして、笑いを作っています。

テレビ番組『タモリ倶楽部』の空耳アワードという、この面白さを軸にした企画も存在しています。
人間は、空耳という現象で笑います。世の中で、絶対に面白いとされるものを、自身の作品に取り入れるというのは良いことだと思いました。良い作品には、何かしらこういうことがされていそうです。



まとめ・転用

これらの作品を見ると、岡崎さんは、いかに人を楽しませるかを考えて、いかに作品中にギャップを作るかを考えている方なんだと思いました。他のアーティストの人とは違い、お笑い芸人の思考と同じような気がします。そういうことと、歌唱力、演出力が人気になった要因だと思いました。さすがですね。

また、分析しているだけではダメで、実際に自身の作品に活かせると良いと思ったので、この分析で得たことをまとめておきます。

ぱっと見で理解できる雰囲気と、しっかり見て理解する内容とのギャップが面白い。
本質のアイデア以外にも、小さな面白さを作ることで、より面白くさせる。
アイデアの発想法:世の中で、面白いとされる構造を利用してみる。(空耳とか)


また、今日こういうツイートが回ってきたのですが、これは本当に正しいと思います。本当は、このエッセンスを作り出せる人が真のクリエイターだとは思いますが、良い作品が生まれるにはこういうオマージュの繰り返しが欠かせないと思っています。

今日紹介した作品のアイデアのエッセンスである「雰囲気と歌詞のギャップ」は他のことに転用できると思います。

例えば、これは歌での話でしたが、「ぱっと見理解した内容と、しっかり理解した内容にギャップがある時、面白い」という構造は、他の業界でも使えると思います。
例えば、グラフィックデザインだと、一見可愛いグラフィックだけど、キャッチコピーや内容をよく見ていくと、実は恐ろしいことを言っている..とか。また、映画になると、一見ホラー映画で、怖い感じだけれど、しっかり考えると、めっちゃコミカルで、面白いとか。もしかしたら建築でも出来るかもしれません、一見古いボロボロの家だけど、使っていくと、変形したり、Iotが行き届いていて便利な家とか。

あと、「見立て」という表現もこういう構造があると思います。

ArtDirector:吉田ユニ 引用:http://www.yuni-yoshida.com

これは吉田ユニさんがデザインした、「ぼくのりりっくぼうよみ」というアーティストのジャケットデザインです。「ぱっと見の理解だとりんごに見えるけども、よく見てみると人だった。」ってさっきの構造と全く同じですよね。実は、「見立て」という表現方法も、本質は同じだったということがこれで分かります。このように、この本質があるとは思えなかったところから、この本質が見出せたということは、もっと新しい表現がこの本質から生まれる可能性があるということだと思います。
何か見つかったら。作品制作の機会に活かそうと思います。

ありがとうございました!



僕は、多摩美統合デザイン学科で今学んでいるやまかずといいます。
普段から、いろんな作品を抽象化・構造化したりして分析しているので、よかったら見ていてください。

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